助産院ここいやし

おっぱいの話 








遠い昔から『赤ちゃんを母乳で育てること』は、人の営みの中で当たり前のようになされてきました

しかし、時代と共に帆との暮らす環境が大きく変わり、簡単で便利なものや情報があふれている暮らしの中にいると、昔は『当たり前』だったことが『当たり前』と感じられなくなっているのではないかと思います

赤ちゃんが生まれると、すぐに『あふれるようにおっぱいが出る』というわけではありません

おっぱいが出るためには順序が必要です

お母さんにも赤ちゃんにも体の準備が必要です

その順序・準備の段階も『普通』のことなのですが、このことを『普通』と感じることができずに、おっぱい育児が難しくなっていると感じます

また、人の暮らしがストレスに囲まれ、便利な日常生活、豊かな食生活の中にあることもおっぱい育児を続けることを難しくしているように思います





人は哺乳類です
猫や犬、キツネ、オオカミ みんな赤ちゃんを産んだら、お母さんは赤ちゃんたちから離れることはありません

誰かが赤ちゃんを触ろうとしようものなら、威嚇して阻止します

そして、子どもたちは生まれた時にはまだ瞼が閉じていてお母さんを見ることはできませんが、匂いや感触でお母さんのおっぱいを探し出し、自分からおっぱいに吸い付きます

人の赤ちゃんも、生まれてすぐにお母さんの胸の上に乗せてあげると、いつの間にかお母さんの乳首を見つけ出し吸い付くそうです
でも、人は手を上手に使う生き物なので、お母さんは両手で赤ちゃんを抱き上げておっぱいを吸わせます


しかし、哺乳動物と言っても、初めから母乳がたくさん出るような仕組みにはなっていません
赤ちゃんが、求めて、求めて、求めて 初めて湧き出るように出始めます
出始めるのに3〜4日かかります

赤ちゃんたちも、そういう母乳の出る仕組みを知っているため、十分に母乳が出始めるまでの間を過ごすことができるように、3〜4日分のお弁当と水筒を体に蓄えて生まれてきます
そのお弁当と水筒の分が、最初の数日で体重が減る分ということになります

この最初の時期に、十分な刺激がおっぱいに届かなければおっぱいもなかなか増えていきません
そして、求められれば出るようになるおっぱいの仕組みですが、この時期が後にずれればずれるほど、乳腺が反応し始めるのにも時間がかかってしまいます

最初の3〜4日は昼夜関係なく赤ちゃんの求めに応じて、とにかくおっぱいを吸わせることが母乳を出すことの近道、必要な時間となります