韓国ツアー



1996.12.21-23


日ごろ仕事が忙しいと、なかなか海外には行く機会がない。しかし、韓国は成田からわずか3時間。 その気になれば日帰りも出来るはず、と思って旅行代理店に聞いてみた。 すると、格安航空券としての設定が出来るためには、最低3日の日程が必要とのことであった。 つまり一泊二日では格安券は使えないとのこと。では逆に言えば、三日あれば、可能だということである。 これは書類上三日であれば良いわけで、たとえば金曜の夜に出て、日曜の午前中に帰ってきても三日になる。 とにもかくにも、この三日を使って、ゲリラ的に韓国に行くことにした。 (注:これは1996年当時のこと。2001年現在はもっと短期でも可能なようだ。)
また、私のようなバックパッカーが韓国に行くとして、格安航空券だけを買って、 現地で宿を探すのが安いかというと、こと韓国に関してはそうとも言えない。 というのは、種々のツアーが設定されており、それらは宿代や空港からの送迎や現地の観光ツアーなども含まれていても、 さほど高くない。 金をよけいにかけて自由旅行をするというのは全くナンセンスであるし、実際その手のツアーは、 ほとんど自由行動になっている。
というような状況を考えて、韓国行きは、私の旅行史上初めてのツアー旅行として成立した。

ベアーズタウン

韓国に行って、何をするかと考えたが、季節的にスキーしかないだろうということで、 オプションにスキーツアーがついているパックを選んだ。 そして、予定通り、金曜の夜に出国し、ソウルに到着。 空港には現地の駐在員が迎えに来ており、そのままホテルに直行した。 スキー場については、ドラゴンバレーというのがソウルでは有名なのだが、雪の関係もあって、 ベアーズタウンという若干小さいスキー場に行くことになった。
スキー場自体は、韓国だからといって何が変わる訳ではない。コースとしては、若干短く、 日本の大きなスキー場と比べると、今ひとつであるが、今回は海外のスキー場で滑ったと言うこと自体が 重要なので、その辺は問題ない。
スキー場で福岡から来ているという、日本人旅行者にもあったが、福岡くらいになると、 志賀高原などに行くより、ソウルに来るほうが近いのだそうだ。そのため多くの安いツアーが出来ているとのこと。 物価も安いので、なるほどうまいやり方である。 ということで、彼は、日本ですべるよりも韓国で滑った回数の方が多いということであった。




ソウル


ソウルの楽しみの一つは食である。従って、食に関しては、いろいろ試してみた。
ついた日の夜は、お約束の焼肉を食べに行った。
ツアーでオプションとして焼肉屋に行くことも可能だったのだが、そこまでツアーに乗ってしまうと 旅行としての楽しみがなくなってしまう。そこで、あえて、予約もなしで町に出て、適当に店に入ることにした。 でかくて高級そうな店はあえて避け、小さく現地の人しかいないような店に入ってみた。
当然ハングル語しか通じない。しかし、そういう店に入って、特別変わったメニュがあるわけでもないので、 そこらにいる人が食べているのと同じものを注文して、あとは、店の人が適当にやってくれるような形になった。 焼肉はうまかった。場末の食堂といったところなので、値段は安かったが、大満足であった。

翌日の夜は、また違ったものを食べに行こうということで、これまた当てはなかったが、とりあえず、 大学の近くなら安くてうまい物があるんではないかと考えて、地下鉄の駅名から漢陽大学にいくことにした。 焼肉は前日に食べたので、この日は、シーフード冷麺を食べた。 このシーフード冷麺も韓国の伝統料理だそうで、それもそのはず、出てきた冷麺にはキムチと同様の真っ赤な唐辛子の味付けがしてあった。

最終日は、市内観光に行って、そのまま空港に行き、帰国すると言う日程となった。
まず、ソウルタワーに行き、そこの土産屋で朝鮮人参酒を買った。昼食は、石焼ビビンバ。 やはり、味付けは唐辛子である。韓国料理は徹底的にこの唐辛子攻撃にあう。 まあ、日本料理も醤油攻撃だと思えば人のことは言えない。 しかし、東南アジアと違い、”だし”の味が分かるというところが、韓国のいいところで、日本人の味覚にかなり近いものがある。
午後は、その後、景福宮、国立中央博物館、国立民族博物館と回った。
印象的だったのは、国立民族博物館に行ったときのこと。 入り口あたりに、韓国(朝鮮)、中国、日本の歴史年表が対比してある。 それぞれの国の歴史があるなか、日本は、遣隋使、遣唐使、あるいは朝鮮出兵、などを考えれば自明なように、 ごく最近(おおよそ1900年以降)までは、明らかに中国、朝鮮よりも文化的に遅れていたのである。 この年表で、おそらく、韓国人はそういった歴史認識をしていると思われた。 この国立民族博物館は韓国の子供たちが社会科見学で来るようなところだから、こういう歴史認識を学校で教えているのだろう。 だからこそ、朝鮮の植民地時代、満州国設立、などは日本人の考える以上に、許しがたい屈辱なのだ。


日本人は、現在、日本が中国、韓国よりも経済的に優位にいるという現実を当たり前のものとして認識しているが、これは歴史的には、非常にまれな現象なのだという考えもあるということを忘れてはいけない。 過去、多くの文化が大陸から伝えられてきており、明らかに中国、朝鮮よりも国力が下回っていた。 日本は島国であったがために、その独立を保ってきただけなのである。
というようなことを考えて見るのも、韓国旅行の一つの楽しみかもしれない。