1.サテライト用アンテナ。JARL2008自作品コンテストで優秀賞第一席に入賞しました。
SWISS QUAD modoki(SQM) 145MHz/435MHz 2008/5/29
de JA1CPA/中村 2012/1/4
2014/2/16追加削除
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☆★ 2011/7/1現在は別のアンテナを使っています。
理由は、地上のFM混信(違法局)が多く、アップ/ダウンが分からない時が多くなり、もっとゲインの多いアンテナが必要に
なったからです。
145MHz4ele×2/435MHz4ele×2 (仰角固定)を使っていました。
その後、2013/9/23から、さらにゲインの有るアンテナとして、
145MHz 8eleクロス八木(円偏波)/435MHz 15eleクロス八木(円偏波)を使っています。
この場合は、50Wでは強すぎる時があるので、2〜50W まで可変して使っています。
だだし、145MHz/435MHzは、地上FM違法局が衛星区分を占有し、平日の日中は衛星通信が困難になっています。
☆SQMの目的
一般にサテライト通信を行う場合は、144MHzのアンテナ(3〜5ele)と430MHz(5〜8ele)程度のアンテナを
ブームに付けて組み立てる必要が有り、結構面倒なものです。
これを何とか ひとかたまりのアンテナで簡単にやりたいと思ったのがはじまりです。
最初は、145MHzの中に435MHzを入れたスイスクワッドを作ったのですが、435MHzのエレメントの水平部
とマッチングバーが平行になっている部分が、雨でショートして50Wリニアを破損してしまいました。
そこで、雨でもショートしないマッチングバーを作りたいと試行錯誤した結果、マッチングバーに同軸ケーブ
ルを使ったのが、このアンテナです。
このマッチングバーの同軸ケーブルは、同軸ケーブルとして機能している訳では無く、絶縁された導線とし
て使っています。
ただし、この同軸ケーブルの芯線はラジエーター及びリフレクターのにのみ接続されていますので、単純
な導線として動作している訳では無いようです。(何故、これが良いか分かりません?)
注)スイスクワッドの使い方としては、通常は垂直偏波で使いますので、エレメントとマッチングバーが水平
に成ることは無く、雨でショートすることは無いと思います。
サテライト用アンテナの完成品です 145/435MHz SWISS QUAD modoki (SQM)アンテナ
仰角は30度固定です。 強い雨でもSWRの変化はほとんど無く十分に使えます
概略寸法:50cm/60cm/21cm
このアンテナは、サテライトだけで、2008/4〜12月間で1,000局(回)以上QSOしてます。
JARLホームページより 使用中の雨に濡れるアンテナ 雨に濡れる拡大写真
なお、このアンテナは2008年4月から毎月100局ペースでQSOしています。
仰角は約30°固定。
水平方向の回転はCalsat32でコントロールしている。
☆はじめに
2008自作品コンテストの入賞に関連して、お祝いや励ましや質問を頂きました。
このアンテナを作った経緯は6.サテライト用アンテナ製作のいろいろ(はじまり)に詳細に記述したつもりですが、日記形式
になっていますので見にくくなっています。
ここでそのまとめを含めて質問にも私の考えを書きたいと思います。(随時追加変更等をします)
☆原型はスイス・クワットです。(この時は、MMANA等のアンテナ・シミュレーター等は使っていなかった)
1. 45°の曲げが難しいので、90°でも同じかなと思ってやりました。 (90°は目視でも結構出来ます。
最初は作りやすい435MHzでやりました)
2. エレメントの縦横比はいろいろやって、この寸法が一番ゲインが有るようなのでこの比率で435MHzに共振さ
せました。(従来のスイス・クワットは正方形に近い)
3. マッチングバーは、最初は2Φ銅バーで普通のスイス・クワットとしてやりました。SWRは1.4ぐらいでした。
4. 一般にスイス・クワットはSWRが1.5から良くても1.3ぐらいで1.0にはならないのが普通だと思います。
5. これで145MHz、その中に435MHzを作って、サテライトで運用しました。
6. 結構QSO出来ました。(同時送受信なのでカブリ対策は別途やりました)
7. 何日かして、強い雨が降り水平偏波だったので、エレメントとマッチングバーの距離が3.5mmしかなくて、この間が雨でショ
ートして435MHz、50Wリニアか破損しました。
8. そこで雨に強い方法は無いかと、日夜考えました。
9. 毎日毎日試行錯誤しました。
10. ある日(夜)に夢の中でマッチングバーを同軸ケーブルでやったらとお告げが有りました。!! hihi
11. 給電部の同軸ケーブルの両端は芯線と編組を接続しエレメントに接続してます。
12. 真ん中は、M-Rコネクターの芯線と同軸ケーブルの編組を接続してます。
13. この同軸ケーブル芯線の中心部は絶縁したままスルーになってます。
この3点が最大のポイント(特徴)です。
☆ポイントは上の3点です。これだけです。 これが『同軸ケーブル方式』です。
下記の表Aの f 項 2017/2/14追加
435MHz L1=98mm L2=113mm
145MHz L1=304mm L2=338mm
長いL2が反射器側です。
この同軸ケーブルの両端は芯線と編組を接続してエレメント
に接続します。
この同軸ケーブルの芯線は、両端がエレメントに接続され
ています。中央はM-Rに接続されていません。
これは、同軸ケーブルの編組がスイスクワッドのマッチング
バーになっている状態です。
この同軸ケーブルで作るマッチングバーは、同軸ケーブルとして機能している訳ではありません。
従って、送信機から来たパワーは、上図のM-Rコネクター芯線⇒同軸ケーブルで作るマッチングバーの編組を経由して
ラジエーター及びリフレクターのエレメントに供給されます。
この同軸ケーブルで作るマッチングバーの芯線は、ラジエーター及びリフレクターエレメントに接続されていて、M-Rコネ
クターには接続されていません。
M-Rフランジ(アース側)はブーム及びエレメント中心に接続されています。(図では省略している)
14.マッチングバーを同軸ケーブルにしたら周波数は5MHzぐらい下にずれましたがSWRは1.0ピタリとなってびっく
りしました。
16.ただし、エレメントの「ゆがみ」「平行度」「90°」が正確で無いとSWRが悪くなります。
また、コネクターの芯線と接続した編組の周辺は、周囲のブームやマスト等の接地された部分から2mm以上離さ
ないとSWRが悪くなります。
また測定はアンテナの周囲(435MHzで1m以上、145MHzで2〜3m以上) に空間が必要です。
17. ちなみに、編組をスルーとして同軸ケーブルの芯線にコネクターの芯線を接続すると435MHzでSWR1.0だったのが
415MHz付近で1.0になります。(約20MHz下がります)
これは加工が大変なのでやめました。
18. コネクターの芯線と同軸ケーブルの芯線と編組をショートして接続すると、SWRは3以上でまったくNGです。
19.この同軸ケーブルによるマッチングバー方式はエレメントとの距離があるので、強い雨でも全くSWRは変化しません。
145MHzも2Φ銅バーでは、少し変化するので、同軸ケーブルにしたら変化しなくなりました。
20.全体の構成としては、エレメントが細いと思います。もっと太くすると耐久性が増し、帯域も広がると思います。
21.もともとスイス・クワットやHB9CVは理論的に不明な部分が多くて不思議なアンテナです。
☆modoki(モドキ)
このアンテナはサテライトをやっている連中からは、スイス・クワット・モドキ(JA2NLT局が名付けてくれました)と言わ
れていますので、私はSWISS QUAD modokiをSQMアンテナと言ってます。
この同軸ケーブルの芯線の中心部は どこにも接続しないで絶縁し
たまま通している。
両端は芯線、編組を接続してエレメントに接続する。
145MHzのマッチングバーの写真です。
写真を写すために折り曲げてます。
この同軸ケーブルの中心部は外皮を取り編組だけを半田上げ
してコネクターの芯線部に半田付けします。
両端は芯線と編組を接続し、エレメントの両端に接続します。
接続方法は、435MHzはそのまま半田付けします。
145MHzは写真のように銅板(0.5t×10×20mm)を芯線と編組に半田付けし銅板
でアルミエレメントを包んでネジで締め付けます。
下の写真のように、S字部分はエレメントから、435MHzで12mm以上、145MHzで30mm以上離して間隔を開けます。
(降雨対策です)
この12mm及び30mmを変化させるとSWR最低点の周波数も変わります。(追加)
なお、半田付けした部分はシリコン系充填剤等(接着剤)で防水します。
私は、ボンド、超強力接着剤、S・U(エス・ユー)、色調:ホワイト、を使ってます。
表A
|
|||||
周波数(MHz) | 周波数 | 435.2 | 145.9 | ||
設計波長(mm) | 波長 | 690 | 2056 | ||
輻射器周囲長(エレメント中心寸法) | L10 | 712 | |||
反射器周囲長(エレメント中心寸法) | L20 | 752 | |||
エレメント間隔:1/10λ(エレメント中心寸法) | d | 69 | 206 | ||
エレメントとマッチングバーとの間隔(最大内寸法) | e | 13/13 | 36/36 | ||
垂直エレメント長(エレメント中心寸法) | a | 203 | 607 | ||
輻射器水平エレメント長(エレメント中心寸法) | b | 153 | 458 | ||
反射器水平エレメント長(エレメント中心寸法) | c | 173 | 510 | ||
マッチングバー長(同軸ケーブル) | f | 5+98/113+5 | 10+304/338+10 | ||
マッチングバー材料 | g | 5C-FB | 5C-FB | ||
コネクター | cn | N-R | M-R | ||
エレメント材質/直径/肉厚 | Φ | CuP/4Φ(CuB/3Φ)/0.5t | AlP/6Φ(AlB/4Φ)/1t | ||
ブーム材質/直径/肉厚 | m | CuP/4Φ/0.5t×2パラ | AlP/10×15角/1t | ||
マスト材質/直径/肉厚 | Φ | AlP/18Φ/1000/1t ⇒ | ⇒ | ||
実測値(クラニシ、BR-510、5D-FB×3m) (測定しないコネクター側は50Ωで終端する) |
da | 435.2MHz:SWR=1.1 | 145.9MHz:SWR=1.1 |
435MHzと145MHzのアンテナ長
が周波数に比例
していないのは、主にコネクター
(M-R/N-R)の違
いによるものです。
L10、L20に修正します。2014/2/14
材料、寸法、コネクター等を変更す
るとSWRの最低点
周波数が変わります。
重量:約650g
材料費:約2,500円
運用について
1.プリアンプは同調型で145MHz、
435MHz共に入れる
こと。(広帯域型は不可)
2.アンテナとプリアンプの間にフィ
ルター(デュープレクサ
ー等)を入れるとさらに良い。(主に
プリアンプの保護と回り込み防止)
3.下の写真は水平偏波で運用し
ている。
主な材料
145MHzアンテナ、ブーム材料(接合部は主にタッピングネジ止め)
6Φ×4Φアルミパイプ 1m×4本:(590mm×4本/410mm×4本)
4Φアルミ棒 1m×1本 125mm×8本 (80mm+45mm×90°曲げ)
10mm×15mm×1t アルミ角パイプ(ブーム)(230mm×2本)
435MHzアンテナ、ブーム材料(接合部は主に半田付け)
4Φ×3Φ×180mm銅パイプ×4本 4Φ×3Φ×150mm銅パイプ×2本
4Φ×3Φ×130mm銅パイプ×2本 4Φ×3Φ×73mm銅パイプ×2本(ブーム)
4Φ×3Φ×65mm銅パイプ×2本(ブーム) 3Φ×60mm銅棒×8本(30mm+30mm×90°曲げ)
マッチングバー(同軸ケーブル)の処理方法
両端は芯線と編組(145MHz:10mm/435MHz:5mm部分)はエレメントの曲がり直前に接続する。
中心部(145MHz輻射器側304mmと338mmの間/435MHz輻射器側98mmと113mmの間)は編組だ
けをコネクターの中心線に半田付けする。この半田付けした周囲はブームやマストから2mm以上
離すこと。また両端と中心部はシリコン系又はウレタン系のシール剤(接着剤)で防水処理するこ
と。
なおマッチングバーの同軸ケーブルの中心部の芯線は絶縁したままスルーにする。
マッチングバー(同軸ケーブル)の曲がり部分はエレメント及びブームから435MHzで12mm以上、
145MHzで35mm以上(動かないようにスペーサー必要)離すこと。
12mm/35mmを変化させると、SWR最低点周波数が変化する。
M-Rフランジ(アース側)はブーム及びエレメント中心に接続されています。
概要を説明します。
145MHz用アンテナ
1.外側のアルミパイプが145MHz、
2.外側のアルミパイプは外径6Φ、内径4Φ、長さ1mを水平エレメントに410mmと垂直エレメントに590mmに切って、各4本用意し
ます。
3.アルミ棒4Φ、1mを8等分(125mm)して8本にし、80mmと45mmのところで90°に曲げて水平エレメント410mmに80mm部分を、
垂直エレメント590mmに45mm部分を差し込みます。
4.輻射器は垂直607mm、水平458mmに、反射器は垂直607mm、水平510mmに、差込長さを調整します。(エレメント中心寸法)
5.差し込んだところの固定は、M2×6のタッピングネジで行います。
6.ブームは10×15mm、長さ230mm、2本の角アルミパイプでピッチ206mmに6Φの穴を開けて輻射器の水平部上下、反射器の
水平部上下を差し込んでおきます。(エレメントを四角に組む前に差し込んでおく)
7.ブームとエレメントの留めは、1箇所当たり、M3×10mm、1本、M2×8mm、2本のタッピングネジで行います。
435MHz用アンテナ
1.内側の銅パイプが435MHzです。
2.内側の銅パイプは外径4Φ、内径3Φ、長さ1mを2本、水平エレメントに輻射器130mm、2本と反射器150mm、2本、垂直エレメン
トに180mmを4本用意します。
3銅棒3Φ、1mを60mmして8本用意し、30mmと30mmのところで90°に曲げて水平エレメント、垂直エレメンに差し込みます。
4.輻射器は垂直203mm、水平153mmに、反射器は垂直203mm、水平173mmに、差込長さを調整します。(エレメント中心寸法)
5.差し込んだところの固定は、半田付けします。
6.ブーム銅パイプは外周4Φ、内径3Φ、長さ65mmと73mmを2本を縦に重ねて、上下を水平エレメントに直角に半田付けします。
これでエレメントが出来上がります。
主な注意点
1.アンテナの四角形の「ゆがみ」「不平行」「ねじれ」はなし、「寸法」「平行」「90°」は正確に等です。
2.周囲の影響は、八木等に比べると大きく、測定には片側1.5〜2m以上の空間が必要です。
3.実際の使用条件は、周囲に3m以上障害物が無ければ良いのですが、有る場合は145MHzのカブリが435MHzに出ます。
4.私の場合は、1.5mの所にタワーが有るので、仰角の関係で上部がタワーに近づくと、SWRが少し悪化し145MHzのカブリが435
MHzに出ます。
5.これを解決するために、アンテナ直下に145MHz、435MHz共にプリアンプは必要です。(ゲインも必要ですが、互いの戻り防止
にもなっている)
戻り(回り込み) はプリアンプ無しだと受信側のSWR計の針が動きます。
6.さらに、プリアンプの前に、デュープレクサーを145MHzに1個、435MHzに2個シリーズに入れてます。プリアンプの保護にもなっ
てます。これで回り込みは出ません。(リグはFT-847です。他のリグは確認してません)
7.同軸ケーブルのマッチングバーの長さは、あまり正確でなくても良いです。
アンテナは小さくて軽くて比較的作りやすいのですが、このアンテナで運用するとなると、サテライト特有の技術が必要かも知れ
ません。
M-Rフランジ(アース側)はブーム及びエレメント中心に接続されています。
コネクター部の写真です(435MHzの写真ですが、145MHzも基本的には同じ)
同軸の周囲は2mm以上金属から離してください。 下から見ると同軸ケーブルのマッチングバーはS字になってます。
エレメントの両端を狭くするとSWR最低周波数は下がります。広くすると上がります。±2MHzぐらいは、
これで周波数調整できます。(追加)
コネクターの上側のネジはコネクター+ブーム+マストを貫通してます。
実際にはネジがステンレスなのでコネクター+ブーム間を0.5t×6×20mmの銅版をコ字にして接続してます。(追加)
145MHzは、この間にブーム(15mm幅)が入ります。(追加)
コネクターの下側のネジはコネクター+マストを貫通して取り付けてます。
同軸の周囲は2mm以上金属から離してください。
写真はコネクターはM型ですが、NとMではエレメント長が違ってきます。
下の6月4日の寸法はN型の寸法です。
SWRの測定にはアナライザー(BR-510)が必要です。
寸法精度の問題もありますが、SWR最低周波数はピタリとはなかなか出来ません。寸法(周波数)の調整は必要です。(追加)
上左写真はコネクター正面です。
ブームは2本重ねて、その間にネジを通してます。
この写真はエレメントを全て3Φ銅棒でやってますが、折り曲げて指定寸法が出せれば、この方が簡単ですが、曲げて寸法を
出すのが難しいのと、長さ(周波数)調整が出来ません。(追加)
質問が有ればメールください。 コールサイン@jarl.com (追加)
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おわり