トップページへBook Review 著者別あいうえお順 INDEXへ
全読書履歴とその雑感へBook Review タイトル別あいうえお順 INDEXへ


読書記録2003年8月


『若者の法則』
香山リカ(岩波新書)2002.4/★

−感想−

専門である精神分析を駆使して論理的に「若者の法則」を見出すのかと期待
していたら、その内容は空疎で非論理的、感覚的な、日記かエッセイのよう。

恣意的に選択した若者の言動についてあれこれ見解を示すのだが、
「〜だろうか」「〜ではないか」「〜かもしれない」「〜気がする」
「〜と思う」といった表現を乱用し、思い出したかのように精神分析用語を
いいかげんに持ち出し、文章の締めの結論は、ただ世を憂いてみせるか
「大人は〜べき云々」といったような、ずっこける様な託宣、訓戒。
ここにはいわゆる評論家としてのモラル、つまり対象の実態を問い、
論理的に明らかにするといった姿勢は全く感じらない。
これはどう説明したらもっともらしく聞こえるかなあ、
という感じで場当たり適に書き連ねただけだ。

売れっ子評論家として有名な香山リカさんの著作を初めて読んだが、
唖然、呆然としてしまうほどで、プロの物書きの文章とは正直思えない。
フィーリングのみでスキだらけのいいかげんな批評をする方だ、
評論家ではなくエッセイストと名乗った方がよい、
「若者"論"」じゃあないだろう、そんなところが率直な感想だ。


トップページへBook Review 著者別あいうえお順 INDEXへ
全読書履歴とその雑感へBook Review タイトル別あいうえお順 INDEXへ