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[問題 2] 同じ種類の原子なのに放射能をもつものと、放射能を持たないものがあるわけですが、放射能を持つ原子と放射能を持たない原子は、どのように違うと思いますか?
  予 想
   ア. 大きさ
   イ. 形
   ウ. 重さ
   エ. その他


陽子・電子・中性子

 放射能を持つ原子でも放射能を持たない原子でも、原子の種類が同じならその大きさや形は同じです。しかし重さは違います。放射能を持つヨウ素原子は、放射能を持たないものよりも3%ほど重いです。セシウムの原子でも放射能を持つ原子は同じくらい〔約3%〕重いです。

 原子はとても小さい粒ですが、その原子はさらに小さい粒が集まってできています。ここで、原子を作っている3種類の粒について説明します。

 原子にはプラスの電気を帯びた粒と、マイナスの電気を帯びた粒があります。
  プラスの電気を帯びた粒を・・・陽子(Proton)
  マイナスの電気を帯びた粒を・・電子(Electron) 
といいます。
  陽子の重さは、1.672x10の-24グラム
  電子の重さは、0.001x10の-24グラムで、陽子の約2000分の1です。
 陽子が持つ電気はプラス、電子が持つ電気はマイナスで、重さもずいぶん違いますが、1個の陽子と1個の電子がもっている電気の量は同じです。

 原子の中で、陽子は中心部、電子は外側にあって、お互いに離れて存在しています。しかし、実験装置の中などで、特別に大きなエネルギーを持たせた陽子と電子を衝突させると、陽子と電子の結合が起こります。宇宙では、超新星の爆発の時などに陽子と電子の結合が起きているそうです。陽子と電子が結合すると、プラスとマイナスの電気は打ち消されて、電気を持たない〔電気的に中性の〕粒になります。
  この電気的に中性な粒を・・・中性子(Neutron)  といいます。

陽子と電子と中性子が集まって、原子を作っています。

 原子は、左の図のように球形をしていますが、その中心に陽子と中性子があります。陽子と中性子が集まっている部分を原子核といいます。原子核の外側を電子が飛び回っています。この電子の数は、原子核にある養子の数と同じです。陽子の数〔=電子の数〕が、原子番号です。原子の種類により陽子の数〔=電子の数〕は1個づつ違うわけです。中性子の数は陽子と同じくらいです。

ウランの原子核の分裂

 地球上にある原子で、陽子の数が一番多い原子はウラン原子です。
 原子の表でウラン原子を探してみましょう。
 ウランの原子核には何個の陽子がありますか?

 ウラン原子の記号(U)の左下の数字を見て下さい。92 と書いてありますね。この数がウラン原子にある陽子の数です。ウランの原子核にある中性子の数は、146 個です。原子記号の下には、陽子の数(92〕と中性子の数(146)をたした数(238)が書かれています。この数を質量数といいます。

 地球上にあるウランの99.3%は、中性子の数が146個ですが、中性子の数が3個少ないウラン原子が 0.7%ほどあります。このウラン原子も陽子の数は92個ですが、中性子の数が143個ですから、質量数は 235 です。この2種類のウラン原子を区別するときに、質量数を使います。
  ウラン-238とかウラン-235と書きます。

 ウラン-235の原子核は、中性子をぶつけると2つに割れる性質があります。原子核が2つに割れることを、核分裂といいます。これは、 ウラン-235の特別の性質で、ウラン-238の原子核を2つに割ることはできません。ウラン-235の原子核が2つに割れると、ウラン原子の陽子は2つに分けられて、92の半分くらいの陽子を持った原子が2個できます。ヨウ素(53I)やセシウム(55Cs)、その他の原子ができるわけです。

 下の図は、ウラン-235の核分裂を示したものです。細胞の分裂に似ていると思いませんか?

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