記憶整理 その4

幕が下りて、極楽一座が再び登場。
おかしなことになった、と話している間に舞台転換。


縦に長い桶のようなものがついたてんびん棒があって、
椅子代わりの何かに腰掛けて、蕎麦を食べている男が二人。
火の華 銀次と、末吉という「たまや」の花火職人。

末吉「銀あにぃ、今日の花火はどんな仕掛けがしてあったんですか?」
銀次「川開きの花火と同じよ」
末吉「その同じが知りたいんですよ」

火薬の分量やつめ方を工夫しただけだ、と答える銀次。
しかし、花火の工夫は命がけ。
何とかいう親分の下っ引きもやっている末吉に、
そんなことしてる暇があったら、もっと花火に集中しろという。

以前にあった渡り職人から聞いた、異国の花火に興味がある銀次。
日本の花火とは違う色が出せれば、誰も見たことのない花火があげられる。
どんなに技術があっても、火薬が手に入らないと仕方ないという末吉に、
銀次は、異国と取引のある商人に頼めば、手に入るかもしれない、という。

末吉「抜け荷!」
銀次「声が大きい」
たまやの親方はかぎやに勝つことしか興味ない。
言うなよ、と念を押し、しばらく店を休むという銀次。

懐から金を出し、食べ終わったどんぶりと一緒に椅子代わりの台の上に置く。
まだ食べていた末吉、慌てて残りのお蕎麦をすする。
(後の日になればなるほど、すすり方が汚くなっていたような)
銀次の分も箸をとって、「再利用、再利用」といいながら、舞台左から退場。


手ぬぐいでほっかむりをして、顔を隠した日向の旦那が舞台の右から登場。
棒手振りの格好。二人の食べたどんぶりを片付けて、ほっかむりを外す。
なにやら物騒な話だ、とつぶやく日向の旦那。
てんびん棒を担ぎ、何か(お蕎麦の売り文句?)を歌いながら、ゆっくりと舞台左側へ。

場面転換。


お蝶さんの家、銀次の家、日向の旦那の家のセット。

おせわさんが右側から登場。何かを手に持ち、辺りを見渡して、
日向の旦那の家を覗いて、いないのを確認。また右側に退場。

お蝶さんにもらった着物と黒の袴姿で、左側から日向の旦那登場。
暇を告げにきた、と言いながら家の中を覗くが留守。

その声をきいて、おせわさんが戻ってくる。

おせわ「これはどういうことですか!」
日向「それは・・・そういうことでござる」

おせわ「店賃気に入ってくれたって言ってたじゃないですか。
朝から晩まで働きたいっていうから、口入屋も紹介しましたのに、
全部辞めてしまうなんて!」

人に追われている身で、迷惑がかかるからここには居られない、という日向の旦那。
江戸では人に迷惑をかけることなんて、当たり前だ、というおせわさん。

舞台右側から、正吾さん登場。

しつこい、というおせわさん。こんなに良い人なんだから、と日向の旦那にくっつき、
私に免じて見逃してくれ、という。
(千秋楽だけ、正吾さんのことも「良い男」と言ってました)
慌てておせわさんを引き剥がす日向の旦那。

刀を構える正吾さんに、また呪文を唱えようとする日向の旦那。
またそれか、卑怯だとさえぎるように切りかかる正吾さん。

お蝶さんが「その勝負、待った!」と割ってはいる。

高垣藩の屋敷にいったら、お殿様が亡くなったという連絡が入って
大騒ぎだった、と告げるお蝶さん。
上意討ちのことを言ったら、それどころではないといわれた、という。

おつる「私は、でこをひっぱたかれました!」

上意討ちなんてもういいじゃないか、とお蝶がいうが、
これは武士の一分だと答える正吾さん。
(映画「武士の一分」はテレ朝系の映画です。どうでもいい情報ですが)

そもそも、何が理由なのか、というお蝶さんに
正吾「聞いた話によれば、日向殿が殿のでべそを笑ったとか」
日向「笑ってない、笑ってなどいません。咳き込んだんです。
だって、殿のでべそ、こんな大きいでべその上に小さなでべそがあって、
二段でべそなんだもん。ハッハッハッ、笑ってなどいません」

正吾「笑ったんですね?」
日向「(神妙に)はい」

お蝶「でべそ! くっだらない。そんな理由で日向の旦那は国を追い出されたんですか?」

おつるちゃん、日向の旦那の隣にきて、お蝶さんの言い過ぎを謝る。
その後も小声で話す二人。

お蝶「そんなくだらない理由で、正吾様はここまで来たんですか」

でべそなんて、???(何かお金?)を貼っておけばいいんだ、
お殿様なんだから、小判でも貼っておけ、と大騒ぎのお蝶さんの着物の裾を掴んで、
おつる「お師匠さま、言いすぎです!」

正吾さん、それもそうだとあっさり上意討ちを断念。

正吾「この件ですっかり侍が嫌になった」

日向の旦那のように自由に生きたい、という正吾さんに
日向「家があって禄がある。それは恵まれたことだと思うが」

その正吾の決心を「素敵」というお蝶さん。
えぇっと驚いて二人をみる正吾の旦那とおつるちゃん。
お蝶さんと正吾さんが、自分たちは赤い糸で結ばれてる、といちゃいちゃしてるのを、
小指を指きりのようにからめてみたり、首をかしげながら眺めている。

おせわ「す・て・き」

嫌な気配がしたように、二人して身を震わせる日向の旦那とおつるちゃん。
おせわさんを見て、日向の旦那「・・・朝青龍」

赤い糸で運命の人と結ばれてる、というおせわさん。
日向の旦那を見つめながら、その糸をたぐりよせようとする。
引き寄せられそうになるものの、その糸を「とおっ」手刀で切る日向の旦那。

相撲のつっぱりのような動作で距離をとったり、
塩を投げる振りをしたり、しこを踏んでみたり。

お酒でも飲みましょう、という結論になったお蝶さんと正吾さん。
おせわさんもお酒ときいて、そちらの話にのる。

花火の音がする。
もう少しで、川じまいの花火で、火の華 銀次の花火が楽しみだ、という話になる。

お蝶「そうだ、お沙貴さんも誘いましょう」

舞台中央、日向の旦那、何かを考えるように遠くをみながら、
着物の袖の中に腕を入れて、右手(?)を袂から出して顎にあてる。

日向「・・・火の華、銀次」

ちん吉、駒助が、謎の中国人・唐梅松を連れてくる。
女の色気で誤魔化しているだけで、勝負の相手ではない、と話ながら、
指の間に何本も耳かき(?)をはさんで爪のようにして、ポーズをとる。

お願いしますよ、といわれて、3人揃ってポーズ。

おつるちゃんがお沙貴さんを読んできて、お蝶さんの家の中では宴会の準備。
舞台中央では、考え込んだままの日向の旦那。
右側には、変なポーズのままの謎の3人。

音楽が流れる中、幕が下りる。

第一幕終了。

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