ゲーテのファウスト


ゲーテのファウストは、文学作品です。ここで、文学作品を紹介するのに、おや?と、思われる方もいらっしゃると思います。しかし、ファウストにまつわる音楽作品の多さは突出しています。ですから、書物の項目で紹介するよりも音楽の項目で紹介する方が妥当と考えたのです。
僕が最初にゲーテのファウストに触れたのは、手塚治虫の漫画「ネオ・ファウスト」でした。二十歳前後だったと思います。父の書斎に埃を被って置いてあったのを何気なく手に取り、読んだのを今でもよく覚えています。この本は、とっても面白いので、ゲーテの入門書としてお薦めの作品です。
その後僕は、ゲーテという人に興味を持ち、彼の本を時間をかけて一作一作読むようになりました。特に今でも時々手にするのは、古本屋で100円で購入した、「ウェルヘルム・マイステルの修行時代」の一部を抜粋した「美しき魂の告白」という単行本です。他の作品も大変素晴らしいので、是非皆に読んでもらいたいと思います。
僕が本腰を入れてファウストの読解を試みたのは、二十五歳の春でした。当時、僕の心を捉えたのは、マーラーという作曲家でした。その時の僕は彼の作品全てに触れたかったし、彼が影響を受けた人々の作品に多く触れてみたいと思っていました。ドイツ民謡を調べたり、ゲーテを読んだり、ニーチェの本でそれまで読んでいなかった物に挑戦してみたり、そしてついにカントの「道徳形而上学原論」を一冊読み終えたところで、断念してしまいました。「今の俺には、カントは難し過ぎる!俺はマーラーじゃないんだ!」と・・・・、もちろんそれは、当然の話しです。(笑)
マーラーが作曲した作品に、交響曲第8番<千人の交響曲>というのがあります。壮大なスケールの音楽です。この交響曲の第二部で、ゲーテのファウスト第二部の終わりの部分が使用されます。その詩は別のページに掲載しておりますが、僕はマーラーの交響曲第8番を聴きながらゲーテの詩を読むと、「芸術は理屈じゃないんだなあ。」という気分にさせられてしまいます。
ゲーテのファウストにまつわる作品は、数多く存在します。それだけ、『ファウスト』が偉大な作品だという証だと思います。
何せ日本が誇れる偉大な漫画家、手塚治虫でさえインスピレーションを受けたくらいの作品なのですから!
僕がとやかく言うことが許されるような作品ではありません。ですからこのページでは、作品に対する注釈は無しに、ファウストにまつわる作品群を紹介することにします。
機会がありましたら、是非是非それらの作品に触れてみてください。


ゲーテ「ファウスト」(高橋義孝訳/新潮文庫)


ゲーテ「ファウスト」(相良守峯訳/岩波書店)


手塚治虫「ネオ・ファウスト」(朝日新聞社)


マーラー作曲 交響曲第8番<千人の交響曲> 変ホ長調
(ジュゼッペ・シノーポリ指揮/フィルハーモニア管弦楽団/ポリドール株式会社)

マーラーが使用したファウストのテキスト


シューマン作曲 「ファウスト」からの情景
(クラウディオ・アバド指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント)


ベルリオーズ作曲 劇的物語「ファウストの劫罰」
(チョン・ミュンフン指揮/フィルハーモニア管弦楽団/ポリグラム株式会社)


リスト作曲 ファウスト交響曲(3人の人物描写)
(リッカルド・シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団/ポリドール株式会社)


グノー作曲 歌劇「ファウスト」
(リチャード・ボニング指揮/ロンドン交響楽団/ポリドール株式会社)


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