note 2015/07/26

英語化は愚民化
施光恒著「英語化は愚民化・・・・日本の国力が地に落ちる」の初版本を読みました。

以前から英語化教育には直観的に疑問を抱いていたので、この本を読んで我が意を得たりと得心が行きました。.

この問題、即ち「英語公用語化論」は今にはじまったものではなく、1870年代に森有礼(推進派)や馬場辰猪(反対派)との間で大論争がありました。

しかし、当時と現在とで論争の背景や論点が大きく異なるのは、現在では「新自由主義思想」が色濃く反映されているという点です。筆者は、現在の「英語化政策」は多様な意見に耳を傾け審議を深める民主的なプロセスを軽視する傾向が顕著な「新自由主義思想」に依っており、かつ、商業主義化しているということに大きな問題がある、つまり現在の「英語化政策」は新自由主義思想に基づくビジネスの論理から生まれたオールイングリッシュ方式に基づいており、日本を育んできた母語である日本語や文化を障壁と看做す点において、さらには一部のエリート階級が言語の特権を有して一般庶民を社会から排除し、これまで日本の特徴であった分厚い中間層の没落を招いて国力を低下させてしまうという点において、大きな問題を孕んでいると指摘しています。

成程、この考え方は現在の様々な政府の政策に共通化しているように思えてなりません。憲法の解釈変更による安保法制、TPP、そして労働者の権利の削減(解雇要件や労働時間制限の緩和)等々・・・・。

今わが国は国の形が大きく変わろうとする重大な転換点に差しかかっており、様々な問題に国民一人一人が真摯に向き合っていく覚悟が求められる時代になったと思いますが、就中この本は、今年刊行された本の中でも、このことを気付かせてくれる、大いに注目されるべき好著の一つであると確信しました。