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  男の子は少しまわりを歩きたくなった。地面に
 降りると土の香りと暖かさが伝わってきた。月明
 かりを頼りにおぼつかない足取りで歩いて行くと、
 森の中にポッカリと開いたような小さな空き地に
 着いた。
  目の前には、足音でたった今目覚めたというよ
 うな動物達がじっとこちらを見ている。始めのう
 ちは驚いているようだったが、そのうち悲しげで、
 ちょっとなげやりな表情にかわった。そこには何
 も知らないことの気楽さと、悲しさがあった。男
 の子は湿った草の上に座ると、ぼんやりと空を眺
 めた。

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