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男の子が回りを見わたすと、少し離れた葉の
上に青い服を着た女の人が座っていた。その人
は鳥と親しそうに話していたが、やがて男の子
に語りかけた。
「私は植物の精です。ここは何時でも昼、永遠
に続く昼の世界です。ですからいつも光に満ち
ています。」
まわりは見わたす限り、草花の生い茂る生命
の溢れかえるような世界だった。わずかに吹い
てくる風は、ひんやりと乾いていて心地よかっ
た。
「ここは人間がパラダイスと呼んでいる所に似
ています。総てが明るく輝いて、生命のよろこ
びに溢れています。この光のなかであらゆるも
のが分裂し、枝別れして広がって行きます。」
男の子は、自分もまたこの光のなかで、まわ
りの草花と同じようにのびのびと成長する姿を
思い描いた。どこからか花の香りがして、耳も
とで蜂の羽音が聞こえた。男の子はこの光の横
溢を楽しんだ。