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昼の世界
鳥が男の子に話しかけてから数日たった。あれから
鳥は棚の上にじっとしていて、男の子が話しかけても、
まるで死んだように動かなかった。しばらく雨の日が
続き、ようやく晴天の朝をむかえた日、鳥は再び話し
始めた。
「私はむこうの世界とこちらの世界の両方を行き来す
ることができます。私がじっとしている時はむこうの
世界にいる時です。むこうの世界がどんな所か、あな
たは知らないと思っているでしょうが、あなたが見て
いる夢のいくつかは、実際にはむこうの世界にいる時
のものなのです。さあ、これから私と一緒に、むこう
の世界のひとつ『昼の世界』に行きましょう。」
言い終わると鳥は、棚から飛び立った。その瞬間、
目の前が真っ暗になったが、すぐに暗いトンネルをも
のすごいスピードで飛んでいることに気がついた。い
つの間にか身体が、そばにいる鳥と同じ大きさになっ
ている。先の方が少し明るくなったと思った瞬間、目
も眩むような明るい世界に飛び込んでいった。
そこは太陽の光がさんさんと降り注ぐ、花園のよう
な所だった。