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出会い
ある朝、青い卵が割れて、雛が孵った
ようだったが、鳥の姿はどこにもなかっ
た。しかし昼ごろ、棚の上に他の置き物
と同じように、まるで剥製のような青い
鳥がとまっているのを、男の子は見つけ
た。
その鳥はしばらくじっと男の子を見つ
めていたが、そのうち人間の言葉で語り
始めた。「あなたは青い卵の孵し方をち
ゃんと知っていましたね。私が卵から孵
るには、太陽の光と月の光を浴びること
と、もう一つ、人間に見てもらうことが
必要だったのです。私はこちらの世界に
は生まれたばかりですが、むこうの世界
では、気の遠くなるほどの時間を生きて
きました。私はこれから、別の世界にあ
なたをつれて行ってあげましょう。あな
たはそのうち、私と出会ったことを幸運
なことだと思うはずです。」
言い終わるとその鳥は、部屋の中をし
ばらく楽しそうに飛び回っていたが、や
がて棚の上にもどって、まるで硬直した
ように動かなくなった。男の子は友達が
いなかったので、この出会いを大いに喜
んだ。