14 夜明けの世界 賢者の梟に出会った翌日の朝、鳥が 目を覚まし慌てたように話し始めた。 「今日、植物の精が永遠の世界に旅立 ちます。今すぐ行けば見送ることが出 来るかも知れません。」 男の子が夜明けの世界に着いた時、 植 物の精は水平線の彼方、空と海の間 に出来た輝きの隙間に向かって飛び立 って行くところだった。二人は黙って その後ろ姿を見送った。植物の精は一 瞬振り返ったようだったが、輝く光に 溶けてゆくように見る見る遠のいてい った。
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