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  「この先をもう少し行ったところに
 永遠への入口があります。」男の子は
 その入口を見てみたくなったので、一
 緒に行ってみることにした。
  そこは色々な草花が夢のように咲乱
 れている不思議な場所だった。「空と
 森の境目が明るくなっているでしょう。
 あそこを目指してどこまでも歩いて行
 くと、永遠の世界に着くのです。入口
 は夜明けの世界にもあります。私はも
 う少しすると夜明けの世界から、永遠
 の世界に行くことになっています。」
 植物の精はちょっと寂しそうに微笑ん
 だ。
 「永遠の世界はあなたがいままで連れ
 てこられた世界とは全く別次元の世界
 です。ここもそうですが、今まで見て
 きた世界は、物質界と永遠界の中間の
 中途半端な世界なのです。」
  男の子はその方向に目を凝らして見
 たけれど、闇とも光といえない明るさ
 のなかにぼおっと霞んでいて、そこが
 どんな所なのか想像も出来なかった。
 ただ植物の精と会うのもこれが最後な
 のかも知れないと心の何処かで感じて
 いた。
  鳥は夕暮れが余程気に入っていると
 みえて、何処かに飛んで行ったきり帰
 ってこなかった。それで男の子は植物
 の精に元の世界につれ帰ってもらうこ
 とになった

   

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