ヨーロッパ編

第3章 ドイツ編

1998年9月30日 旅行5日目 ドイツ・フランクフルト

 飛行機で飛ぶこと約2時間。いよいよドイツへと到着。
 え?睡眠は取れたかったって?
 いやぁ、お心遣い恐縮です。
 多少は眠ることができました。
 というのも今回は隣が話好きな人じゃなかったんですよ。
 というよりも、話が出来なかったんです。
 何せドイツ人だから。
 それはともかく飛行場へとやってきたツアー御一行様。
 ここでは入国審査はありません。
 よってドイツ語の心配する必要無しです。
 なぜ無いかというと、同じEC(ヨーロッパ共同体)加盟国だからなのです!
 ECでは統一貨幣が使われるってのはご存じですよね?(ユーロ)
 それに加えて、旅行者の負担を少しでも軽くしようということで、EC加盟国内での移動は国内移動と同じ扱いにしましょう、ということになったんです。ですからこの間の移動はパスポートも必要無しなわけ。便利になっていくものですな。
 荷物を無事受け取ったら、もうお馴染みとなった通貨の両替。
 ここでイタリアのリラからドイツマルクへと両替です。
 ところで荷物の受け取りで思い出しました。
 ヨーロッパの空港は実にポカの多い空港なんですって。
 で、よくあるのが荷物の積み忘れ。
 僕が参加したようなツアーでは必ずといっていいほど、荷物の積み忘れが発生して、荷物が空港に届いていない!てことがあるそうです。
 ところが、今回のツアーではそういったことが全く起きなかったんです。
 これにはガイドさんもびっくりしていました。
 ていうか、それでびっくりするんだから普段がどれほどすごいかということも分かりますな。
 まあ、日頃の行いがいい僕に限ってそんなトラブルがあるわけがないんですけど……あ、石投げないで……みなさんもヨーロッパ旅行時には心構えしておきましょう。
 話が横道にそれましたが、続き行きましょう。
 外へ出ると空は曇り、今にも泣き出しそうな天気。
 おまけに肌寒く、ここまで気候がコロコロ変わると体調崩しそう。
 とりあえず、イギリスの時と同様に長袖のシャツを上に羽織ることに。
 肌寒いといっても凍える程ではないのでこれで十分。
 バスへと乗り込み(当然最後列)最初の目的地へと出発。
 その間に添乗員さんからドイツについての説明が2、3。
 しかし僕の心は夢の中ぁ………………

 おはようございます。
 こちらはライン川に面したとある街です。
 ここで一端バスを降りて、昼食のためにレストランへと向かいます。
 にしても、よく寝た。
 ということで、ここまでの道のりであったことは何も知りません。
 とりあえず、めしじゃぁ!!
 しかし、外はあいにくの雨模様。
 ヨーロッパの気候は実にわかりやすいので、ここしばらくは天気が悪くなりそうです。
 傘をさして細い石畳の坂道に入ると、いかにもな雰囲気。

 さて、ドイツといえばビール!
 これに異論がある人はいないと思いますが、今僕らがいるこの地域はどちらかというとワインが有名な場所。この付近には葡萄畑も多く、有名なワインも数多く産出されているそうです。
 しかぁし、せっかくドイツに来たのにビールを飲まないでどうする!
 ということで、ドイツではビールをガンガン飲むことをここに誓います。(爆)
 イギリスでの主食といえばパン、イタリアでの主食といえばパスタ。ではドイツの主食は何なのでしょう?答えは、ジャガイモ。
 ドイツの食卓では色々と形を変えて必ずジャガイモが出てきます。
 中でもよく出てくるのがマッシュポテト。その味については、出た時にお話しましょう。
 本日昼食のメニュー!
 前菜はポタージュスープ。
 さっそくジャガイモですな。
 味はかなり塩辛め。寒い地方のせいでしょうけど、ちょっと日本人の舌にはあわない感じ。
 早速回りからは不平不満が聞こえはじめます。
 しかし、僕にはちょっと辛いぐらいかなという程度。
 おいしくいただいちゃいました。
 メインは鶏の足。

 見た目通りの味。特に変わったとところも無し。
 ただ、ナイフとフォークでは食べづらかったってぐらい。
 付け合わせのフライドポテトとサラダはテーブルの皆さんで取り分けるタイプ。
 となると必然的に僕へと集まってきます。
 何せ、まわりの方々は必ずといっていいほど二言目には「若いから……」と言ってきて、何でもこっちへと持ってきてくれる。おかげで食べ物には困りませんです、ハイ。
 でも、そんなにわたしゃ食べないぞ!と言いつつ、ポテトとサラダを全部平らげる僕。
 デザートはフルーツ。
 もうわたしゃお腹一杯です。フー……
 そうそう、さっそくビールを飲みましたよ。
 昼間っから飲むビール……最高っすねぇ〜
 味の方はというと、日本よりもかなり濃いめ……というのが一般的な印象なのですが、ここでのピールは意外とさっぱり系。まあさっぱり系といっても、日本のに比べれば全然濃いんですけどね。ドイツビールといえども種類は豊富なようですな。今後も楽しみです。
 さて、ドイツ最初の観光はライン河下りです。
 河下りといってもちゃんとした船に乗っての移動です。
 ちなみにちゃんと交通の便としても利用されているんですよ。
 しかし、雨は徐々に勢いを増してきて、本格的な雨へと変わってきました。
 これではせっかくの景色も靄に隠れてしまうではないですか!
 昨日のイタリアの好天が嘘のようです。
 おまけに気温も下がってきています。
 厚着の準備をしていない僕には船上からの観光はつらそうです。
 ブツブツ言ってても仕方が無いので乗船することとしましょう。
 いよいよ出航です!
 船は地下1階、地上2階の作りで、1階部分はレストランになっています。
 乗り口から右側は中2階という形で階段があり、そこはカウンターバーとテーブルが並べられています。僕達が乗船した時にはほとんどレストランの方は満席状態。
 またこういう時だけ素早いおばさん連中に中2階の窓側の席も占拠されてしまいました。
 仕方がないので丁度中央にあるテーブルに腰を落すことに。
 しかし、どうしても景色が見難いので2階部分に当たるデッキへと出ることにしました。
 さすが外!景色は格段に良くなりました、って当たり前か。
 船はライン河をそこそこのスピードで下流へと走っています。
 ふと見やれば色々な景色の中に変わった建物やお城なんかを見ることも出来ます。

 しかし何を隠そう、めちゃめちゃ寒い!!
 一応屋根があるので雨こそ凌げるものの、冷風だけは自分で防ぐしかない。
 って、薄着の俺に防げるかぁ!と吠えるだけ無駄なので再び船内へと戻ります。
 途中、何箇所かの街(電車でいうところの駅ですな)に留まりながら船は雨の中を進んでいきます。

 この船での観光の目玉といえる場所がローレライの岩。
 この名前何となく聞いたことありませんか?
 昔、大きな岩の上からとても美しい女の歌声が聞こえ、それに気を取られた船がたくさん沈んでいったという場所。
 伝説を聞く限りではかなりロマンチックな場所なんですけど、実物を見るとなんてことはないただのでっかい崖。

 こんな何でもない場所も事故が多発しただけで伝説を作り上げてしまう昔の人の想像力は豊かだったのですねぇ〜って昔の人はそうは思ってないだろうけど……
 そんなローレライの岩を過ぎたところにある場所が僕たちの降りる場所。
 船を降りてみるとそこにとまっているはずのバスが無い!
 ざわめくツアー客、慌てる添乗員、変に話の盛り上がっているおばさん達……
 結果10分遅れでバスは現場到着。
 運転手さんの話だと途中でおまわりさんに捕まっていたとのこと。
 実はこの運転手さん、日本人観光客を乗せるのが初めてなら、スイスまでという長距離を走るのも初めて。だから、どの辺りでおまわりさんが張っているかどうかなんてのも知らないわけ。
 罰金は自腹なわけだから、運転手さんも災難でしたな。
 無事、バスへと乗り込んで今日の観光は終了。
 せっかく下ったライン河を上流方向に向かってバスは走ります。
 途中小さな土産物屋でトイレ休憩。
 ドイツといえば有名なのは刃物。
 どんな小さな土産物屋でも、百貨店並みの刃物の在庫を持っているあたりはさすが。
 まあ、僕は買いませんでしたけどね。
 バスで走ること約4時間。僕の睡眠時間約3時間。(爆)
 バスはドイツ最初の宿泊ホテル、アストロン ワインハイムへと到着。
 このホテルは名前の通りワインハイムというところにあります。
 ワインハイムは明日行くハイデルベルク城があるハイデルベルク近郊にある街です。
 といっても結構田舎って感じでしたけど。
 アストロンというホテルはドイツでは結構メジャーなホテルのようで、ドイツ中にホテルを持っているようです。(パンフレットを参照した)
 外観からしてなかなか変わっているこのホテルは、部屋の中も変わっている、というか結構おしゃれ。

 部屋の中を一通り確認した後、スーツケースを取りにロビーへ行こうと部屋を出ると、なぜか廊下には他のツアー客の皆さんがドアと悪戦苦闘中。
 すぐ隣の部屋で格闘している人に話し掛けてみることに。
「どうしました?」
「鍵が開かないのよ」
「おかしいですね」
 そのおばさんと変わってチャレンジしてみてもどういう訳か開かない。
 僕の部屋はあれほど簡単に開いたのに、なぜ?
 ドアノブが壊れそうな力で開けているほかの皆様方。
 しかしよくよくまわりを見ていると、ドアが開かずに困っている人達の部屋はなぜか一つおき。
 僕が首を傾げているとそこに添乗員さん登場!
 困っている僕たちを尻目に簡単に開けてしまう添乗員さん。
 ウソ!あんなに開かなかったはずなのに……
 と、声を失っている僕らに添乗員さんが一言。
「ドアノブが右についている時は左にまわさないといけないんですよ」
 な、なにぃ!!
 ドアなんてノブが右についていようが左についていようが、右にまわして開ける物ではなかったのか!?てっきりそんなことは万国共通だと思っていたのに……
 ちなみにこの現象、フランスでもありました。
 また一つ賢くなった僕でありました。

 そんな獅子てんやわんやのあと(って古い……(^^;;;)は食事。
 今晩から夕食はホテルのレストランでとるかたちになります。
 これなら多少食事のペースが遅くても、すぐ寝ることが出来ますからいい感じです。
 ではでは本日夕食のメニュー!!
 前菜は昼と同様ポタージュスープ。

 ただし、このスープ昼以上に塩辛い!
 おかげでまわりからは大ブーイング。
 体が塩辛いのを求めている僕でもちょっと辛かったですから、結構な辛さです。
 他のみなさんにはかなりきつかったことでしょう。
 完食していたのは、僕も含めて2、3人でした。
 メインディッシュはポークソテー。

 ここでマッシュポテトがお目見えしたのですが、このマッシュポテトが予想に反してうまいんだな、これが。フワフワしてジャガイモじゃないみたいなの。
 日本で食べるのとは全く違う代物でした。
 で、デザートなんだけど。う〜ん、何と説明すればのかなぁ……
 こんなことなら写真撮っておけばよかったよ。
 簡単に言うとね、オレンジクリームとメレンゲなの。
 メレンゲはホイップしたのを焼いたもの。サクサクっとしたやつね。
 オレンジクリームはそのまんまオレンジの味がする生クリーム。
 それだけが乗ってるの、お皿に。
 なんとも感想の言いづらいデザートでした。
 ちなみにここで飲んだビールは昼間に比べれば濃い目。
 辛目な味付けが多かったんで、もう少しドライな感じのビールを欲しく感じてしまいました。

食事を終えた後、部屋に戻る。
 あれほどバスの中で睡眠を取ったはずなのに、猛烈に襲ってくると疲れと眠気。
 やばい……予想以上に体は疲れを感じてきている……
 午後9時就寝……やっと旅の前半戦が終了したのである…………

1998年10月1日 旅行6日目 ドイツ・ワインハイム

 7時起床。
 10時間は寝たにもかかわらず、やっぱし眠い。
 眠り病にかかっているのではないかというぐらい眠い。
 取り合えず顔を洗って、ホテルのレストランへ。
 今までの朝食は本当に軽い物が多かったんだけど、ここで初めてビュッフェ式の朝食とご対面。
 普段そんなに朝食なんてとらないのに、こんなときだけはついつい多めに皿に盛ってしまう、悲しいほどに小市民な私。
 なかでもやたらと取ったのが生ハム。
 日本で買ったら結構するでしょ、値段。
 それが取り放題なんだもん。そりゃ食べるでしょ。と、ますます小市民な私。
 丸いパンにナイフで切り目を入れ、たっぷりのチーズと生ハムをサンド。
 それをガブリといきます。
 おおぉ〜デリィシャスゥ〜〜!!
 日本でこんなの食ったら軽く4桁はいっちゃうな、などと考えながらパン2個をあっという間に平らげたのでした。
 こんなにいいホテルなのに1日でさよならとは実に残念。
 荷物をまとめ、バスへと乗車。
 定位置、最後部座席に座り、後半戦のスタート。
 今日、明日の観光が僕は一番楽しみだったので、徐々に眠気が飛んでいくのが分かります。年甲斐もなくワクワクしてるわけです。
 最初の目的地がハイデルベルク城。
 ホテルから割と近いところにあるお城です。
 ただ建物の中にはほとんど入れないため、観光はもっぱら外からになるとのこと。
 またここも有名な観光スポットのため、結構ツアー客で混雑するところだそうです。
 そんな混雑した所を見ても仕方が無いので、他のツアー客よりも一足先に着こうという作戦です。
 それが起床7時につながるわけです。
 案の定、目的地に着くと僕たちのツアーが一番乗り。
 早朝のため少し肌寒く、空も曇りでしたが、すがすがしい朝です。
 まだ、お店も開いていないようで、聞こえてくるのは風に揺れる木々の葉の音と小鳥のさえずり、そして、じっちゃんばっちゃんの話し声……って、雰囲気台無しやん。
 このハイデルベルク城は過去にいくつもの戦争に巻き込まれたため、損傷しているところが結構目立ちましたが、それでも中世のお城独特の美しさは兼ね備えていました。

 ちなみにこの場所は昔、詩人のゲーテが好んで歩いた散歩道としても有名で、その記念プレートがあったりもしました。
 門から城内へと入ります。
 中は予想したよりも広い感じがしましたが、城の中というよりは小さな町の中といった印象を受けました。でも、意外とそんなものなのかもしれません。
 何せ例え敵から攻撃を受けても、中では人の営みが行われてきたわけですから。
 そんな建物と建物の間を抜けると、そこは回りの景色が一望できるいわばテラスのようになっていました。そこからの景色はなかなか良かったんですけど、当時はここから攻撃は受けずに済んだのかしら?と考えてしまいました。
 その後数少ない入れる建物の中へと移動。
 そこにはめちゃめちゃデカイ、ワイン樽が置いてありました。
 このデカさがまた尋常じゃない!
 高さはざっと4〜5m、奥行きにいたっては8〜9mはありそう。(あくまで目測)
 この樽一杯のワインを飲めと言われても、一生かかっても飲めないかもしんない。
 まあ、それぐらいのデカさなわけです。
 ところで、この樽を置いている場所で目についたのが日本の観光地でも有名な落書き!
 ペンか何かで書いた物から、ナイフのような物で彫ったもの。
 ほとんどが自分の名前と日付を書いている。
 でも、意外と日本人は少なかったのよ。
 明らかに多いなと感じたのは英語。
 アメリカ人かイギリス人かは分からないけど、どこの国でもみんなすることは一緒なんだなとこんな所で再認識です。
 そんなに広い建物でもないので1時間もしないうちに観光は終了。
 バスへと乗り込み、古城街道を走ってローテンブルクへと向かいます。
 古城街道は名前の通りヒルシュホルン城やホルンベルク城といった名城が連なる街道です。
 昨日ライン河下りでみた数々のお城やこの古城街道で見たお城もほとんどは今は私有の物になっていて、ホテルやレストラン、もしくは自宅や別荘などとして利用されているそうです。
 つまりたくさんお城があっても実際に中に入って観光が出来るところっていうのは限られているみたいですね。
 でも、個人的にはそういったホテルには泊ってみたかったです。
 車窓から眺める景色は自然にあふれ実にのどかで心が和みます。
 心が和めば、体も和み、そのまま夢の世界へ…………って毎度毎度すんません。また寝ちゃいました。

 目が覚め外を見ると景色は一変、街の中となっていました。
 やがて着いた場所はレストラン。
 時計を見るとちょうどお昼時。
 つーことで、本日昼食のメニュー!!
 前菜は野菜スープ。昨日のスープに比べれば薄味で飲み易い。
 ところでドイツで有名な食べ物といえば何が思い出されますか?
 多分10人中9人までが答えるであろう食べ物がメインディッシュ。
 僕にとっては待ってました!と言わんばかりの物……
 今日のメインディッシュはソーセージ&ザワークラフトです!

 やっぱしドイツ来たらソーセージ食べながらビール飲まなきゃダメでしょ。
 で、頼んだビールがバイエルン地方にしか置いてないという珍しい白ビール。
 黒ビールは知ってても白ビールを知っている人はなかなかいないんじゃないかな?
 かくいう僕もメニューを渡されるまでは知りませんでした。
 一番重要なお味の方なんですけど、これが実にうまい!
 決して濃厚なわけじゃないんですけど、味がいいのだ。
 味が強いからといって、喉越しが悪いわけでもない。
 まあ、さすがにドライビールほどの喉越しはなかったですが、今まで僕が飲んだビールの中でも3本の指に入る旨さでした。
 さてさてメインディッシュの方ですが、また偉く立派なソーセージさんです。
 お味の方はやはり塩辛め。
 でもその辺がますますビールに合うわけです。
 ソーセージの下に盛り付けられているザワークラフト(キャベツの酢漬け)はかなり酸っぱめかなというイメージを持っていたのですが、予想に反して実にいい味でした。
 もしかしたら日本人向けにアレンジしてるのかしらというぐらい、酸味は控え目でお味も上品。
 この程よい酸味も少し辛目のソーセージにはぴったり。
 白ビール、ソーセージ、ザワークラフトが口の中で奏でる三重奏といった感じでしょうか。
 このメインディッシュのイメージがあまりに強烈だったため、デザートに関しては何の記憶も残っていません。(自爆)
 とにかく大満足の昼食となりました。
 レストランを出て、その足で観光のスタート。

 石畳が奇麗な通りを歩きはじめると遠くに時計台のような物が見えます。
 5分ほど歩き、今日の第2の観光地ローテンブルクの街へと到着しました。
 ローテンブルクは戦いから守るため回りを壁で囲んだ街で、昔の趣を残したままとなっています。ですから街に入るところは何箇所かにある門だけです。
 そんな門の一つをくぐるとそこはもう中世の街並み……とまではいかないですが、なんか都会とは違う穏やかな街並みが目の前に広がります。
 しばらく歩くと右手には大きな教会が。
 ガーン!こ、ここでも工事してる…………なぜ?こうもうまい具合に工事中とぶつかるかなぁ。天気もイタリア以来パッとしないし……僕そんなに日頃の行い悪かったかなぁ……
 なんてブツブツ言っても始まらないので、添乗員さんの後をついていきませう。
 路地を2、3回曲がるとそこはとっても広い広場になっていて、たくさんの人で賑わっています。

 目の前に大きくそびえたつのが市庁舎で1日に何回か決まった時間に人形が時計の横の窓から出てくるそうです。で、もらったパンフレットを見ると次に出てくるのは2時。今の時間が1時45分。おお!ジャストタイミング!トイレにでも行って戻ってくればいい感じかな?
 ここでの自由時間は1時間。1時間経ったら再びこの場所に戻ってきてねと添乗員さんがみんなに説明を始めます。
 その時、突然横から歌声が。
 一斉に広場にいた人々の注目を集めたその歌声は、じっちゃんばっちゃんで構成された聖歌隊。
 奇麗なハーモニーで周囲の人々の耳を魅了します。
 しかし、まだ説明中だった添乗員さんにはいい迷惑。
 回りを見れば誰も添乗員さんの話なんか聞いてません。
 ちょうど、目が合った僕に添乗員さんはお手上げのポーズ。
 結果そのまま流れ解散的に自由時間は始まりました。
 さてさて、ここまでほとんど土産物を買っていない僕としては、そろそろこの辺りから土産物を買いはじめていないといけないのです。
 とか何とか言っときながらまずはトイレに。
 ヨーロッパの公衆トイレはほとんどが有料とのことですが、ここは幸いにも無料。
 ちょうど広場の真裏に当たるところにあるんですけど、パッと見はトイレとは気付かない。だってちょうど街の景色に溶け込んでいるから。
 かろうじてある看板と大きなドアの取っ手、そしてやたら人の出入りが激しいという3つの点で判別可能です。って、ここまであれば十分か。(笑)
 トイレを済ませ広場に戻り、時計を見ると2時10分前。
 1時間しかない自由時間の6分の1をボーッと過ごすのももったいないので、軽くお店を見に行くこととします。
 来る時に通った道とは逆の道を歩いていくと、スーパーを発見。
 ちょうどデジカメ用の電池が切れかけていたので買うことにしましょう。
 やっぱし、個人的には土産物屋さんよりはこういう普通のお店の方に惹かれてしまうなぁ。
 目的の電池をゲットして時計を見れば2時5分前。
 そろそろいい時間ですな。ふたたび広場に戻ることとしましょう。
 広場はさっきよりも人の数が増えています。
 2時になりました。
 すると時計の両側にある窓からそれぞれ1体ずつの人形が現れます。
 1体はワイングラスを持った将軍。
 もう1体は大きなジョッキをあおるおじさん。
 これはここに伝わる話を元にした物だそうで、昔この街が戦争に巻き込まれそうになった時、軍隊長が大きなジョッキになみなみと注がれたワインを一気のみできれば街を滅ぼさないでやるという問いかけに街一番の大酒のみであった町長がチャレンジして見事にクリアしたというものです。
 おかげで今のように奇麗な街並みが残されているということですね。
 人形自体は実にシンプルな物でしたが、微笑ましくてよかったです。
 人形を見終えた僕は広場から坂になっている道を下っていくことにします。
 しばらく歩くと街を出る形になるのですが、そこはちょうど公園のようになっていて、他の国のツアー客が大勢いて賑わっています。
 またここは景色が実にいい場所で、絶好の撮影ポイントにもなっていました。

 加えて街を下った場所にあるので、街を見上げるような構図で撮る写真も門のところにある塔が映えてなかなかいい感じ。
 あと、公園の中ではバイオリンを弾いている人もいました。
 落ち葉が舞い散る公園でバイオリンを聞きながら物思いに耽る……実にいい感じなんですが、実際のところは台湾語か何かが辺り一面に入り交じって、とてもロマンチックとは形容しがたい状況でした。
 さてさて、時計を見やれば自由時間も後20分。
 そろそろお土産を買いはじめなきゃまずいでしょ!
 てことで土産物屋へゴー!!
 土産物屋といえば、この街にはクリスマス専門店が2店舗あったんですよ。
 年がら年中クリスマス関連商品を置いているというちょっと珍しいお店です。
 まあ、あまり興味がわかなかったので詳しくは見ませんでしたけど。
 僕が実際に行った土産物屋さんは日本語が通じる土産物屋さん。
 何せドイツ語なんて全く分かんないもんね。
 外国語を話さなきゃいけないっていうプレッシャーがあるとゆっくりと商品を見る余裕もなくなるってもんです。ですから、安心してお買い物が出来る場所へと行ったわけです。
 さてさて、お店に入ったのはいいが何を買いましょう?
 ドイツ名産のビールは売ってないんですよ。買いたかったんだけど。
 だからといって刃物を買うってのもなぁ。ものすごい入り用なうちとかないだろうし……
 人形や絵葉書、小物やお菓子……どうもどれもイマイチです。
 そうやっているうちにも時間は確実に経っていきます。
 ふと店の一番奥を見やると「ワイン試飲コーナー」の文字が。
 うん、ここはワインでも飲んでよく考えませう!
 つーか、ただ飲みたかっただけなんですけど。
 試飲コーナーにはやたらと早口な眼鏡をかけた日本人のお姉ちゃんが紙コップにワインを少しずつ注いでいます。
 お姉ちゃんが差し出す紙コップを受け取り、くいっと飲む僕。
 量はものすごく少ないんですけど、ワインの芳醇な香りが口の中に広がります。
 このワインなかなかいけるなと思っていると、お姉ちゃんは続いて2杯目のコップを手渡します。
「1杯目のもなかなかいけるでしょ?ところがこの2杯目もすごいんですよ。ドイツワインの中でも高級品に属するワインですからね。日本じゃなかなか飲めませんよ!」
 そこまで言われちゃ飲まないわけにはいかないでしょう。
 ちなみにワインの種類は「アウスレーゼ」。聞いたことない種類です。
 1杯目の香りが消えかけた頃合を見て、2杯目を飲み干します。
「甘い!?」
 まず感じたのはその甘さ。
 いままで飲んできたどのワインよりも甘いのです。
 だからといって決してしつこいわけではなくて、すーっと喉の奥へと流れていきます。
 流れた後には1杯目以上の香りが口の中を満たしていくのです。
 確かにこれはうまいです!こんなワインは初めてです。
 そんなちょっと茫然としている僕を見てお姉ちゃんの口舌は続きます。
「ね?おいしいでしょ?まあ少し甘めですから、こっちではデザートワインとしてよく飲まれているんですよ。これをお土産に買うだけでもかなりポイント高いですけど、上には上があるんですよ。何も言わずにこれを飲んでみてください」
 と差し出す3杯目。
 いわれるがままに飲み干す僕。
「うわぁ〜」
 2杯目とは比較にならないほどの甘さが口の中を駆け抜けます。
 それもハッキリと葡萄の姿をした甘さが。
 かといってぶどうジュースのような葡萄の甘さではなく、葡萄の甘さに深みを加えたというかなんというか、ともかくめっちゃ葡萄なんです!
 2杯目以上に旨いんです!!こんな旨いワインも初めてです!!
 ビールに続いて、おそるべしドイツ!!!!
 お姉ちゃんの話ではこのワインは「アイスワイン」というそうで通常の葡萄の収穫時期に収穫をせず、冬になって実が凍りついた朝早くに収穫をするそうです。これで甘さが増すということ。
 ただそれだけ手間が普通のよりもかかっているため絶対数が少ないそうです。
 だから日本で買うと1本5万は軽くするんだって。
 これだけ旨いワインなら買っとかないとね。自分用に。
 ちなみにお値段は日本円にして約1万2千円。
 ちょっと高いけど、おいしい物で金に糸目はつけてられないでしょう!
 というところで自由時間も終了。
 解散をした広場へと戻ります。
 みなさんがぞろぞろと集まって、バスが停まっている駐車場まで少し歩くことに。
 そこで、ハッと気がついた!
 友達への土産、また買ってないや…………。
 まあ仕方ないしぃ〜。バスはホテルに向かって走り出します。
 ホテルへの道はまた結構あります。
 ですが、今回通る道はあの有名なロマンティック街道!
 ドイツ旅行のパンフレットには必ず載っているあの街道です。
 さてさて、どのようにロマンティックなのでしょう?
 窓の外の景色を眺めてみましょう。
 うわぁ〜〜何も無い!!
 目に入ってくるのは延々と続く畑もしくは野原のみ!
 一体この景色のどこがロマンティックなんだぁ!?
 とここで添乗員さんからのお言葉。
 ここでいうロマンティックとは歴史的なという意味合いがあるそうです。
 つまりこの道はもともとは昔の街道として使われていたということ。
 別に景色がロマンティックなわけでもロマンティックな建物がまわりに建っているわけでもないということです。
 おまけに地元の人はここがロマンティック街道って呼ばれていることなんか知らないんですって。
 つまりある意味、観光客へのピーアール用の名前だったわけです。
 まあ、聞くところによると日本にもロマンティック街道があるんですってよ。
 どこにあるかは知りませんけど……とまあ、こっちの人もそんな風に感じているのでしょうか?
 どうりで交通量も少ないと思った。
 こんな田舎道を走るのは観光バスだけ。
 地元の車はもっと広いちゃんとした道を走ってるようです。
 結果、バスはホテルに着くまで4時間近く走ることになるのでした。

 ホテルについた頃は外も暗くなっていて、肌寒さが増していました。
 ロビーでホテルに関しての説明を受けた後、各々自分の部屋へと移動。
 もちろん僕は自分でスーツケース運びましたよ。
 ポーターなんか待ってられないもん!
 どういう訳か泊ったホテルはどこもエレベーターが小さい!
 だから、ポーターも一度に運べない!
 結果運ばれるのが遅くなる!
 待ってられない僕は自分で運ぶ!
 おまけに今日のホテルはエレベーターの小ささが並じゃないので階段を使うはめに。
 ヒーコラ言いながら階段を上って部屋へ。
 今日のホテルの名前は「ケーニヒスホーフ」。
 明日観光をするノイシュバンシュタイン城があるヒュッセンの近郊にあるガルミッシュパルテンキルヘンというやたら長ったらしい街にあります。
 ホテルについた時間が夕食時だったこともあり、すぐに夕食となりました。
 では本日の夕食のメニュー!
 前菜のスープにはなにやら入ってます。

 なんというかまあ、おいしかったですよ。味はやっぱし塩辛めでしたけど。
 メインディッシュはイカのフライとサフランライス。

 実は今回の旅行で僕のワースト料理がこれ。
 イカのフライとビールはおいしかったの。
 ただ、問題なのはお米。
 悲しいほどに日本人な私にはこのパラパラでパサパサなお米がちっともおいしくない。
 これは他のツアー客の面々も同意見のようで、今まで以上のブーイングが飛び交います。
 僕は親のしつけのこともあってすべて残さず食べましたが、他に残さず食べていた人は全くいませんでした。みなさん一様にお米を残しています。
 いくら幸せな舌を持っているといっても、自国の主食の味だけは譲れないようです。
 まあこのお米が何かしら別の料理になっていたのなら問題はなかったんでしょうけどね。(チャーハンやパエリアなど)
 最後はよくあるフルーツで終了。
 部屋に戻った僕はシャワーを浴びて、とっとと寝ることに決定。
 いくらバスの中で寝てるとはいえ、日本のに比べやたらシートが固いヨーロッパのバスでは、寝ることによって疲れが取れることはない感じ。逆に色々なところが痛くなる始末。睡眠はバスで取れるけど、疲れはホテルのベッドでしか取れないわけ。
 明日の起床も6時と早め。
 少しでも体を休めておかないと旅行どころではなくなるわけなのです!
 てなわけで10時半就寝です。

1998年10月2日 旅行7日目 ドイツ・ガルミッシュバルテンキルヘン

 突然のモーニングコールに飛び起きた僕の頭に重く鈍い衝撃が走る。
 痛む頭を手で押さえつつ電話を取る。
 受話器から言葉はない。
 シンプルなモーニングコールのようだ。
 時計を見れば5時。
 眠気と痛みで頭の中身はパニック状態。
 徐々に目が覚めてきた僕の目に映ったのは木製の棚。
 どうやら、ここに起きた時に頭をぶつけたらしい……
 もう、何やってんだか……朝一からブルーになる気分。
 頭をさすりながら、洗面所に行き、服を着替え、朝食を採りに部屋を出る。
 朝食を採る部屋は既に他のお客さんで一杯で座るところがない。
 まあ、どこか空くだろうと食事の置いてある方の部屋へと移動。
 今日の朝食も昨日と一緒でビュッフェスタイル。
 これまた昨日と同様にたらふく生ハムを取り、特製サンドイッチを作り上げ、隅にひとつだけ空いていた席に座りほうばる。お腹が満足になってくると徐々に頭の痛みもひいてきた。
 いつまでもブルーな気分ではいられない。
 なにせ今日は僕の中で今回の旅行の目玉ともいえるノイシュバンシュタイン城観光が待っているのだから!!
 ノイシュバンシュタイン城。
 みなさんも名前は知らなくても一度は写真かなにかで見たことがあるお城だと思います。
 木々が生い茂る森の中にそびえる白いお城。
 「白鳥城」とも呼ばれるその美しさは万人が認める物でしょう。
 その実物が見れるなんて想像しただけでもドキドキです。
 しかしあいにくの空模様。
 雨こそは降っていないものの今にも泣き出してしまいそうな天気です。
 しかし、そんな不安をよそにバスはのどかな風景の中を一路城へと向かって走っていきます。
 すると徐々にあの厚い雲が晴れていくのが見えます。
 そして遠くに、目指すノイシュバンシュタイン城が見え始めた頃には陽が差してきはじめたのです。ああ、神様ありがとう!

 天気も好転してきたところで次に気になるのがやはり他の観光客の数。
 このノイシュバンシュタイン城は本当にメジャーなお城のため、ドイツにくる観光客はほぼ100%観光に訪れます。当然、日本人に限らずです。
 結果、いつもお城は大混雑。
 それを避ける意味も込めて昨日と同様にかなり早めに出発したのですが、今日は既に10月。
 10月からは冬時間ということで開城時間が遅くなっているのです。
 開城時間が遅くなれば、客の混雑ぶりも悪化。
 じゃあ早く来る意味がないのかというとそうでもないらしくて、専用バスに乗るためらしいです。
 お城の入口は山の上にあるそうで、今乗っている観光バスじゃ道が狭すぎて登れない。
 で、観光バスの駐車場から出ている専用バスに乗り換えてお城へ向かう。
 しかし、道が狭いため専用バスでさえ1台のバスで運行をしている状態。
 つまり、道ですれ違うことが出来ないからなんですねぇ。
 結果、やっぱしバス乗場も大混雑ということらしいっす。
 まもなくバスは駐車場に到着予定。
 ふと前を見やれば別の観光バス、後ろにも観光バス。
 ここで添乗員さんから一言。
「バスを降りたら乗場まではダッシュですよ!早い者勝ちですからね」
 よっしゃー!こうなったら一番若いもんが走って場所確保しなきゃダメでしょう!
 ということで、僕はバスが到着次第乗場に向けて猛ダッシュ!!
 坂道を駆け上がること約2分。
 バス乗場を発見!
 と、同時に大量の待ち人も発見!!
 ガガーン!こ、こんなに早起きしたのに……な、なんでこんなに人がいるのよぉ〜。
 バスを待っている人はざっと見ても100人はいます。
 それを見た添乗員さん、こんな提案をされます。
「まあ、往復ともバスに乗れるとは思ってなかったんですけど、どうします?この行列を待ってバスに乗るか、自分の足で登るか?」
 じ、自分の足で登る?!
 聞けばそんなにも距離があるわけではないそうです。
 でも、山登りはきついしなぁ〜。
 かといって、これを待っているのもきついしなぁ〜。
 と僕が悩んでいるうちに自分の足で登ることが他のツアー客の賛同によって決定しました。
 また悩み損です。どうも深く考えると裏目に出るようです、僕。
 まあ、決定したのなら話は早い。とっとと登ってしまいましょう!
 登山道はきちんと舗装されていて結構幅もある。
 ただ、斜度は結構あるんでなかなかいい運動になりそうでありやす。
 他のツアー客が登山に賛成したのは、結構山登り経験者が多かったからのようです。
 お城への道を歩きながら、やれ富士山に登っただどうだとお話をしておリました。
 登り道を歩く我らの前には別のツアー客も登っているようです。
 しかし不思議なことに、自分の足で登っている観光客は外人さんばかり。おまけにみなさんご年配のようです。そういえば、バスを待っていたのはほとんど日本人で若い人の姿も目立っていました。外国人に比べて日本人には甘えがあるということでしょうか?で、その傾向は年が若くなるにつれて強くなるということなのでしょうか?実際のところは分かりませんが、そんなことを考えてしまいました。
 山登りはかなりきつい運動となりましたが、自然の中を歩いている感じが強かったので実にすがすがしい気分になれました。一緒に歩いている外国人の人に挨拶なんかしたりして。でも、どうやらペースが早かったらしく、後ろを見ると他のツアー客の姿が見えない状態。
 ちょっとペースを落とそうかと思った時、山の上に木々の間から白い壁のような物が見えてきました。どうやら、ゴールは間近のようです。
 それから更に歩くこと5分。やっとノイシュバンシュタイン城へと到着!
 結果、お城の入口に着くまでに40分も時間がかかっちゃいました。
 それでも、バスを待っていた人よりは早く着いたのですから、この選択は間違ってなかったようです。大きな門をくぐるとちょっとした広場になっていて、どうやらここで開城を待つようです。
 と、そこに小さなショベルカーを発見!
 こ、ここまでもが工事中なのか?!と、ドキリとさせられましたが、幸い観光には全く関係ないところの修理だったので良かったです。まあ、ショベルカー自体もなければよかったんですけどね。
 早速順番待ちの列に並ぶことに。
 しかし、開城時間まではまだたっぷり30分はある模様。
 結果的に待つはめになってしまうのですね……
 ブツブツ言っても仕方が無いので、その待っている列からお城を眺めることに。
 ここもイギリスのウィンザー城と同様に城内は撮影禁止のため、思い切り写真が撮れるのは今だけです。また、イギリスの時のようにカメラを持っているだけで文句言われても嫌だしね。

 待つこと約30分。
 僕らが着いたころには2、30人しかいなかった観光客も気付けば数百人!
 順番待ちのレーンはそれぞれ国別になっていて、我らが日本人の多いこと多いこと。
 次に多かった英語圏(イギリス・アメリカ)の倍はいましたからね。
 やがて開城時間となり、まずは英語圏の国から順に入っていきます。
 国ごとに分かれるのは中での説明を同じ言語で進めていくためです。
 英語圏に続いて私達日本人の番です。
 ドアを中に入るとまず石で出来た螺旋階段を登り、上へ上へと進みます。
 途中に2階とかの目印があるわけでもなく、窓などがあるわけでもないので、あっという間に自分がどのへんにいるのやら分からなくなってしまいます。
 ゾロゾロと列をなして登ること約10分。やたら長い廊下へと出てきます。
 ここには待ち合い用のイスも準備されていて、先に入ったはずの外人さんも多数いらっしゃいます。どうやらここでもう少し待たなくてはいけないようです。
 奥の方をよく見ると黒い門のような物があり、そこから一定人数づつ中へと入っていくようです。
 つまり、中が混雑しないようにという配慮があるのでしょう。
 これなら観光もしやすいですし、多少の待ち時間は我慢することにしましょう。
 10分ほどしてやっと僕たちのツアーの順番が来ました。
 黒い門を抜けるといよいよ本格的な観光のスタート。
 最初の部屋には窓があったので、そこから写真を1枚。

 城内は撮影禁止だけど、城内から城外を撮るのは問題ないそうなので。
 観光は場所場所でいったん集まり、そこで案内用のテープが流れるようになっているようです。
 さて、色々な部屋を見てまわった感想なんですけど、すっごい綺麗でした。
 同じ綺麗でもイギリスのウィンザー城は気品があふれた綺麗。
 で、ノイシュバインシュタイン城は威厳あふれる綺麗さ。
 写真があれば意味も分かってもらえると思うんですけどねぇ……
 実は城内は写真禁止にもかかわらず、他の観光客はバシャバシャ写真撮ってるの。
 だからといって、禁止のところでわざわざ鞄からカメラを取出すような真似も出来ないし……
 なんかものすごく悔しかったですよ!
 あと最初のうちは部屋なんかもじっくりと見れたんですけど、後半になるにつれてだんだん部屋が狭くなってきて、最後の辺りはもうすし詰め状態。おかげで後半は何見たかあまり記憶に残ってなかったりするのだ。残念!
 というわけで、細かい美しさは実際にその目で確認してきてください。ってどんな旅行記やねん。
 待ち時間1時間、観光時間20分のノイシュバンシュタイン城を出て、帰りの専用バスに乗るため乗合所へと向かいます。
 ところが、この道のりが行きの道よりも勾配がきつくて本当にきつい!
 しかも坂を登ったり下ったりしてるところに湿った落ち葉がたっぷりと落ちているため、転ばないように神経までもかなり使う。たかだか行きの3分の1の時間で着いたにもかかわらず、疲れ方は2倍というひどい道でした。ふぅ〜。
 バスが来るまではまだあるということなので、近くにあるつり橋を添乗員さんは勧めてくれました。そこからだとノイシュバンシュタイン城を綺麗に見ることが出来るそうです。
 それなら行かないわけにはいかないということで、疲れた足を引きずりつつつり橋へと向かいます。やがて見えてきた橋は既に大勢の人で大混雑。

 人をかき分け橋に入るとノイシュバンシュタイン城が綺麗に見えました。
 その美しさを写真でどうぞ!

 帰りのバスで1人戻ってくるのが遅く、バスの運転手さんがブチ切れるというアクシデントがあったものの、一行は無事駐車場へと戻ってきました。
 そこにあった土産物屋でトイレ休憩。
 僕はミネラルウォーターを購入。ちなみに土産はまた見送り。
 駐車場からは別のお城の姿もみえます。
 そして、ついさっきまでいたノイシュバンシュタイン城もお見送りです。
 あまりの人の多さで観光を満喫とまではいきませんでしたが、お城の魅力にますます魅せられてしまったようです。またヨーロッパに来る時があれば絶対にお城巡りをすることをに心に誓った僕でした。

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