ヨーロッパ編

第2章 イタリア編

1998年9月25日 旅行3日目 イタリア・ローマ

 眠いのに寝られない地獄のような2時間が過ぎ、飛行機はイタリア、ローマの空港へと無事着陸。窓からはまぶしい太陽の光が差し込み、僕のはっきりと開いていない目を容赦なく攻撃してきます。しかし、これからローマ観光が待っている身としてはいつまでも寝ぼけ眼でいるわけにはいきません。頬を2、3発両手で叩いて喝を入れます!
 飛行機を降り、ターミナル行きのバスに乗車。
 やがてターミナルへと着き、中に入るとそこは入国審査場。
 長蛇の列の並びについた時……はっ!僕はある重大なことに気付きます。
 イ、イタリア語分からん…………
 ところで皆さんはいくつのイタリア語を話すことが出来ますか?
 僕は「グラッチェ」ぐらいしかわかリません。
 そう、「こんにちは」すら思い出せないのです!!
 ピ、ピ〜ンチ!何か聞かれたら何と答えればいいのだぁ!!
 と、悩んでる僕の背中を誰かが叩く。
「はい?」
「前、進んでますよ」
「え?」
 言われて列をみるとあれほど並んでいた列がみるみる審査場へと飲み込まれていっています。
 慌ててついていくと、皆さんパスポートを開いて審査官に見せているだけ。
 な、なにぃ〜!そ、それだけでOKなのくわぁ〜〜!
 イギリスに続き、またも僕の取り越し苦労で終わってしまったのでした。
 またも何か納得がいかない僕でした。

 スーツケースを取り、空港のメインエントランスへ。
 ここで、イギリス通貨からイタリア通貨への両替です。
 ちなみにイタリアの通貨はリラ。1000リラが約90円というレートでした。
 ちなみにイタリア語でのこんにちはは「ボンジョルノ」だそうです。添乗員さんに聞きました。
 皆さんもイタリアに行く時のために覚えておきましょうね。
 空港から外へと出ると、実にいい天気。
 気温もいっきに上がって30度!
 はっきり言ってイギリスと同じ格好では暑い!
 緯度ではかなり北にあるのにこんなにも気候に違いがあると改めて驚かされますです。
 さてさて、観光バスへと乗り込み(席は当然最後列!ていうか、最後に乗ったらそこしかいつも空いていないのだ)観光へといざ出発!
 空港から高速道路に乗り一路ローマ市内へ。
 このバスの中で添乗員さんから色々と説明があります。
 お金のことやチップのことなど。で、一番重要なのがこの国は観光客には危険な国だということ。
 ご存じの方も多いでしょうけど、イタリアはフランスについでスリやひったくりの多い所なんですって。ということで、ここではいつも以上にお金やパスポートは大事に隠し持たなくてはいけないのです。特にこれから観光に行くポイントはローマの中でも名所中の名所ばかり。名所ということは、観光客が集まる。必然的に人が多い。ということはスリにとってのターゲットも多いということ。結果スリの数も多い、というわけなんですね。僕も注意しましょう。
 高速道路をひた走るバスから見える風景は実にのどか。
 でも、なんかイタリアっぽい風景というのにはまだ出会えません。
 バスの最後部でカメラを構えている僕に何かしら、っぽい建物が見えました。
 おおお、徐々にイタリアっぽくなってきてるぞと、期待も高まっていきます。
 てな感じでいつの間にやら眠気も吹き飛んでしまっている僕です。
 やがてバスは高速を降り、一般道へと入っていきます。
 一般道に入ると景色は一変、一気に遺跡の街ローマという印象を与えてくれます。
 しかしそれ以上に目に入ってくるのは車の多さ。

 街全体が遺跡となっているローマではむやみやたらに地下を掘れません。
 だって、掘ったら遺跡が出てきちゃうんですから。
 だから地下鉄はほとんどないに等しいもの。電車もそんなに市内をガンガンに走っていないので、一般市民の足となるのはバスか車。また、古い建物を勝手に壊すわけにもいかない。つまり、地下も地上も好きにいじれない。で、駐車場も実に少ない。結果、車は路上駐車をするしかない!まあ、写真を見てもらえれば何となくわかってもらえると思うんですけど、縦列駐車の車の間隔が異様に狭いんです。
 これを見て、「わあ、イタリア人って車の運転うまいんだなぁ〜」と感心してはいけません。だってこの車の止め方、日本人からしたら信じられないような止め方なのです。まず、車が1台入れそうなスペースを見つけたらおもむろに入り、前の車をコンコン。で、今度はバックして後ろの車をコンコン。前をコンコン、後ろをコンコン、降っても降ってもまだ降りやまず〜って違うか。まあ、つまり前後の車にぶつけながら自分の車を隙間に入れるという実に日本人から見たら強引なとめ方なのです。でも、こっちの人は車を軽くあてられたぐらいじゃ怒りません。というのも、こっちの車はバンパーが非常に丈夫に作られているので、それぐらいの衝撃じゃ傷さえつかないんです。まあ、さすがに傷が付くぐらい強くあてられたら怒るみたいですけど。
 そんなこんなで車がやたらと多いイタリア、こういった古い遺跡の中を大量の車が走っていく光景は妙にミスマッチなんですけど、今と昔を対比しているようで面白いですね。
 徐々にバスは住宅地へと入っていきます。
 取り合えず観光の前に昼食があるためです。
 腹が減っては観光はできぬのですよ、皆々様。
 えーと、イタリアでも基本的に前菜、メイン、デザートといった感じで出てくるんですけど、イギリスと明らかに違うのは『前菜=パスタ』ということ。つまり、イタリア人は毎食パスタを食べるのです!(朝食は除く)
 さすがパスタの本場ってだけのことはありますねぇ。僕も結構期待しています。
 では9月25日の昼食メニュー!!
 前菜というかパスタはトマト風味のシンプルなもの。

 パスタが太く見えるのは錯覚じゃないですよ。実際に太いんです。
 というのも、実はこれ日本でいうところのマカロニ。ちゃんと穴も開いてるんですよ。
 で、このパスタのおいしいことおいしいこと!
 シンプルな味付けながらも、深みがあるんですよ。たかがトマトソースに。
 あっという間に僕は平らげてしまいました。
 で、メインディッシュはカツですな。

 味的にはハムカツって感じ。付け合わせはジャガイモです。
 テーブルにはケチャップがあったんでそれをつけて食べたんですけど、ガイドさんからよくよく話を聞いてみると、イタリアにはケチャップなんて代物はないそうなんです。だから、このカツもイタリア人は特に味付けをせずにそのまま食べるんですって。
 じゃあ何でケチャップが置いてあったかというと、我々観光客のためにわざわざ輸入品のを買ってくれているのだそうです。つまり店からしたら我々はかなりわがままな客ということになりますね。
 ちなみに味はよかったです。そのままでも十分食べられたし。でも、パスタの勝ちだな。
 デザートはフルーツポンチのようなものでした。味は取り立てていうほどのものでもなかったので割愛します。
 お腹もふくれましたし、いよいよ本格的にローマ観光です。
 再びバスに乗り込み出発進行!
 さてさて、今回の旅行では5ヶ国をまわるわけなんですけど、厳密にいうと6ヶ国なんですよね、実は。その6ヶ国目に今向かっているのです。

 さてここで問題。その6ヶ国目とはどこでしょう?
  第1ヒント:人口は約3000人です
  第2ヒント:世界一小さな国です
  第3ヒント:髪の毛を刈るものに名前が似てます
 正解は30秒後すぐ!

(この文章を30秒かけて読みましょう)

 さて、気になる正解です。
 正解は「バチカン市国」でしたぁ〜。ちなみに第3ヒントはバリカンです。
 冗談はさておきそのバチカン市国のある寺院、サンピエトロ寺院へとバスは向かいます。
 ちなみにサンピエトロ寺院はカトリックの総本山。想像するにでかいんだろうなぁ〜。
 てな事とを考えているうちにバスは目的地へと着きました。
 ん?何、あの足場のようなものは?
 ガーン!ここも工事中とはぁ・・・・・
 ガイドさんの話では2000年に何やら重要な催し物があるそうで、それに備えて綺麗に建物を直している所だそうです。何だかなぁ〜昨日からこの調子だもんなぁ……やはり少し納得がいかない僕でした。
 にしても、予想はしていたけれどもデカイ!

 正面の広場は広いし……
 でも、国境のようなものは特別見受けられなかった気がします。
 まあ、そんなものを探す余裕が無かっただけなんですけど。
 でも、やっぱりあの足場はいただけないよなぁ〜。建物がさっぱり見えやしない。
 ふと右を見やればおまわりさんが一杯。
 何かあったのかと思いきや、皆さん和気あいあいとしております。
 中には女の子に話し掛けている人まで。
 おまわりさんも当然イタリア人。陽気でありました。
 でも、そんなんで治安を守れるのだろうか……
 まあ、深くは考えないことにしませう!
 にしても、すごいなぁ〜と口を開けたまま寺院の入口へと向かう僕。
 徐々に巨大なその入口へと近づきます。
 一歩中に踏み込むと最初は中の暗さに目がついていかず、回りをきょろきょろするばかり。
 やがて、僕の目の前には巨大な寺院の中身が飛び込んできたのだった。

 ………………………………あっ、失礼しました。
 ちょっと言葉を失ってしまいました。
 寺院の中はそれが一つの芸術作品であるかのような、美しさと威厳を持っていました。
 ありとあらゆるところにある彫刻は、宗教に疎い僕には何を表しているかはさっぱりですが、出来の見事さにただただ感動です。

 寺院の中は沢山の観光客の声とガイドの声で決して静かではありませんでしたが、その荘厳な雰囲気はそんな雑音すらも消し去ってしまうような、そんな感覚に襲われました。
 色々な人の神に対する思い、願い、色々な感情が詰まっている場所。
 騒々しさの中にも静けさを味わえる空間、実に不思議な場所。
 そんな場所をゆっくりと出た時、いつも以上に太陽は明るい視線を僕に投げかけてきました。
 そう、神が降臨される時の一筋の鮮やかな光のように…………

 えーと、基本的に感動屋さんの僕はついついこんな事を書いてしまうんです。
 体がかゆくなった人は遠慮せずにかきましょう。でも、かきすぎは皮膚に悪いぞ!
 さてさて話を戻しましょう。
 このサンピエトロ寺院は僕が来た翌日にはローマ法王が来られていたそうです。
 つまり、翌日だったら中に入れなかったというわけ。実にラッキーでしたね。
 再びバスに乗り込んだ我らの次に向かうは、後ろ向きでコインを投げることで有名なあの場所。
 そうです、トレビの泉です!
 車はどんどんと進んでいきます。
 トレビの泉では先程も書いていますけど、後ろ向きでコインを1枚投げて泉に入ったらもう一度ローマに来ることが出来るという実に有名なお話がありますよね。実はこれに続きがあるって皆さんご存じでした?僕は正直なところ知りませんでした。
 その続きというのは後ろ向きでコインを2枚投げて2枚とも泉に入ると好きな人と結ばれるっていうんです。それだけじゃない!3枚投げて入ると、別れたい人と別れられるんですって!どういう理屈でそうなるのかは謎ですけどねぇ。
 やがてバスは泉に近い所で止まります。
 泉への道は細いためバスじゃ入れないんですって。
 あと、ここはスリが多いから注意してとガイドさんから一言。
 え?僕は大丈夫なのかって?
 大丈夫よ、お金は靴下の中に入れたからね。
 いくらなんでも靴脱がされてまで、お金はとられないでしょう。
 歩くこと約5分、トレビの泉に到着!はいいもののものすごい数の観光客!肝心の泉が見えやしない。

 人をかき分け泉に近づくと予想以上に泉がデカイ!

これだったら、簡単にコイン入るじゃねぇか!という突っ込みはさておき、僕もコインを投げときましょう。記念ですしね。え?何枚投げたかって?そんなの決まってるじゃないですか、さ……あ、イヤイヤ、い、1枚ですよぉ。ハッハッハッ。
 もうその話はいいでしょ。ところでイタリアと聞いて思い出す食べ物を3つ上げろといわれたら何を思い出しますか?
 僕は迷わず「パスタ」、「ピザ」、そして「ジェラート」の3つをあげます。
 ということで、泉のすぐそばにあるジェラート屋さんに入って、早速頂きます。
 僕が食べたのは「ティラミス」でしたけど、甘くておいしかったですよ。
 トレビの泉の観光を終えた我々は一路バスが待っている駐車場へと向かいます。
 趣のある石畳を歩くこと約20分、長い階段を降りると駐車場があったのですが、ちょうどそこでは遺跡の発掘作業の真っ只中。ガイドさんが言っていたどこを掘っても遺跡が出るという立派な証拠でしたね。

 すぐ隣には既に発掘が終わっている遺跡があって、昔の姿を少しだけ見せていました。
 再度バスへと乗り、本日の観光最後の目的地コロセウムヘと向かいます。
 コロセウムは昔の格闘場で、今使われているコロシアムの語源になった所ですな。
 駐車場からはバスで約15分、目的地が見えてきました。
 もういい加減しつこいけど、これまたデカイ!!

 これを機械も何もない時代に作ったっつーんだから、改めて人間ってすごいよねぇ〜。なんとここにはエレベーターまであったっていうんだから、なおさらすごい!
 バスをすぐ近くの駐車場に止めて、そばまで行くことに。
 コロセウムのすぐそばには凱旋門がたっていました。
 にしても、間近でみると更に何回りも大きく見えますなぁ〜。
 じつはここも写真で撮った反対側は工事中。
 どうも今回の旅行は工事にやたらぶつかるのです。まあ、今回は視界に入らないだけでもマシということで、ガマンします。
 ガイドさんから一通りの説明があった後、自由時間となりました。
 コロセウムの中にも入れるそうなんですが、ちょっと手持ちのお金が少なかった僕は外で待っていることにしました。
 この場所もたくさんの観光客で賑わっていて、昔の戦士の格好をして写真のサービスをしていたり、でもそれ以上に露店が多かったです。
 あと、革や鞄を売り歩く黒人の人達の多いこと!まあ、この人達はいわゆる貧しい家庭の人達で、売っているものも偽物がほとんどだそうです。そんな彼らが突然脱兎の如くコロセウム周辺からいなくなりました。何事かと様子を眺めていると、向こうからはパトカーが。つまり彼らは無断で販売をしている違法者でもあるみたい。パトカーがいなくなると、どこに隠れていたのかまたゾロゾロと現れるみんな。何かリアルな現状を垣間見た気がしましたね。
 でも、何で近くにいた騎馬警察の方々は注意しないんだろう?
 やがてコロセウムの中に入った人達も戻ってきて、バスへと戻ることに。
 時計を見るとまだ5時をまわったぐらい。
 今晩の夕食はカンツォーネディナーなので、まだまだ時間があまってる。
 え?カンツォーネって何かって?まあ、後で分かるんだから慌てないでね。
 で、時間が余ってるのよ。
 ここで、ガイドさんが気を利かせてくれて追加観光決定!
 その目的地がココ。

 写真を見たあなた、答えは分かったかな?
 そうです、映画「ローマの休日」で有名な真実の口です。
 嘘をついた人間が口に手を入れると手が抜けなくなるというアレね。
 実はさっきの写真撮るの大変だったのだ。
 皆さん、ここで写真に写ろうと思ったらどういう構図で写りたいですか?
 やっぱし、口に手を入れた所を撮られたいでしょ?
 みんな考えることは同じ。
 じっちゃん、ばっちゃん連中はこぞって、我先にと口に手を入れ入れ代わり立ち代わり写真を撮っていきます。僕の撮った写真はその合間をとらえたものなのですよ。
 それと僕は口に手を入れてはいません。だって、入れたら絶対に手が抜けなくなっちゃうもん。
 でも、今回の旅行記に嘘はないから気にしないでね。
 で、やっぱしいるよねぇ、手が抜けなくなったフリする人。回りの笑いを誘ってはいたけど、演技力がイマイチだったので5点。(何がだ?)
 ちなみにこの真実の口は教会の入口にあるものなんです。教会の名前は忘れてしまいましたが、えらい交通量の多い通りのそばにあって、妙にやかましかったのが印象に残ってます。
 臨時観光をしてもまだ時間が余っていた我々一行は、バスの運転手さんの粋な計らいにより、ローマ市内を一望できる丘へとやってまいりました。
 こうやって高い所から街を見てみると、本当に街全体が遺跡だというのが分かります。

 ここで印象に残ったもの、その1。すぐそばにあったお店に何故かセーラームーンのビニール人形が売っていたこと。(しかも可愛くない)その2、近くのベンチでラブラブモードだった恋人たち。以上!って何見とんのやぁ!というツッコミはありです。
 なんてことをしているうちに徐々に日も暮れ、夕食の時間が近づいてきました。
 でかいプレステの看板を横目にレストランへと到着。
 レストランに入り、地下へと階段を降りるといきなり鎧を来たおじちゃんが剣を突きつけてくるではないですか!よくよく見るとカメラマンもいる。どうやら、サービスで写真を撮ってくれるようです。せっかくですから、撮られときましょ。
テーブルにつくとさっそく料理が運ばれはじめました。
 見ると一緒にワインも配られています。
 このレストランは実にいいことに1テーブルに1本白ワインが付いてきてたんです。
 今回の旅行では基本的に食事の時の飲み物は自腹です。
 それが丸々1本も頂けるなんて……といっても、1テーブルには6人ついてるんですけどね。
 では9月25日夕食のメニュー!
 まずパスタはカネロニとラザニア。

 カネロニは気持ち辛口だったんですが、ラザニアが甘口だったので、うまく中和されてお口に優しかったです。まあ、味は濃かったんだけど、僕には丁度よかったかな。
 で、今晩はカンツォーネディナーなわけです。
 40行間イライラしていたあなた、お待たせしました。
 カンツォーネとは何か?
 正解はお歌です。
 まあ「帰れソレントへ」や「フニクリフニクラ」なんかを割腹のいいおっちゃんが朗々と歌い上げるアレよ。
 その歌声を聞きながらのディナーなわけですな。
 ワインを片手に、有名な曲、僕はよく知らないけどじっちゃんばっちゃんには好評の曲、日本人よりも一緒にいたアメリカ人に好評な曲など、色々と歌ってくれる中、食事は進みます。
 今日のメインは牛肉のローストビーンズソースかけ。

 パスタの濃い味付けに比べると、実にお上品な味付け。
 でも、なかなかボリュームはあったから食べごたえもあったし、何よりワインにあうんじゃ。
 気付けばグラスに4杯も飲んでました。
 でも、隣のおばちゃんがガンガン注いでくれるのよ。それもグラスになみなみと。
 結果、テーブルで僕が一番飲んでました。(自爆)
 その後、歌を歌うおっちゃんものってきて、店内は大盛り上がり。
 しかもこのおっちゃん、アドリブがやたらきく人で、女好き。まあ、女好きなのはイタリア人の特徴なのだけれども(厳密には女性に優しい)おばちゃんらと抱擁しまくり。
 もちろん、若い子ともだけどね。おばちゃんらより長めに。
 てな感じで、盛り上がったディナーも2時間後に盛大な拍手とともに終了。
 最後に握手をする機会があったのですが、その手の大きさと笑顔にに懐の深さも感じました。
 心から「グラッチェ!!」です。
 余談。
 来た時に撮られた写真は有料でした。まあ、そんなところだろうとは思ったけど。 一応、記念に買いましたけどね。10000リラなり!

 お腹も気分も満足でホテルへと着いた僕らに明日の予定の連絡。
 明日の出発は8時。モーニングコールは6時。
 昨日の4時半に比べればまだマシかと感じている自分が少し恐い……あんなに朝早く起きるの嫌がってたのに……旅行ってスゴイ……
 イギリスと同じくスーツケースを部屋に運び込んだ時、昨日の寝不足が僕に一気に襲いかかってきた。そういや、僕あまり寝てなかったんだっけ………… 
 ろくに荷物の準備もせぬまま、午後10時過ぎ、就寝。

1998年9月26日 旅行4日目

 起床7時。
 て、あれ?モーニングコール鳴ったか?
 まあいいか、寝坊じゃないし。
 ゴゾゴゾと動きだし、着替え、朝食をとり、ロビーに出てきたのは集合の15分前。
今日はローマからちょっと離れ、ナポリの方まで向かいます。
 バスでの移動時間は片道約3時間。
 というわけで、いきなり車内で寝る僕。
 途中トイレ休憩でハイウェイのサービスエリアで止まった時も一人バスから降りずに爆睡。僕が目を覚ました時はちょうどバスが最初の目的地に着く所でした。
 今日最初の目的地はカメオの工場、というか製造と販売を一緒にしている所です。
 さて、カメオとは何でしょう?
 カメオとは貝殻を削って作るアクセサリーです。
 女神様の顔などが浮き彫りにされているピンク色の楕円形のブローチとか見たことない?
 あれがカメオなのです。
 イタリアではローマ帝国の時代から作られていたものだそうで、当時は写真の代わりに家族の顔を彫って、戦争の時に男が持っていったものだそうです。今ではお守りとして広く使われていて、彫られている女神様によって御利益が違うとのこと。ビーナスとかフローラとか知っている人だったら、何に御利益があるかは想像つくんじゃないかな?
 今でもイタリアでは非常にポピュラーなもので、いいカメオは代々受け継がれていくものなんだそうです。ちなみにバスの運転手さんもカメオの指輪をしていました。ガイドさんは50万ぐらいのやつを買ったんですって。今後代々受け継がせていくと話していました。
 そんなカメオは完全な手彫り。
 職人さんが何本もの彫刻刀を使い、丹念に彫りあげていきます。
 だから値段も結構するんです。小さいやつでも5〜6000円は当たり前。
 個人的にはブローチの回りにグリーンの装飾をして、花の女神フローラが彫られたやつがいいなあと思ったんですけど、定価は何と750万リラ!(=約68万円)とても手が出ませんでした。
 でもおばさん連中には大好評。カメオに群がる皆さんを僕は後ろでただ眺めているだけでした。

 次の目的地はポンペイ。
 ポンペイは昔火山の爆発で街全体が灰に埋もれてしまったという悲劇の街。
 そのまま年月が経ち、やがて発掘されたその街は昔と同じ姿を残していたのでした。
 そう、ポンペイとは遺跡の街なのです。

 詳しい雰囲気は写真を見て感じてもらうとして、ここでは印象に残ったことをかいつまんでお話しましょう。

 まず、本当にきちんとした街だったことが一つ驚きでした。
 街の中にはありとあらゆる店があり、結構豊かな街でもあったんだということが分かります。
 例えばパン屋の跡にはパンを焼く窯が残っていたり、市場のような所では壁に色々な商品を売っている絵が描かれていて雰囲気を作っていました。
 他に賭博場らしき跡や、銭湯にいたっては風呂桶からマッサージ場跡、サウナ跡まで残っていました。
 あと、昔でいうところの赤線なんかもあったみたいです。何せ看板がアレでしたし。
 赤線が分からないという人は、お父さんお母さんに聞いてみよう!
 「突然何を聞くのこの子は!」と怒られるかもしれませんが、人生これも勉強です。(爆)
 またこの街ではきちんと水道が整備されていて、蛇口もありました。
 正直、今とそんなに変わらない生活が出来ていたのだろうと想像できます。
 それと実際に歩いて感じたのですが、予想以上に広い街でもありました。
 加えて道路もきちんと整備されていて、街の区画整理もきちんとされていたことが分かります。

 しかしたった一度の火山の噴火で全て灰に埋もれてしまった……
 この遺跡にはその噴火の灰で亡くなった人の遺体も2体ほど保存されていましたが、あまりにも生々しく、じっくりと見ていることは出来ませんでした。
 ガイドさんの話では、その噴火を起こした火山はまだ活動をしているのだそうです。
 といっても日本の富士山のような休火山らしいですが、万が一また噴火をするようなことがあれば、せっかく発掘したこの遺跡はまた灰に全て埋もれてしまい、何百年も見ることが出来なくなってしまうだろうとのことです。そうです、この遺跡は発掘までに何百年もの歳月を要していたのです。
 昔の人々の知恵と自然の恐ろしさ、その両方を見ることの出来る街でした。
 余談。
 ある家にはお勉強の部屋がありました。
 ガイドさんも「皆さんも見てよく勉強してください」と言っていたので覗いてみると、中には何枚かの絵が。それぞれ描かれているものを見ると、先程看板としてみたアレが描かれていたり、男性と女性が色々な格好で体操をしている絵が描かれていたり、なんかやたら大きいアレを持った男の彫刻があったり……つまり、性教育の勉強部屋なんです。
 一応、おばさんらには大好評であったことを付け加えておきます。
 一通り遺跡をまわった後は待望の食事。
 遺跡のすぐ近くにあるレストランへと移ることに。
 では9月26日昼食のメニュー!
 パスタはアサリとトマトのパスタで、初めて日本でもポピュラーなタイプのパスタを食べることになりました。

 今までは始めから皿に盛られた状態で運ばれてきたのですが、今回は大皿をボーイさんが持ってその場で盛り付ける形。事前にバスの中で量を多くしてください、少なくしてくださいという意味のイタリア語を教わっていたので、皆さんそれぞれ量を調節してもらいながらもらっています。
(ちなみに量を多くは「タント」少なくは「ポコ」ものすごく少なくは「ウンポコ」です)
 特にイタリアでは料理を残すということは非常に失礼に当たるので、量が多いと思えば少なくしてもらい、もっと欲しければ欲しいと積極的に言うことが重要なんです。
 さて、私が座ったテーブルはどういう訳か最後に盛り付けられるようです。
 最初に盛り付けられたテーブルが食べ終わるころやっと僕のテーブルへとボーイさんが来てくれました。皆さんの要望を聞きつつ盛り付けていくボーイさん。で、僕は全員の中で最後に盛り付けられることに。
 ふとボーイさんの持つ大皿の中を見たら、偉いたくさん残っているではありませんか!
 するとボーイさんが私に向かって一言。
「ヤマモリィ?」
「や、山盛り?」
 うなずくボーイさん。
 よっしゃ、こうなったら受けちゃろうじゃないか。(←バカ)
「OK!山盛りっ!」
 ボーイさんはニコニコしながら大皿に残ったパスタを僕の皿へと盛り付けていきます。
「ヤマモリッ!ヤマモリッ!」
 他のボーイさんまで一緒になって言い出して、気付けば写真の如くです。
 でも、僕も遺跡を歩き回って疲れていたのか、結果簡単に全部平らげてしまいました。
 意外と食べられるもんですな。しかし、さすがにお腹も一杯の手前。これでメインが食べられるのか?
 それを考えてくれてか、メインの量はかなり少なめでありました。
 サラダとイカ、エビのフライがメインの料理。

 見た目はさびしいですけど、このエビが意外にもおいしかったんです。
 小さいくせにミソがたっぷりあって甘かったですぅ〜。
 デザートはマスカットがドカンとテーブルに1皿。
 しかし、食べるのが面倒くさい果物はあまり好きではないので、5、6粒だけ食べてごちそう様でした。
 食べるもの食べると眠くなってしまうのが世の常。
 次はナポリまでバスで移動するため、それまでは寝ることに決定。

 目が覚めた時はちょうどバスが道路の片隅で止まる時でした。
 寝ぼけ眼で外を見やると、まぶしいほどの青が目に飛び込んできました。
 澄んだ青い空、そして碧い海。そこはナポリ湾。

 こんなに奇麗な海と空を見たのは本当に久しぶりだったんで、少し感動。
 ガイドさんもここまで綺麗に晴れ上がったのを見るのは久しぶりだそう。
 あ〜泳ぎたかったなぁ!
 再びバスに乗り、海沿いを走ることに。
 しばらく行くとヨットハーバーが見え、海をバックに映える彫刻のようなものがあり、先程近くまで行ったポンペイのそばにある山までもが見えました。

 走るバスから後ろを見ると大きなお日さまがこれでもかと言わんばかりに輝いています。
 しかし、なんと今回の旅行で青空を拝むことが出来たのはこのとき以外にあと1度だけだったんです……

 その後バスは再び3時間ほどかけてローマへと帰還。
 免税店に直行と相成りました。
 さて、ヨーロッパといえば消費税が高いことで有名。ですから免税店をうまく使うのがお土産購入のポイント。しかし、イギリスの時もそうだったんだけど何かやたら高いものしか置いてないようなところに連れていかれるのよねぇ。まあ、他のツアー客のことを考えればそうなるのかもしれないけれど、別にあたしゃブランド物なんぞに興味はないし、基本的に高い買い物をするのは機械関係だけだもの。もっと、お菓子とか万人ウケする土産が欲しいのよぉ。
 てことで、ここでもお土産買わず!
 こんなんで大丈夫なのか?!
 手ぶらのままレストランへと到着。
 では9月26日夕食のメニュー!
 パスタはアラビアータ。

 まあ、辛口のシーフードスパゲティと思いねぇ。
 同じシーフードスパでも昼に食べた物とは味がハッキリと違うから面白いねぇ。
 メインはイタリアといえばという料理、ピザ!

 このピザはマルゲリータというピザの中では一番シンプルな物。
 生地にトマトソースを塗りチーズをふっただけの物なのです。
 このシンプルな物だからこそ、素材の味が一番分かるわけですな。
 まあ、確かにお腹的にはさびしいものだったんですが、結構いけましたよ。
 同じ物を日本で食べるとなると、さすがに味気ないんですけど、この辺がイタリアのすごいところなのでしょうか?ていうか、錯覚しているだけだと突っ込まれたら何も言えないんだけども……
 でも、それ以上に衝撃的だったのが付け合わせのサラダ!
 このサラダにかかっている物はオリーブオイルと塩だけなんです。
 もう、メチャウマ!!
 このサラダで個人的な土産にオリーブオイルが決定しました。
 今までオリーブオイルそのものの味なんて出会うことがなかっただけに、油のくせに!てな感じに一本取られた気分ですわ。
 デザートはアイスクリーム。まあ、普通って感じ。
 ちなみにここでも女性のエレクトーン演奏による歌のサービスがありました。
 日本の曲もサービスで弾いてくれたんですが、「上を向いて歩こう」は分かるんだけど、なぜに「瀬戸の花嫁」??
 まあ、おばさんには好評だったんで、彼女は心の中でガッツポーズに違いない。

 ホテルへと帰り、明日の連絡。
 明日は3ヶ国めドイツへと向かいます。
 もちろん、交通手段は飛行機。
 明日はもちろん観光も控えているので、早めの出発なわけですな。
 飛行機の出発は7時!
 まあ、幸いにもホテルは飛行場から近いのでという前置きを交えながらも出発は5時!
 結果モーニングコールは4時!
 予想していたこととはいえ、気分のいいもんではありませんな。
 とっととシャワーを浴びて、ベッドにもぐりこむことに決定。
 しかし、おとといのイギリスと同様、すぐに寝付けない!
 これには多少は理由があって、今回の旅行で一番楽しみにしていたのが明日訪れるドイツ。
 本場のビールとお城巡り。遠足前の小学生のような状態に陥った私がそんなことを考えているとそう簡単に寝付けるものではありません。
 結果、就寝は12時前なのでした……

1998年9月27日 旅行5日目

 今朝もモーニングコールには全く気付かず、起床4時40分。
 おいおい、時間ねえじゃねえかよぉ!!
 慌てて着替え、顔を洗い、荷物をまとめロビーへ。
 その足でとっととバスに乗り込み飛行場へ。
 今回は割と早めに手続きが終わったので、空港内でお買い物をする時間ができました。
 昨日決めたオリーブオイルを詮索……
 でも、せっかく買うんだったら、パスタソースも欲しいよなぁ……
 考えること20分……あ、僕優柔不断なんです……パスタセットを購入決定。
 あと、友人が先日結婚したばかりだったので、そのお土産にとイタリア調味料セットを購入。
 木箱に入ってなかなかゴージャスな物なので、よろこんでもらえるだろうとおもったのよ。
 ところがこれが大失敗!
 めちゃめちゃ重いんだこれが。
 おまけに割れ物だから手荒に扱うこともできないし。
 途中、日本へ送るような真似もできず、この大荷物を新たに加えて残りの旅を続けることとあいなったのでした……ね、ねむおもい………………

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