ヨーロッパ編

第1章 イギリス編

1998年9月23日 旅行初日 イギリス・ロンドン

 窮屈な座席に悩まされること11時間と40分。
 飛行機は無事イギリスのヒースロー空港へと着陸。
 でも、体の節々が痛い……こんな体で大丈夫なのかしらと少し不安になる僕。
 ちなみに着陸体制に入る前まで機内では「タイタニック」が上映されていました。縁起でもない!

 さてさて、海外旅行で初めて訪れる国の場合一番最初に気になるのが入国審査。
 なにせ、もしかしたら審査官に何か聞かれるかもしれません。
 まあ、幸いにもイギリスは英語のお国。英語の簡単な質問ぐらいならなんとかなるでしょう。
 一応滞在期間は3日間だから「three days」、目的は観光だから「site seeing」……
 と、頭の中で練習していざ審査場へ!
 しかし、思いとは裏腹にやたら無愛想な姉ちゃんがパスポートを奪いスタンプを押しておしまい。
 まあ、こんなもんでしょう。せっかくの練習がムダになったのをブツブツ言いつつも荷物の受取場へと足を進めます。
 おお、流れてきましたよ私のスーツケースが。
 よいしょっとコンベアーから下ろして横に置いてみたところ何か安定しない。
 よくよく見ると足が1個取れているではありませんか!!(車輪じゃない方よん)
 早速添乗員さんにかくかくしかじか。
 すると空港の一番奥へとご招待。そして、そこにいためちゃめちゃ割腹のいいおっちゃんに何やら英語でペチャペチャとお話。私のわずかな英語力で翻訳開始!

 「なんかスーツケース壊れてまっせ!」
 「さいでっか。ほな、搭乗券見せておくんなはれ」
 「ほれ」
 「ほお。で、どこが壊れてますのん?」
 「ここや」
 「ほんまですな。これなんぼでこうたんでっか?」
 「2万円や」
 「へえへえ、ほなこれ渡しまっさかい、日本の空港で手続きしてや」

 と、1枚の用紙を渡してくれます。これを関西空港の方で渡せば修理の方をしてくれるそうです。
 なるほど、勉強になりましたですな。
 ちなみに翻訳が関西弁なのは僕のサービスということで気にしないでね。
 手続きも無事終了し、空港のメインエントランスへとやっと到着。

 日本を出発したのが9月26日の午前11時40分。
 それから12時間フライトしても、日本とここロンドンとは8時間の時差があるため今の時間は出発と同じ日の9月26日の午後3時40分。
 まあ機内で窮屈ながらも睡眠をとったおかげか、そんなに時差ボケはありません。
 しかし、他のご年配のツアー客のことを考えてか今日の観光はお休み。
 ということで、そのままホテルへと直行。
 外は生憎の曇り空。まあ、日本のように雨が降っていないだけでも良しとしましょう。
 気温は日本よりちょっと涼しいかな?程度。
 僕はTシャツの上に長袖のシャツを羽織った格好だったのですが、このままでも全然大丈夫でした。

 観光バスへと乗り込み、早速ホテルへと出発。
空港から徐々に郊外の風景へと変わっていくと、さすがにイギリスっぽい町並みが広がりはじめ、ここで初めて僕はイギリスに来たんだなぁと実感したのでした。
 え?実感するのが遅いって?意外とそんなものなのよ、旅行って。(当社比)
 バスで約30分ほど走ったところに最初の宿泊するホテルBLAKEMORE HOTELはありました。
 ロンドンの町並みにそった建物は深い趣があってなかなかお洒落。
 ただ、ポーターが二人しかいないためスーツケースの運搬だけでも時間がかかる上、雨まで振り出す始末。急いで自分の荷物だけでも濡れないように運ぶ僕の姿がそこにありました。
 暫くの後、添乗員さんから翌日の予定が話されました。
 明朝の出発は7時半とのこと。
 さすが、じっちゃんばっちゃんのツアーですな。朝が早いわい。
 で、モーニングコールが6時ですか、メモしときましょうかね……6時!?
 何で出発の1時間半も前にモーニングコールがあるねん!
 いくら朝食の時間をとるといっても、1時間半もいらんわい!
 しかし、回りの皆様のことを考えると仕方ないのか?
 ……しゃーない、モーニングコールは取って、その後2度寝だな……

 ポーターが荷物を持ってくるのを待つのが面倒だった僕は、自分でスーツケースを部屋まで運ぶことにした。部屋は、おそろいの柄のカーテンとベッドカバーがかわいらしい印象。
 さすが紅茶の国というだけあって、ティーセットがしっかりとあったのは今回の旅行ではここだけでしたね。ちなみにアイロンまで準備してありました。
 今回の12日間の旅行の中で食事がないのは今日と最終日の2日間の夕食だけ。
 まあ、今日は一応日本で朝食、機内で2食、食べているので名目上は3食食べているのですが、それで満足してくれるほど僕のおなかは素直じゃありません。
 ということで、軽く夕食を買いに外へと出ることとしました。
 外は小雨がぱらついていましたが、傘をさすほどのものでもなかったのでそのまま道を歩きはじめます。外観のそろった建物は映画はテレビで見たのと全く同じ。この辺りは住宅地らしく、通りでは子供達がはしゃいでいます。路地を1本ぬけるとそこは商店の多い通り。色々な人種の人が、僕の横を歩いていきます。
 外国では観光名所に行くのも楽しいですけど、こういう何気ない日常が見られる場所を見るのも僕は好きです。何かここの住人になったような気がして、すごい回りの風景が身近に感じられるんですよねぇ。今回のツアーではこういう日常を見る機会がほとんどないのが実に残念ですけど。
 しばらく歩いたところにデパートがありました。

 2階の窓にマクドナルドの看板が見えたので、今日の夕食は決定です。
 僕はアメリカで食べたマクドナルドのフライドポテトのおいしさに驚いてから、外国のファーストフードの味に興味津々なのでした。特にハワイのポテトはおいしかったなぁ。
 まあそれはいいとして、デパートの入り口を入ってまず目に入ったのが「無印良品」!!
 無印良品って外国にもあるブランドだったのね!と驚きを押さえてとっとと2階へ。
 さて、マクドナルドのカウンターが見えます。
 そうそう、オーダーの瞬間も緊張するよね。何せ会話しなきゃいけないんだから。
 やっぱし、片言の英語を使うのは恥ずかしいし、英語の授業を思い出して、舌を巻きつつ話し掛ける僕。

 "BigMac Meal,please"     「ビッグマックのセットを下さい」
 "One?"            「1つ?」
 "Yah"             「うん」
 "1£99P"           「1ポンド99ペンスです(=約490円)」
 (お金を出すと、トレイに商品がのりはじめたので)
 "Sorry,I want to take out it"「ごめんなさい。持ち帰りたいんです」
 "OK"              「OK」
 (茶色の紙袋に投げ込むように商品をぶち込む姉ちゃん)
 "Thank you"          「ありがとう」

 おお、実に簡単な英単語の数々でも会話になるものですねぇ〜
 え?会話なんていうほどのもんじゃないじゃないかって?
 うるちゃい!緊張すると言葉は出なくなっちゃうものなの!
 もう、いい気分だったのにぃ〜プンプン!(←バカ)
 外は大分暗くなっていたので、ホテルへと戻ろうと思ったら小さなスーパーマーケットを発見。
 ここでミネラルウォーターを買い(ポット用ね)、ホテルの部屋へと戻り、買ってきたビッグマックをパクリ。う〜ん、日本と味がほとんど変わらん……残念。
 テレビをつければもちろん英語の嵐。
 でも、何となく内容は分かるから不思議なもんだよね。
 実はここで日本のテレビ番組とそっくりなのを2つ見つけちゃいました。
 1つは「クイズ100人に聞きました」。
 これはほとんど日本とおんなじ。何やらやたらとよくしゃべる司会者が、5人一組となったチームに色々と話し掛けて、番組はスタート。解答権を得る最初のところで握手するところから、解答方式まで一緒。さすがに×印のボードは準備してなかったけどね。
 でも、トラベルチャンスはなかったなぁ。かわりにチームの中から代表者が2人出て、まず1人が制限時間内に5問の問題に挑戦。その後、もう1人が全く同じ問題に挑戦して、二人の獲得ポイントが一定ポイントを越えたらOKというものでした。(2人が同じ答えの場合は、別の答えを言わなきゃいけない)
 問題の内容はすごくシンプルなのが多かったよ。例えば、「お風呂に持っていく物といえば何?」とか、「リモコンを使う物といえば何?」とかね。
 さてもう一つの番組にそっくりなのは「しあわせ家族計画」です!
 って知ってるかな?古舘伊知郎と和田アキ子が司会していて、お父さんが色々な宿題に挑戦して、見事クリアすると300万円相当の商品がもらえるってやつ。
 そのイギリス版も内容はほとんど一緒。ただ日本では家族に宿題を届けに行く幸せ配達人と呼ばれるリポーターがいるんだけど、イギリス版は司会者が行ってました。あと、日本ではお父さんのみが挑戦だけど、イギリス版はお母さんでもOKみたい。
 僕が見た時は30秒間10枚の皿回しを続けるという挑戦を黒人のお父さんがクリアしてましたです。

 なんてことをしているうちに時間も過ぎていったので、明日に備えて寝ることとしませう。午後10時過ぎ、就寝……


1998年9月24日 旅行2日目

 昨日の予定通り6時のモーニングコールを取った後2度寝を敢行。
 起床は6時40分。
 着替えて、顔を洗って、ホテルのレストランへ。
 昨日の添乗員さんの話だと何やらヨーロッパの人はそんなに朝食をとらないとのこと。
 だから、出てきた朝食もパンと飲み物だけ。
 アメリカ旅行の時のボリュームのある朝食と比べればかなりさびしいですな。
 まあ、そんなに食欲も無かったのでパンを1個と紅茶で朝食を済ます。
 7時20分頃にロビーへと出てみるとさすが皆様起きるのが早い!
 恥ずかしながら、僕が最後の集合者でした。まあ、それでも予定の時間の10分前なんだから、誰にも攻められることもないのでOK!!

 さてさて、予定通りにホテルをバスで出発。
 今日から本格的な観光がスタートです。
 今日まわるのは、ロンドン郊外にあるウインザー城とロンドンの市内観光。
 中世のお城大好き人間な私にとっては、さっそく楽しめそうなポイント。
 ハイウェイを走ること約1時間。
 ウインザー城から少し離れたところにある駐車場へと到着。
 遠くにはお城の姿を見ることも出来ます。
 にしても、観光客の多いこと多いこと。中でも圧倒的に多いのが、我ら日本人観光客。加えて、ご年配の方々。まあ、ツアーで行くところは大体決まってるから、仕方の無いことですけどね。これから行く先々でも同じ事が言えるのでせう。
 駐車場にある階段を上へと上っていくとそこには電車の駅があって、ちょうど電車が入ってきたところ。その電車からはぞろぞろと外国人のお客さんが降りてきて、ますます通りは混雑を極める。

 駅からアーケードを抜け、大きな通りに出るとお城はもう目の前。
 しかし、お城への歩道は人で大混雑。100メートル歩くだけでも2、3分はかかる始末。

 やっとこさお城の入り口にたどり着いても、実際の建物まではまだ少しありそう。
 しょっぱながこんなのでこれから大丈夫なのかしらん?とかすかな不安を覚えつつも、歩道を牛歩戦術のごとく歩いていく僕達。
 歩道から見えるお城の城壁や外観はなかなかいい感じ。僕のちっちゃな胸も期待でドキドキしちゃいます。ウフッ。(←大バカ)
 徐々に入り口へと近づき、僕の目線は泳ぎまくりです。
 そして、いよいよ入城。
 添乗員さんにここの入場券とパンフレットをもらい今度は入場券を見せる所へ。
 このお城は今でも使っているそうで、そのせいか警備は厳重。
 入る時にはわざわざ鞄を開いて、銃などがないかチェックされるんです。

 それを抜ければやっとこさ、本格的にお城の中です。
 さすがに現役なだけあって、お庭も奇麗だし、道にはゴミ一つ落ちてません。

 しばらく進むと、敷地内なのに大きな門で先に進めない場所が。
 そこにある建物が現在も使用中な建物だそうで、よくよくみるとおまわりさんというか、衛兵さんが歩みをそろえて歩く姿が見えました。
 別の道へ行くと、外の景色が良く見える場所へと着きました。
 小高い場所にあることもあって、眺めは抜群!
 その後色々な品々が保存されている建物へと入ります。
 しかし残念ながらその建物内は撮影禁止!
 ちなみに中は奇麗でしたよぉ〜。高そうな食器や鎧、絵画に彫刻。特に大広間は実に豪華な作りとなっていて、なかなか言葉では形容しづらいですね。こういう時にボキャブラリーの乏しさを痛感しますよ。
 そうそう、城内でデジカメの電源が入ったままになっていたため、おっちゃんに注意されちゃいました。電源消せ!って英語でうるさいんでちょっとむかつきましたが、こんなとこでいざこざを起こしても仕方ないんで素直に聞きましたです、はい。
 建物の中を20分ほど見た後は、集合場所に帰るだけ。
 建物を出て、もと来た道を戻っていると、さきほど立入禁止の敷地の奥の方で行進していた衛兵さん(おまわりさん?)が目の前で行進していました。足並みをそろえてなかなかかっこいい!でも、何より驚いたのは予想以上に歩くのが早いことです。僕らが普通に歩いてたのじゃ追い付けないんですもの。結構足腰鍛えてますねあの人達は、と一人納得している僕です。

 来た道と少し違う道で戻ってみると、大砲を発見!
 でも、全く手がつけられてないらしく埃と蜘蛛の巣だらけでちょっと残念。
 さてさて僕は今回の旅、3種類のカメラを使って記念を残しています。
 一つはここで紹介している写真を撮ったデジカメ。まあ、風景用ですな。
 もう一つは普通のカメラ。これはもっぱら人物用。
 最後の一つがビデオカメラ。これは記念用って感じですね。
 で、要所要所をビデオでまわしていたら、詰め所で立つ衛兵さんを発見。
 ビデオカメラを向けていたら、ポーズを変えてくれるサービスをしてくれました。
 なんかうれしかったです。ありがとう、衛兵さん。
 行きよりはゆっくりと回りの景色を楽しみながら戻る道。

 さっき単なるアーケードだと思っていた屋根の入口を見てみると、ちょうどここが駅の入口だったみたい。

 こうやって改めて回りの景色を眺めると、やはりロンドン市内や空港近くの家の作りとは結構違うことに気付きます。つまりその地方その地方で築かれてきた歴史が見えるわけ。実に面白いです。
 てな感じでバスへと戻って、もと来た道を引き返します。

 再びロンドンへと帰ってきて、いよいよ待望のお昼ご飯!!!
 旅行の楽しみといえば、観光と食事!!
 ということで、今回の旅行記では全昼食、夕食を写真付きで紹介します!!
 では9月24日昼食のメニュー!
 まず、前菜はミネストローネ。

 日本で食べるのとそう味に大差はなかったな。変わっていたのは、お米が入ってたこと。でも、そんなにたくさんっていうわけじゃないから、別に気にもならなかったなぁ〜
 で、メインディッシュはチキンのトマト煮込み。

 肉が柔らかくっておいしかったです。あと、付け合わせの野菜で、前菜のスープもそうなんだけどセロリが結構主張していたのも印象的でした。なかなか日本では食べる機会少ないもんね、セロリ。ちなみに僕は好きよ。
 で、デザートはケーキでした。あ、これは写真ないです。写真は基本的にメインディッシュだけと今後は思いねぇ。
 ケーキはシロップか何かにスポンジ部分がつけられていて、しっとりとしていました。その割には甘くないのよ、これが。あと、日本のケーキに比べると丸々1個のサイズがでかいので、皿に取り分けられる時はかなり薄めに切られます。それでも量的には問題ないんだけど、薄いが為に立たない。それが、おばさん連中には不評で、盛り付けぐらいちゃんとしろと文句を言っていたことをここに報告します。
 そうそうところで、だいたい海外旅行に行った人の話を聞くと、料理がまずかったって100人の内、98人は言います。(当社調べ)
 しかし、基本的になんでもおいしく食べられる幸せな舌を持った僕には、そんな感想はこれっぽっちも出てきません。でも、極力客観的にこの旅行記では感想を述べたいと思います。でも、おいしかったよ。(爆)
 さて、お腹も一杯になると行きたくなるのが、そう!トイレ。
 さっそく用を足しにトイレに行くと見慣れない風景が……

 なんか流しを縦に置いて奥行きをなくしたような物体……そうです、これが男子用の小便器!
 なんかステンレスに向かってするのは変な感じがしましたです。
 それ以上にトイレを写真に撮っている僕の方が変か?

 では今度は市内観光へと出発!!
 市内観光最初の目的地はバッキンガム宮殿。
 で、着いたのですがでかいねぇ。何でこんなにでかく作るかねぇというぐらいデカイ。
 といっても、普段大きい建物を見慣れていない僕だからかもしれないのだけれども……
 で、向かいにある広場がまた広いねぇ。おまけにその広場にあるオブジェもデカイ。カメラで撮影するのが辛いくらいデカイ。おかげでいい撮影ポイント探しに走りまわらなきゃならない。でも、広場は広い。はぁはぁはぁ、観光初日からこんなに疲れてていいのか、俺……

 で、正面にまわると今度は門がデカイ。こんなん開けるん辛いやんっていうぐらいデカイ。おまけに何か豪華やし。

 で、向かいの広場にあるオブジェを裏へまわると今度はやたら幅の広いやたら直線な道がある……ここまで来るとため息が出ちゃいます。

どうも狭い四国に住んでいると、広いものに対しての免疫がなくなっていくのかもしれないですな。
 さて、バッキンガム宮殿で有名なものといえば、あの黒い帽子をかぶった衛兵さんの交代式ですがちょうど今日はお休みでした。いやぁ〜残念!
 僕達のツアーは市内観光を1日でしなければならないため、宮殿内の観光はなし。でも、通りを見れば宮殿に入ろうとする人で長蛇の列。まあ、あれを待つのもだるいのでとっとと次に向かうことにしませう。

 次に向かうは有名なビッグベンこと、国会議事堂です。
 バスで走ること約20分、川のほとりに到着。
 おお!遠く見えるはビッグベン!

 スゴイ、写真で見たのと一緒だぁ!って当たり前なんだけれども、よく見ると写真にはないものがチラチラ。目を凝らしてみるとクレーンでした。どうやらどこか修理してるんでしょうかねぇ。なんかあーいうものがあると、完全版を見れなかったっていう感じでちょっと損した気分になるのは私だけでせうか?しかし今回の旅行では何かに憑かれたかのように……まあ、その話は後でしましょう。
 ふと空を見上げると、さっきまでのドンヨリとした雲の隙間から日が差してきています。

 完全版が見れなかった僕への慰めなのかなぁ、なんて湖畔のベンチに腰掛け空を見上げる僕です。
 ああ、なんか詩人になったような気もして、いい気分かもしんない……
 ふと、時計を見ると集合時間5分前。そろそろ、バスに戻らなきゃいけませんね。
 てくてくとバスへと戻ってみると、バスの前に小さな車が1台止まってて、なにやら数人の人が遠巻きでその車を眺めてる。何かと僕も覗いてみるとその小さな車はソフトクリーム屋さん。人のよさそうなおじちゃんがニコニコしながら何やらやっているみたい。ちょっと様子を見ることにします。ちょいちょいとおばちゃんを呼び寄せるおじちゃん。そして、コーンにソフトクリームを盛り付けておばさんに差し出す。おばちゃんが受け取ろうと手を伸ばした瞬間、おもむろにソフトクリームを逆さまにするおじちゃん。目が点になる僕。しかし、落ちないソフトクリーム。笑顔のおじちゃん。盛り上がるギャラリー。
 何か、見た感じはマシュマロみたいなの。でも、食べるとちゃんとしたソフトクリーム。ただ、日本みたいに螺旋状に盛り付けるわけじゃなくて、ただコーンにソフトクリームをそのまま落す感じ。いやぁ、実に不思議なソフトクリームでした。

 バスからソフトクリーム屋のおじちゃんに別れを告げ、バスは一路次の目的地へ。
 途中、色々な政治関連施設が多く建っている路地を通過。ガイドさんが色々と説明してくれたけどよく覚えてなかったりする。でも、建物は綺麗なのでバスの中では両サイドの窓を移動しながら、写真やビデオを撮る僕。
 途中、先程見た国会議事堂の前を通ったり、おまわりさんを見掛けたり、お馬さんに乗った衛兵さんを見つけたり、記念塔のようなものの前を通ったり、広場の前を通ったり、バッキンガム宮殿で見掛けた衛兵さんを見つけたり、若者達が多くいた広場の前を通ったりしました。(手抜き)
 そんなこんなで本日最後の観光スポット大英博物館へと到着。

 博物館がこれまたデカイ!いい加減にしろよ、っつーぐらいデカイ。写真でみるとそうでもないんだけどデカイのよ、これが。その博物館の右手をみるとまたまたクレーンが。ゲッ、ここでも工事してやがる!またちょっと損した気分になる僕。で、ボーッと見てたら後ろでガイドさんの説明がスタート。遠くから耳を傾けるとここの博物館の目玉は3つあって、1つがギリシアにあるパルテノン神殿の彫刻。もう一つがエジプトのミイラ。最後の一つがロゼッタストーン。
 おお、ここであの有名なロゼッタストーンが見られるのかぁと感心したのはいいが、よくよく考えるとロゼッタストーンっていったいどんなものでどれぐらいの大きさなのかとか、さっぱりわからない。延々考えて自分はただナポレオンが見つけて持って帰ったってことぐらいしか知らなかったということに気付く。なんかショック。でも、何となく名前のイメージから宝石みたいなものかな、と想像することとする。
 さてさて、想像もしたことだし中に入りましょう。中は意外と暗い。で、展示品に照明がポォと当たっている。
 最初のスペースはエジプト関係のものがメイン。照明の効果もあってか、なかなか神秘的……と言いたいところだけど、人の話し声がうるさくてそんな雰囲気にとてもひたれる状況じゃないのだ。おまけにガイドさん足早い!ゆっくりと展示品を見てたら、あっという間に置いていかれてしまうのだ。
 さて、第1の目玉ロゼッタストーンのあるポイントヘと到着。
 で、現物を見てビックリ。予想とは似ても似つかないやたらデカイ、ゴツイ石なのでした。

 写真を見てもらえれば分かると思いますが、何かしら書かれているものが3箇所に分かれているでしょ?ガイドさんの話によるとそれぞれ3箇所には別々の種類の文字が書いてあって、そのうちに1種類が象形文字なんだって。(写真では1番下の部分)
 で、そのそれぞれの象形文字に対する意味が上の部分に書かれているんだって。つまりこの石は、象形文字の翻訳辞典っつーことですな。そうだったのかぁ、勉強になるねぇ。うんうん、と回りのじっちゃんばっちゃんと共にうなずく僕でした。
 先へと進むにつれて徐々に展示物が増えてきました。となると必然的に狭くなるのが通路。通る人数は変わらないわけだから、結果的に大混雑。乗車率120%ぐらいですな。
 そんな人の波をかき分けて、足の早いガイドさんを必死で追いかけるツアー客の皆様(僕含む)。
 しかしそんなときでも、途中で猫を見つけてしまうとついつい足を止めてしまうのが、猫好きの悲しい性ですな。

 しばらく行くと違うフロアに入ります。ここがパルテノン神殿フロア。
 もともとはギリシアにある彫刻の数々を保存するという名目で集められた芸術品の数々。

 何か、ガイドさんの話によるとギリシアから返せと言われているとかいないとか。
 ただ、個人的にはそんなに興味があるものでもないので、ふ〜んって感じですな。
 その部屋のとなりはひときわ大きなフロアになっていて、長くつながっている彫刻を部屋の回りに陳列しています。
 その部屋の奥にはひときわ大きい彫刻が置かれていて、お客さん達の目を奪っていました。

 ちなみにこの彫刻は向かって左から右に向かって1日の時間の流れを神様や馬の形を使って表現しているそうです。凝ってますね。
 その後、2階へと登り第3の目玉、ミイラを見たんですけど、本当にこれって本物なの?といった感じ。何か作り物みたいなのよねぇ〜。あまりの人ごみの多さに写真に撮れなかったのがちょっと残念です。

   てな感じでお外へと出てまいりました。
 時計をみると5時をまわったところ。今日の観光はこれで終わりなので一度ホテルに戻って、ちょっと休憩後夕食へと出かけるということになりました。
 ホテルへと到着後、集合時間は7時に決定。時間は1時間ほどあるので、昨日入っていなかったお風呂へと入ることにしました。まあ、お風呂といってもシャワーですけどね。
 個人的にはユニットバスって嫌い。やっぱし根っからの日本人である僕としてはバスタブの外で体を洗いたいものです。まあ、無理なんだけどね……ちなみに僕は引っ越しで部屋を探す時の第1条件はユニットバスじゃないこと!なのです、まあ余談ですけど。
 さっぱりとして、ミネラルウォーターを飲み、しばらくゴロゴロしてたらあっという間に集合時間が来ちゃいました。たったと着替えてロビーへ。
 バスへと乗り込み、レストランへ。
 ということで9月24日夕食のメニュー!
 前菜は昼と同様にミネストローネスープ。昼のよりは多少濃い目かなという程度。
 メインはイギリス名物、フィッシュ&チップス。

 まあ、早い話が魚のフライとジャガイモですな。
 で、味なんですけど、魚のフライもフライドポテトも味がしねぇ〜。
 付け合わせのレモンと後で自分でふった塩の味のみ!
 基本的に濃い味付けが好きな僕にはちょっと不満が残るメニューでした。
 で、デザートはオレンジのシロップがけ。オレンジは皮を向いて輪切りにしただけの実にシンプルなもの。ちなみに、薄皮が残っていたのがおばさんがたに不評だったことを報告しておきます。
 てな感じで夕食を終え、ホテルに戻ってきたのは9時過ぎ。意外と遅い時間なのだ。
 というのもヨーロッパはどこもそうだったんだけど、料理が出てくるのが基本的に遅い。こっちでは夕食は仲間とおしゃべりをしながら、じっくりとる習慣があるせい。
 まあ、普段の僕なら気にもしないんだけど、今回は回りのツアー客と話をしても面白くないんで、どうしても食べることに専念しがち。結果、普段よりも食べる時間が速くなり、次の料理を待つ時間を潰せずイライラ感が増すのだ。そのせいで普段以上に料理が来るのが遅く感じるというわけ。これも結構今回の旅行の敵になりそう……せっかくの楽しみの時間が敵になりそうなのはちと辛いなぁ。

 今日の教訓:ヨーロッパ旅行は話のはずむ仲間と行こう!(爆)

 ホテルに着いて添乗員さんから明日の予定が説明。
 明日は2ヶ国目であるイタリアヘと移動する日。
 その移動の飛行機の時間はなんと6時45分!!
 ということでホテルの出発時間は4時半!!
 結果、モーニングコールは4時!!!
 よ、4時だぁ〜?!そんなもん、休みの日ならまだガンガンに起きとる時間やないかぁ!!
 しかし、回りのツアー客は意外と平然とした表情。
 添乗員さんも「普段なら『エーっ』とか不満が出るんですけど、皆さんは驚かれないんですね」と逆に驚いてる始末。お、おそるべし、じっちゃんばっちゃん軍団……
 僕は急いで部屋に戻り、明日の準備。で、ベッドへともぐり込む。
 でも、こういう時に限って寝付けないから、始末が悪い。
 30分……1時間……ムダな時間が過ぎていく……
 何とか眠りに着いたのは11時をまわった頃だった……


1998年9月25日 旅行3日目

 モーニングコールの音で目が覚めるが、頭は寝ている。
 ボーッとした目で天井を見上げ、徐々に現実世界へと頭を引き戻そうとする。
 起床4時10分。
 まだ半分しか開いていない目で顔を洗う。でも、目は覚めない。
 服を着替え、荷物を持ってロビーに出ると、ホテルで準備してくれたオレンジジュースがある。
 それを飲んでも、まだ意識ははっきりしない。
 バスの中もさすがに静かだ。でも、寝ている人は誰もいない。みんなタフだ……
 やがて静かにバスは動きだし、僕も再び静かに眠り出す。
 やがて空港に着き、僕も重いまぶたを再び持ち上げる。
 外は闇。時計の針は5時を差している。飛行機の出発まで時間はたっぷりあった。
 しかし、荷物やチケットのことで時間を食われ、免税店で買い物をする時間さえ残らなかった結果を考えると、この早い時間でも仕方が無かったということだろう。
 飛行機でのフライトは約2時間。
 2時間だけでも寝れればいいやと思っていたのに、寝ることができない!
 理由その1、朝食があったから
 理由その2、となりのおばさんが話好きだったから
 理由その3、飛行機がやたら揺れやがるから
 以上の理由で僕はゆっくりと睡眠を取ることが出来ないまま、ローマ観光へと向かうことになるのだった……先は長い…………

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