ACT.68 恐怖の暖冬だい! (2000.01.23)

 やはり今年は暖冬であったようだ。
 確かに冬にしては暖かい日々が続いていた気もする。しかし、寒い日はしゃれにならないほど冷たい風が吹き荒れ、ああやっぱり今は冬なんだな、と嫌がでも認識させられる日々もあったはずだ。

 しかし、やはり今年は暖冬だったのだな、とスキー場で嫌というほど認識する羽目になろうとは夢にも思わなかったのである。
 私の数少ない人に堂々と言える趣味にスキーがある。毎年このシーズンになると2、3回は滑りにどこかしこへと足を運んでいる。
 その中でも兵庫県にあるハチ北スキー場がお気に入りだ。なぜなら、そこはスキーオンリーでスノーボードを禁止しているからだ。そう、私はスノボが嫌いなのである。嫌いな理由を挙げ始めるときりがないので割愛するが、まあ一言で言って邪魔なのだ。
 ハチ北スキー場は兵庫県でも鳥取県との県境の近くに位置しており、豊富な雪とその雪質の良さは関西圏のスキーヤーに好まれている。中でも北壁と呼ばれる上級コースは上級スキーヤーすらも苦しめる難コースとして全国的にも有名であるようだ。ようだというのは、私の腕がせいぜい中級者どまりで、とても滑ることができないせいである、というのはわざわざ書くこともでもなかったか。
 そんなハチ北スキー場に私は3年前から毎年訪れている。今年も早めに宿に予約を取り、その日をまだかと待ち望んでいた。そんなある日、いつもの書店で今シーズンの料金を確認しようと、スキー場ガイドを読んでいた私に信じられない文が目に飛び込んできた。
『今シーズンからスノボ滑走可能』
 なんということだ。関西最後のスキーヤーの楽園もスノボという悪魔にのっとられてしまっていたのである。私はただそこで呆然と立ち尽くすのであった。合掌。

 そして、スキー当日。早朝から友人を集めて出発した。今日は日曜日。混雑する土曜日曜を避けるためだ。これで少しでもスノボの連中が減ってくれればありがたいのだが、と祈る私であるが、今回一緒に行ったメンバーの半数はボーダーである。言ってることと反対のような気もするであろうが、一人で行くのは寂しいのだ。一緒に行ってくれるのなら多少のことには目をつぶります。いや、目をつぶるじゃなくて是非一緒に行ってください。スノボ万歳!……しょせん私はこの程度である。
 途中で間違えて高速を降りてしまったり、友人とはぐれてしまったり、思いっきり道を間違えたりと可愛らしいミスを繰り返しながらも目的地には確実に近づく。しかし、例年と明らかに違うことがあった。そう、ここで冒頭に帰る。
 暖冬のせいで雪が全くないのだ。
 例年なら道路の端に積もっているはずの雪が今年は全く見当たらない。遠くにそびえる山々にも白いものは全くない。確かに、来る前から今年は雪がないぞと回りの連中から脅されていた。しかし、あまり気にしてはいなかった。今までの経験から結構山深いところまでは関係ないだろうと高をくくっていたのだ。これが甘かった。大いに甘かった。ティースプーン10杯ぐらい砂糖を入れたコーヒーほど甘かった。いや、比べるものが違うな。
 いよいよスキー場へと近づき、その疑心は確信へと変わる。そして今回宿泊することになる宿へと到着するころには、ただポカンと口を開けてたたずむ私の姿があるのだ。さらに、さらに、ゲレンデへと降り立ったときにはあまりの雪の無さに魂が抜けちゃってたりするのだ。いや、さすがに魂までは抜けないか。でも、それぐらいの衝撃をうけたのである。
 ハチ北スキー場は結構な広さを持つゲレンデである。しかし、今年はそのゲレンデの3分の1も滑れない状態であった。いや、5分の1以下といってもいい状態だろう。個人的には10分の1も滑れなかったと思っているのが本音だが。細かい数字はともかく、いくら山深いところであろうと暖冬の影響とやらはもろに受けていたわけである。
 それにしても書けば書くほど支離滅裂な文章になっている気がするのは気のせいだろうか。多分気のせいではないのだろうな。それだけショックを引きずっているのだ。そう思っていただければありがたい。ああ、これをしばらく使えば適当に文章書いてもショックのせいにできるのではないだろうか、ってここに書いたら意味ないじゃん。いや、本当にショックを受けているからこんな文章になっているのであって、決して手抜きなどではないのだ。だから、手抜きじゃないんだってば!
 え?スキーはどうだったのかって?細かいことを気にしていては、大きな人間になることはできないのである。一言だけ言えるのは来シーズンにリベンジをしなければいけないということである。って、ダメじゃん。ああ、やっぱりショックを引きずってるな、俺。

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