ACT.63 世紀の問題 (2000.01.01)
「どうもおめでとうございます」 「いきなりなんだよ」 「新年一発目だから、挨拶してるんじゃないかよ」 「て、お前誰だよ」 「相方に向かって誰だよはないだろ。新年最初からそんなのかよ」 「で、今日は何?」 「今日は何?じゃないだろうが。漫才だよ漫才」 「見るの?」 「見てどうするんだよ。俺らがするの」 「なんで?」 「何でって、俺らは漫才師だろうが」 「そうなの?」 「そうなのって、お前今まで何してたんだよ」 「とまぁ、相方にお年玉をあげたところで始めましょうか」 「今のがお年玉かよ、おい」 「さて2000年ですねぇ」 「おいおい、いきなり始まるのか。まあいいや、そうですね2000年ですよ」 「僕らが子供の頃はものすごく遠い未来というイメージがありましたけど、来てみたらどうってことなかったですね」 「うんうん、それは言えるね」 「YKKでしたっけ、2000年問題」 「なんでシャッターなんだよ。Y2Kね」 「何が起きるか分からないから、万が一のことを考えて非常用の準備をして下さいなんてね」 「そうそう。水や食糧、電池なんかの燃料なんかもね」 「あれがまたバカ売れしたって言うんだから、日本人も単純だよな」 「単純は言い過ぎだろ。でも、売れたみたいだね」 「でも、あれだけ売れるんだったら、もう毎日のように危機宣言しとけばいいんだよ」 「どういうことだよ」 「そうすれば、どんどん非常用物資を購入しようという動きが出て消費が活発になるだろ、それが続けば景気も上がるだろ」 「的を得ているようで、ちょっとずれてないか。だいたい、毎日非常宣言出してたらいくら国民でも慣れちゃうんだろ」 「だから、北朝鮮辺りと相談してテポドンなんかをドーンって」 「おいおい、何物騒なこと言ってんだよ!」 「多少、町が壊れた方が復旧させようという動きが出て、結果オーライだったりするんだよ」 「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ!お前は!」 「あと、2000という数字が多分もてはやされるんでしょうね、今年は」 「いきなり話変えるのかよ、おい。まあいいや。ところで今年は400年に1度の大例外の年なんですよ。知ってました?」 「何だよ、400年に1度って」 「お前知らないのかよ。いいか、今年は400年に1度のうるう年なんだよ」 「どういう意味だよ」 「普通うるう年は4年に1度あるだろ。でも100で割り切れる年はうるう年じゃないんだよ。ところが400で割り切れる年だけはうるう年なんだよ」 「何だかわけ分かんないな」 「そうなんだよ。頭の中がゴチャゴチャしてくる話だよな」 「てことは、今年の2月29日に生まれた子は大変だ。400年に1度しか誕生日が来ないよ」 「それはないだろ!いくら400年に1度の例外だっていっても誕生日は毎年くるよ!」 「訳分かんないといえば、世紀の問題もあるよな」 「あ、世紀ね。いきなり新年一発目から下ネタかと思ったよ」 「馬鹿はほっといていきましょう」 「馬鹿は言い過ぎだろ、馬鹿は!」 「今年はまだ20世紀なんですよ、知ってました?」 「そうですそうです。まだ20世紀なんですよ。来年から21世紀なんです」 「もう、散々今世紀最後とか言ってたのは全部嘘だったんだからたまんない」 「まあ、全部が全部嘘かどうかは分からないけど、テレビ番組なんかではよく使われたね。多分今年も使われるだろうけど」 「まあ、まだ20世紀だからいいんです。だからこそ今のうちに何とかしておかないといけないものがありますよね」 「ほう、例えば?」 「まず、V6」 「あのジャニーズ事務所のアイドルグループだね」 「若い3人がカミングセンチュリー、年上3人が20thセンチュリーなんだけど、これは早急に直さないと」 「ああ、そうか。カミングセンチュリーに来年なっちゃうんだからね」 「だから若い3人を21thセンチュリー、年上3人をパーストセンチュリーに変える」 「いくらなんでもパーストセンチュリーはないだろ。一気に爺さんグループみたいじゃないか」 「あと、21世紀梨もなんとかしなきゃ」 「あれは別に品種名だからそのままでもいいだろ」 「今までは先進的な名前だったのに、一気に時代に追いつかれたとあっては梨業界も黙ってないよ」 「ほぉ、黙ってないんだ」 「だから、急いで品種改良して22世紀梨を作る」 「21世紀梨とはどこが違うの?」 「世紀が違うから、正規のルートでは売られないんだこれが」 「なんだよ、いきなりダジャレかよ!おまけにそれ品種改良関係ないじゃないかよ!」 「あと、映画会社の20世紀フォックスも考えないと」 「それも会社名だからいいだろ。逆に歴史を感じさせていいじゃないの」 「何言ってんだよ、お前は。映画は未来を先取りしていかなきゃいけないのに、過去の会社がつくるのはまずいだろ」 「そんなものかねぇ」 「だからいっそのこと30世紀フォックスにしちゃう」 「一気に10世紀も先に行っちゃうのかよ」 「かなり時代を先取りしようという意識が見えていいじゃないか」 「でも、いきなり1000年も先取りされてもなぁ」 「そう、1000年も先取っちゃったことに少々後悔の念も生まれたりして」 「ほぉ、それはどうして」 「1000年だけに未練もある」 「って、ミレニアムのダジャレかよ!分かりづれぇよ!」 「まあ、ともかく新世紀は来年からだということを教えておかないと」 「それはそうだな」 「新世紀だけに、特に親戚なんかに」 「また、ダジャレかよ!もうやってられねぇよ!」 |