ACT.58 冬眠暁を覚えず (1999.11.14)

 眠い。ものすごく眠い。
 春眠暁を覚えず、なんて言うが私は年中暁を覚えていない。
 こういう時デスクワークというのは非常に辛い。
 体を動かしながらキーボードを叩くなんていう真似は出来ないので、どうしてもイスに座ってすることとなる。もし、体を動かしながら叩いていたら、まず病院へ連れていかれるだろうし。
 ディスプレイを見ていれば当然、目は酷使される。そこに眠気が襲ってくれば一溜まりもない。だからといって、そのまま睡魔のなすがままに体を委ねるわけにはいかない。今は仕事中なのだ。ただでさえ私が何か考え事をする時は目をつぶるくせがあるので、ヤツはいつも居眠りをしているなどと上司に勘違いされているのだ。なら、本当に寝ちゃっても一緒か。って一緒にしてはいけないのだ。あくまで仕事は仕事!お給金を戴いている以上は与えられた仕事はこなさなくてはならない。
 それにしても、どうしてこんなにも眠いのだろうか。寝不足であろうか。確かに最近はゲームを夜遅くまでやっていることが多い。何せ先月だけで6本もゲームを買ってしまったのだ。いくら時間があっても足りやしない。しかし、わざわざ睡眠時間を削ってまではしないように"一応"心掛けている。ちなみに、平均睡眠時間は5時間ほどである。これは長いのだろうか、短いのだろうか。まあ、決して長い部類には入らないのではないだろうが、あくまで一般ピーポーの一員としてみるのならば。特に会社の同僚なんかは口を揃えて短いと言う。最低でも8時間は寝ろと言う。ではシュミレーションしてみよう。8時間寝るためには12時には寝ていなければならない。私は床に就いてから実際に睡眠に入るまでに多少時間を要してしまうので、12時の時点で睡眠に入ろうと思ったら11時には床に就いておかねばならない。しかし、貧乏である私のインターネットタイムはテレホタイムである11時からだ。睡眠を取るか、インターネットを取るか、と聞かれれば今の私であれば迷わずインターネットを取る。ということで8時間睡眠をとることは今の私には不可能である。てことは、やはり寝不足と言うことになるのだろうか。やっぱし他人には睡眠時間を削ってインターネットやゲームをしているように映るのであろうか。少々納得がいかない今日この頃なのである。
 しかし、よくよく考えてみれば1日なんて短いものである。朝起きて、仕事へ行き、帰りに本屋やゲーセンへ寄り、家に帰って食事をして、テレビを見て、ゲームをして、インターネットをしたらもうおしまいである。わずか2行の1日である。ちなみに休みの日となると1行で終わる。自分で書いて少々むなしくなってしまった。嗚呼、なんてうすっぺらい人生。かといって、そんな毎日を変えるのかと言われると変えないのだ。だって、こんな毎日が結構楽しいんだもの。
 しかし、体はそんな僕の欲求以上に睡眠欲を訴えてくる。どうにかして、寝ずに仕事に集中する方法を考えねばならない。う〜ん、う〜ん…………ハイ!な、なんでしょう。いや、寝てなんかいません。考え事をしていただけであります。いやいや、そんな。これは癖ですので。あ、ハイ。スイマセン。気をつけます。……怒られてしまったではないか。私がこんなにも仕事に集中するためのプランを考えているというのに。まさに、部下の心上司知らずだ。うむ、語呂が悪い。
 まあ、ただ単に早く寝ることさえすればいいのは分かっている。分かってるのよ、一応。でも、目先の欲望に負けてしまう大変弱い心の持ち主である私は、ついつい夜更かしをしてしまうわけである。ということは、仕事中に眠くなるのも仕方がないということだ。言いかえればこの状況も目の前に欲望がぶら下がっているわけで、私の正しい選択はその欲望に身を任せることなのではないか?なんかそんな気がしてきたぞ。そうか、そうだったのか!ならば、こんなに深く考える必要もないではないか。なんだ、そうか。簡単なことだったんだ。ならば話は早い。
 …………ハ、ハイ!な、なんでしょう。あ、そんな、いや、ね、寝てなんかいません。そうそう、考え事をしていただけであります。いやいや、そんな。アハハハハハ……

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