ACT.55 文化の日はつきあいやすい (1999.11.04)

 11月3日は文化の日である。
 と、実に当然の書き出しで始まった今回は、敬老の日に続いて今日は何の日シリーズで行こうと思う。
 さて、皆さんは文化の日が元々何の日であるかはご存じであろうか。
 これも意外と忘れ去られやすいのだが、この日は日本国憲法が公布された日である。
 憲法というと5月3日の憲法記念日の方が明らかに有名である。何せそのまま名前についているぐらいであるし。しかし、最近は単なるゴールデンウィーク内の1日という扱いにされがちであることを思い出せば、どっちもどっちであるが。
 ちなみに憲法記念日というのは日本国憲法が実際に施行された日であることは、改めて説明する必要はないだろう。
 さて、この文化の日も戦前は「明治節」と呼ばれていた。これは明治天皇の誕生日を祝う日であり、どうも天皇の誕生日というのは祝日にしやすいものであるようだ。まあ、めでたい話であるのだから文句を言うようなことでもないが。
 とまあ、文化の日で話を盛り上げるのは実に話が固くなりがちであるということがここまで読まれてお分かりになったであろう。
 よって、ここですっぱり文化の日についての話しは辞めることとしよう。わざわざ固い話なんて聞きたくもないであろうし。
 11月3日は他にも色々な日出ることが調べて見て分かった。
 その辺の話にしてみることにしよう。

 まず、この日はレコードの日である。
 実にいまさらという感じであるな。
 レコードと言えば、私は生まれてこのかたレコードを買ったことが1度しかない。
 私の音楽に対する目覚めは中学の頃であったが、そのほとんどをレンタルで賄っていた。中学生であったのだから仕方がない。非常に金銭に苦労していた時代であった。まあ、当然今は今で苦労している。
 ちなみに唯一買ったレコードは南野陽子のアルバムだった。当時からミーハーであったことがうかがえるエピソードといえるだろう。しかし、ここに改めて書いてみるとものすごく恥ずかしいので、あまり突っ込みを入れないでくれ。ああ、「くれ」だなんて偉そうな。スイマセン、お願いします。
 レコードの日の話であった。さて、このレコードの日が11月3日に制定された理由というのがなかな強引でいい、「レコードは文化財であるから」。だから文化の日なのだそうだ。そんな事言ってたら、ビデオだろうが本だろうがCDであろうがDVDであろうが、全部文化の日にしなくてはいけないではないか。その辺のことを何も考えていない辺りが実にはっきりしていて分かりやすい。だから、私はこういう大人にはなりたくない。

 次に11月3日は文具の日でもある。
 個人的にパソコンを使うようになって来て、めっきり使う機会が減った感のある文具だが、やはり何かと必要になることはあるものであり、筆記用具などはやはり手放せないわけだ。太古より続く紙文化はたかだか数年のOA化ぐらいではビクともしないものであるわけだ。だから、無駄な文書をわざわざ無能な輩に出力しなければならないなどという手間を被る羽目となり、甚だ腹が立つのであるが、そんなことをここで言っても意味がないので辞めておく、ってほとんど言ってるし。
 文具の日の話であった。どうも、脱線しがちでいかん。この文具の日が11月3日に制定された理由もなかなか味わい深いものがあっていい。「文化と文具は歴史的にも同じ意味を持って来たから」。そうなのか。文化と文具は同じ意味であったのか。それは知らなかった。ただ単に頭に「文」がついてるからってことではないのだな。もし、そうだったとしたら、文章も文鎮も文学も文鳥も文庫も文通も文楽も文珍師匠も文福茶釜も全部文化の日にしなくてはいけないところであった。その辺のことをきちんと考慮してあるところが実にいい。だが、最後の詰めが甘い感は否めない。だから、私はこういう大人になりたくない。

 もひとつおまけに11月3日はハンカチの日でもある。
 私にはハンカチにまつわるエピソードはほぼない。何せ私はハンカチを携帯しない人であるからだ。小さい頃から何度親や先生に言われても持ち歩く事がなかった。それがそのまま大きくなったのが今の私である。
 なぜ携帯しないのかとつっこまれると返す言葉もないのだが、基本的にゴチャゴチャと持ち歩くのは好きではない。鍵と財布、これだけが私の携帯物なのである。当然カバンなんて物も持ち歩かない。仕事時はさすがに持っていくが、プライベートな時間は両手が空いていないと落ちつかない。
 ハンカチがないと色々と困ることもあるでしょう、という人がいる。逆に私は聞いてみた。ハンカチがなくて困ることとは何かと。すると相手はトイレの時どうするのかと言う。私はトイレで用を足した後にハンカチでナニを拭く習慣はないと答えた。相手はそうじゃないと言う。トイレの後の手洗い時に濡れた手はなんで拭くのかと言う。今時、ハンドタオルや温風器の置いていないトイレには行かないから問題ないと答える。しかししかしと相手は言う。だからだからと私は答える。多分私とハンカチには永遠に接点が訪れることはないのであろう。
 だからハンカチの日なのである。さすがに3回連続は我ながらしつこいぞ。ハンカチの日が11月3日に制定された理由もなかなかいい。、「マリーアントワネットの誕生日11月2日に一番近い祝日だから」。一応、よく分からない方のために解説しておこう。もともとハンカチは長方形や丸といった不定形な形のものが多く、18世紀末頃にはそれが大変流行した。が、どういった理由かは定かではないが、当時のフランス王妃マリーアントワネットが国内のハンカチの形は全て正方形にしろと、旦那であるルイ16世に進言した。これが今のような形になった始まりと言われているのだ。それはまあいい。しかしなぜ一番近い祝日にする必要があったのであろうか。別に誕生日の11月2日でいいではないか。つまりこの日だけ、文化の人は全く関係のない日だったのである。この事実を日本ハンカチーフ連合会は知っているのであろうか。多分知っているのだろう。確信犯でなければこのような思いきった決定は出来ないはずだ。こういう子供のような理由で大事な日を決めてしまう。だから、私はこういう大人なりたい。
 ふと思ったが、万が一私がマリーアントワネットのような画期的な発言をして未来に影響を与える人物になっていたとしたら、私の誕生日に一番近い祝日がそのある物の日となるのであろうか。ということは、5月24日に一番近い祝日は……5月5日の子供の日ではないか。しょせん、私はゴールデンウィークの1日という扱いが妥当なのであるな。

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