ACT.48 ホームページを作ろう! (1999.10.06)

 今回は私が自分のページを作ったきっかけについてお話したいと思う。

 先日のことである。いつものように仕事をしていた私の机の上の電話が鳴った。
「はいはい」
「人事部からお電話です」

 人事部?
 私がこのシステム担当という職について1年半が経ったが人事部からの電話などというのは初めてのことである。私は恐る恐る受話器を取った。

「もしもし」
「あ、どうも。人事のYですけど」
「お世話になっています」
「ところで、ホームページあるでしょ。新店の様子とか写真でアップしているやつ」
「ああ、ハイ」
「あの、新店の様子のページとか作ったのって誰?」

 まずい、何か問題でもあったのだろうか。ここで話しているのは私が勤める事業部がアップしているホームページのことだ。
 先月、あるお店がリニューアルオープンをした際にデジカメで写真を撮り、それを紹介という形でホームページにアップした。全て私が勝手にしたことだ。
 オープン初日の様子を撮った写真もあった。お客さんがたくさん映っている。肖像権だとかその辺の問題でも出てきたのであろうか。しかし、その辺の話が人事からくるというのもおかしな話である。うちの会社にはそういうのを専門に扱う部署が存在するからだ。ともかく、何かしら問題でもあった可能性は高い。

「あ、僕が作りましたけど……」
「写真とかは?」
「僕のデジカメで応援に行った同僚に撮ってきてもらいました」
「全部君が作ったの?」
「そうです。何か問題でも……」
「富○通さんが作ったんじゃないの?」

 我が事業部にはホームページに関する知識を持っているものはいない。よって最初のページ作成は外注で行われたそうだ。そうだ、というはそれが4年以上も前の話であるからだ。その外注先が富○通なのである。ちなみに事業部内で使われているパソコンもほとんど富○通製品である。

「元になっているページは富○通さんが作られたみたいですけど、更新作業は全部事業部内でやっています。週間ランキングなんかのテキストベースのものは事務員さんが打っていて、それ以外のページはほとんど僕がやっています」
「それは誰かに頼まれて?」

 特別頼まれたわけではない。
 話は1年半前に遡る。事業部へと配属になるまで私はそのホームページの存在を知らなかった。既にインターネットをしていたのにである。つまり、企業ページでありながら全くの広告、宣伝活動を行っていなかったわけだ。そして、事業部内のパソコンでそのページを見せてもらい愕然とした。
 重いトップページ、やたらと多い工事中、テキストばかりで見づらいページ、全然練られていないサイトマップ……いくら3年以上前のものとはいえ、今この状態では例え宣伝されても、2度と見に来たくなるページではなかった。
 だが、私は残念ながらHTMLの知識を持ち合わせていなかった。当時は自分のページを作るなどということは露ほども考えてはいなかったからだ。そんな時、販促担当から相談話を持ち掛けられた。それはホームページをリニューアルしようと思うのだが、意見を欲しいというものだった。ちなみに我が事業部でのホームページの管理は販促の仕事であり、システムは無関係なのだ。
 私は上記のようなことなど、ボロカスにこき下ろした。偉そうな話であるが、その時にそこまで言える人間が私しかいなかったのだからしょうがない。なにせ、インターネットを個人的にしていたのが事業部内には私を含め2、3人だけであったというのだからすごい話だ。たかだか1年前の話であるのにだ。何と遅れた企業であろうか。
 そこで、どういう訳かリニューアル後のページの構成を考えてほしいと頼まれた。まあ、構成ぐらいであれば何とかなるであろうと考えた私は軽くOKの返答をした。しかし、やはりHTMLを知らないようでは話にならないと考えた私は猛勉強を開始した。幸いにも事業部のページという好きなだけいじれる材料もある。販促に好きに変更してもいいという了解をもらっていたからだ。
 ところが大きな壁があった。それはなぜかそのホームページがマックで作られていたということである。
 私のパソコン歴は既に15年を数えるが、というとパソコンに詳しそうだが、ただゲームをしていただけなのでそんなに詳しくはない。そのパソコン歴の中にマックに触れた機会がどういう訳か一度もなかった。つまり、初体験なのである。キャッ!
 しかも、更新作業はネスケことネットスケープナビゲーターのゴールドに付属しているエディタで行われていた。ちなみに私はエクスプローラー派であるので、ネスケも初体験だったのである、キャッキャッ!
 つまり、私はホームページ云々よりもマックを使いこなせるようになるのが先決であったのだ。キャッキャッキャツ!しつこいって。
 マックで一通りことをこなせるようになるまで、幸いにもそれほど時間はかからなかった。また、ホームページ作成に関しても、基本的なことには大して時間をかけずに済んだ。自分の仕事を兼ねながらであったが、すんなり覚えられたことに今ここで思い出してみて驚いている。なんだそりゃ。
 それから事業部のページに私は色々と手を加え始めた。大幅な変更はかけなかったので依然トップページは重いし、工事中もあるが、少しでも見て楽しめるようなページをいくつか作り、サイト内でリンクを増やすことでサイトマップのゴチャゴチャ感を軽減させた。自分のデジカメを使い写真などを増やして、目に訴えかける構成も考えた。
 そんなことをしているうちにページ作りにはまってしまい、結果的に自分のページを作ることになったのだ。それがこのページを立ちあげるきっかけなのだ。
 さて、電話の続きだ。依然電話口の私はおどおどしている。

「別に頼まれたというわけではないんですが、他にする人がいなかったもので……」
「素材なんかはどうしてるの?」
「フリーの素材を1点使っているぐらいで、あとは全てこっちで作ってます」
「全部?」
「はい、それを作るためのツールは揃っていますから……」

 贅沢にも、フォトショップもイラストレーターもマックにはインストールされていた。マック版じゃなきゃかっぱらってくるのに。って、犯罪はいけませんよ犯罪は。

「そうかぁ。作るのは難しくないかい?」

 何やら話の方向性が変わって来たぞ。

「いや、特には。エディタを使えば簡単なページなら初心者でもすぐ作れるようなものですし……」
「ふ〜ん」
「で、あの今日は一体……?」
「ああ、そうそう。新店の様子を伝えるページの写真が1枚表示されてなかったぞ」
「あ、そうですか。それはチェックしておきます」
「じゃあ、どうもありがとう」
「はぁ?」

 私の口から気の抜けた返事が出る前に電話は切れた。
 一体あの電話は何だったのであろうか。色々と考えてしまい、その日の私の仕事が全く進まなかったことは言うまでもない。だから、仕事しろよ!

ACT.47←  TOP  → ACT.49