ACT.43 雷 (1999.09.19)

 また、ここ数日天気が悪い。ただ雨が降るだけなら別に季節的なこともあるのだから気にはしないのだが、こうも雷が多いとそうも言っていられないのだ。
 雷は皆さんもご存じの通りパソコンの大敵である。雷の膨大な電力がパソコンの電力とドーンという感じになってしまうのである。我ながらよく分からない解説であるが、別に今更事細かに説明をする必要はないだろう。あると言われても解説出来ないので結果しないのだが。
 雷には何とも言えない恐怖感がある。昔から恐いものとして「地震、雷、家事をやり」という言葉があるほど、恐怖の存在であるわけだ雷というものは。その恐いものが家事をするのだから恐怖は倍増だ。昔の人は本当に素晴らしい言葉を残してくれるものだ。
 雷が与える恐怖の原因としては以下のようなものが上げられるであろう。まず「光」である。真っ暗闇に走る閃光、何と恐ろしいことであろうか。その光に少々顔が崩れた小さな科学者がケケケとか言いながら試験管を握っている姿が映し出されたりするのだ。その光によって殺人者の鋭利な刃物が可憐な乙女の胸に突き立てるのが影となって映し出されるのだ。愛しの彼と二人っきり、そこに突然雷がやって来て私の部屋は停電になっっちゃったの。私は恐いって彼の胸に飛び込んだの。その時雷光で映った彼の鼻の下が伸び切っていて、ああぁぁぁぁ〜。何と恐ろしいことであろう。「光」は実に恐ろしいのである。
 次に「音」がある。ゴロゴロゴロゴロ、というやつだ。激しい雨音だけが響く暗い部屋に突然轟音が鳴り響くのだ。今日は愛する彼女との大事な初デート。お、彼女がやって来た、やっぱし彼女は可愛いなぁ。えっと、どこに行こうか?もう、どこにでも連れていっちゃうよ!ハハハハハ、はうっ!な、何だこの突然襲って来た鈍い痛みは。僕の耳には前日の腐った牛乳のせいで鳴り響く腹の音だけが響くのだった。あああああ!な、な、な、何と恐ろしいのだ!びびって、おしっこちびりそうである。しかし、何といっても「電気」であるというのが恐ろしい。電気なのである。ビリビリくるのである。黒こげでアフロになってしまうのである。おお、恐ろしい。恐ろしすぎる。もう、パンツはぐっしょりだ。
 このように全てにおいて恐怖の対象となる雷はキングオブ恐ろしいものといえるのではないだろうか。事実、女性はこれに弱い人が多い。ピカッ!キャ!一体どうしたんだい?今光ったの。ゴロゴロゴロ!キャ!雷が恐いのかい。そんなに脅えなくてもいいんだよ。デヘ、そんなことが、デヘ、気にならないように僕が、デヘ、してあげちゃうからさぁ。
 ああぁれぇぇ〜。恐ろしい!恐ろしいぞ雷!雷万歳!
 そういう話ではなかった。そういえば私が子供の頃はよく雷が鳴った時はへそを隠せと言われたものだ。どうやら、雷様の好物がへそであるらしい。本当にそんなものが好きなのであろうか。しかしそういえば、高木ブーは肉が大好きである。へそもその延長線上にあるといっても過言ではないから、多分へそも好きなのであろう。幸い私は親の言いつけをよく聞くいい子であったのでへそを取られるようなことはなかった。しかし、今の子供もそういうことを言われていたりするのだろうか。それはともかく、実は私はいまだにあの意味がよく分からないのである。もしかしたら、へそには避雷針のような役目を果たすのであろうか。だとすれば、隠さねば危ない。そこに雷が落ちてしまえばアフロどころの騒ぎではないからだ。などとくだらないことを考えているうちに雷はやんだようである。
 最後に言っておくが私は決して雷なんぞは恐くないのだ。一応これでも男の子である。さて下着を洗濯しようか。って、違うよ!断じて違うのだ!違うったら違うの!!

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