ACT.41 マックといってもパソコンじゃない (1999.09.12)

 最近、ファーストフードを食べる機会がめっきり減ってしまった気がするのだ。
 ここで言うファーストフードとは特にハンバーガーのことを指している。もちろん、フライドチキンの存在を否定しているわけでも牛丼の素晴らしさを否定しているわけでもないので、どうか穏便に。
 さらに、ハンバーガーと言えば当然マクドナルドを指すのである。もちろんここでも、モスバーガーだロッテリアだウェンディーズだバーガーキングだと言う人はいると思う。しかし、マクドナルドの業界シェアは50%を超えているのである。よって、とりあえずマクドナルドなのである。
 そのマクドナルドも私が学生時分には本当にこれでもかというぐらいに通っていた。というのも当時サンキューセットという今では別段珍しくも何ともないセットメニューがスタートした頃であり、名前の通り390円という破格の価格設定に、経済状態が緊迫していた私はそれこそむさぼるようにして食べたものである。
 そのマクドナルドの業績がこの不況の中にあってすこぶる良いらしい。そう言われてみれば最近は至る所にマクドナルドが出店して来ており、それは駅の中に、それは銀行の中にあり、それはモスバーガーの中にすらあったりするのだ。いや、それはないか。この好調の業績の裏には、もはや有名となったが、徹底したマニュアル管理があげられるであろう。つまり、挨拶や服装といった基本事項から、セールストークや金銭の取扱い、笑顔の仕方といった接客業務、はたまたハンバーグの焼き方から盛り付けにいたるまでありとあらゆる事がマニュアル化されているのである。私が想像するにポテトの本数やハンバーガーに盛り付けるタマネギのみじん切りの数にいたるまでマニュアル化されているに違いない。もしかしたら、下着の色やお風呂に入った時の体を洗う順番すらもマニュアル化されているのかもしれない。当然、女性のみだ。すごいぞ、マニュアル!こうなったら、オナ(以下自粛)
 やがてサンキューセットは名前をバリューセットに変え、メニューの大幅なリストラを実施した。そのかわりマクドナルドはハンバーガー業界を震撼させる手にうってでたのだ。その一つが価格破壊である。それはハンバーガー100円からはじまった。確か昔どこかマイナーなハンバーガーショップで100円ハンバーガーを売っていたと記憶するが、それとは次元が違う。あのマクドナルドが100円で、というインパクトが強かったのだ。私が我に返った時にはハンバーガーばかりが10個ほど入った紙袋を胸に抱えていたりしたものだ。その後も期間限定ながらビッグマックを200円、シェイクを110円、最近じゃハンバーガーも65円というふざけた価格で販売している。それでも十分利益があるわけであるから、一体原価はなんぼなんだと腹立たしさを覚えたりするのだ。胸にはその商品が山ほど入った紙袋を抱えて。我ながら見事な踊らされっぷりである。
 もう一つが新規メニューの構築である。今では定番になりつつあるベーコンレタスバーガーや月見バーガーなどがそうである。このほかにもマクドナルドは色々な新バーガーを発表していった。上記と同様に季節商品として定番メニューになったものにはポテチリバーガーやグラタンコロッケバーガー、通称グラコロバーガーなどもある。決して派手さはないのだが、新たな味を追い求める姿勢が伺え実に好感が持てる。しかし今年に入ってからメニュー作りの方向性が変わって来ているのではないかと感じるのだ。それは春に出たカレーバーガーが最初であった。カレーとハンバーグという取り合わせは既にカレー屋が行っているものであり、二番煎じの感は否めない。私の記憶ではやはりどこかがカレーバーガーを既に商品化させていたと思うのでやはりいただけない話だ。当然私が食す機会もなかった。そう、この時既に変調が起きていたのである。
 次に登場したのがカルビバーガーであった。カルビである。ほぼ焼肉屋でしかお目にかかる機会のないカルビである。よく考えればカルビは肉であり、ハンバーガーも肉である。つまり、変形ダブルバーガーであるわけだ。そうなのか?これは食してみたのだが決してまずくはない。しかし、カルビにつけられた味が強すぎハンバーグの味がしないのである。気分的にはモスの焼肉ライスバーガーを食した感じと似ていた。なんと、やはり二番煎じではないか。これではこれも私的には認めることが出来ない。
 まあ、ここまではよい。両方とも一応ハンバーガーだ。しかし、このあと変調は一気に加速する。フレッシュマックの登場である。遂にバーガーという名が外れてしまった。それもそのはず、これにはハンバーグが入っていない。まあ、それだけであるならばフィレオフィッシュにだって入っていないわけであるから、強く非難をすることはできない。問題は商品の中身である。まずバンズの部分だ。まずここから違う。ちなみにバンズとは具をはさむパンのことであり、下着でも雑貨品なら何でも扱っている東急系の店でもない。普通のバンズは円形のコッペパンの様な形状をしているが、フレッシュマックのバンズは何やらフカフカしてやがる。はっきり言ってバンズではなくてパンそのものなのである。そのパンにはさまれているのが、レタスにチーズに3種類のハム。ハ、ハムゥ〜?これではサンドイッチではないか。こんなものはドトールにでも行けばいくらでも食することが出来るじゃないか。こんなもの二番煎じ以前の話である。
 そして極めつけがつい最近登場したマック牛なべパンである。ついにパンになってしまった。いつからマクドナルドはパン屋になってしまったのだ。しかも牛鍋である。牛鍋といえば文明開化は明治の時代に大変流行した料理と聞いている。まあ、直接その時代に人間に聞いたわけではなくあくまで色々な本からの受け売りではあるが。そんな昔の料理を現代の食品ハンバーガーと取り合わせてしまうとは…………うまいではないか!こんなにうまいとは予想しなかったぞ。やるなマクドナルド!これからも頑張れマクドナルド!
 何やら最初と話の流れが変わってしまっているような気もするが気のせいであろう。うまければ万事OKである。何にせよ、私はなんだかんだ言いつつもファーストフードに通っているようである。

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