ACT.36 天晴な男 (1999.08.29)

 私は晴れ男なのである。誰が何と言おうと晴れ男なのである。なのである。なんだってば。
 つい先日まで高知地方の天気は全国の雨を一手に引き受けちゃってるんじゃないかと思うぐらいの崩れ模様であり、ほぼ週6.5日雨である。つまり月26ぐらい雨なのだ。数えたわけではないが。
 私は晴れ男であるが天気を自在に変えることが出来るわけではない。さすがにそこまでの力は持ち合わせてはいないのだ、残念ながら。私の晴れ男パワーというのは実に私自身に都合のいい代物となっている。つまり、私が外出した時には雨が降らないのである。さすがに大雨の時は振らないというところまではもっていくことは出来ないが雨の勢いを減らすことができるのである。ああ、何という素晴らしい力なのであろうか。おかげで私はここ数年遊びに行って雨にたたられたことはない。
 例えば今日は昼から屋外でバーベキューである。しかし朝の天気は曇り模様。やがて雨まで降り出す始末。この時点で普通の人間であればバーベキューは中止となるであろう。現に当日もその意見が寄せられた。しかし私は胸を張って宍戸錠ばりの人差指の振りでその意見を退けるのである。当然頬はやや膨らませぎみである。何やっているのという突っ込みを受けながら。そして買い出しへと出かけるころにはまず雨が上がり、キャンプ場へとたどり着く頃には太陽が顔を出しているのである。食事中など雲一つない快晴にまでなっているのだ.この見事な晴れパワーにはみんなも驚きを通り越し感動すら与えていたであろう。何せ私が一番感動していたし。そして更にここからが私のパワーの見せ所なのである。無事バーベキューを終え片付けを始め出すと徐々に空模様は暗くなっていき、車で自宅へと帰って来た時には土砂降りになっているのである。何と自分に優しい晴れパワー。私がよければそれでいいのだ。
 このように私の晴れパワーはいかなる時でも自分に優しく作用してくれているのである。一部の例外を除いて。
 ここで言う一部の例外というのはズバリ雨男、もしくは雨女の存在である。多少の雨パワーであれば私の晴れパワーをもって抑えることが可能なのだが、やはり中には信じられないほどの力を持つ雨人間もいるのである。例えばSという雨人間がいる。このSの雨パワーは尋常ではない。Sと遊びに行った時に雨が降る確立は7割を超えるのだ。(当社比)どんなに晴れている日でも必ずといっていいほど夕立や通り雨にたたられるのである。私もみすみす雨を降らせているのでは晴れ男としての名が廃るため色々と努力はしているのだが、何分晴れパワーのパワーアップ方法を知らないので雨を避けるように走ることしか出来ないのが実に口惜しいのである。誰かパワーアップ方法を知っているのならば教えていただきたいほどである。
 とまあ、私のパワーについての説明をしてきたわけであるが、実際のところ晴れ男のどのような力によって天候に影響を与えているのであろうか。理科の成績がお世辞にもよくなかった私が解説したいと思う。まず、基本的に晴れ人間のテンションは常人よりも高いことが統計により分かっている。私も当然高い。逆に雨人間は低いのである。人間のテンションというものは実に不思議なもので回りにも多大なる影響を及ぼすことはいまさら明言するまでもないだろう。明言して欲しいと思う方は頭の中でテンションの高い人間のいる飲み会と低い人間のいる飲み会を比べてみてもらえれば分かるであろう。それほど回りに影響を及ぼすテンションは当然気候にも影響を与える。よくテンションが高い人間は頭に血が昇っていると思われているが、まったくの事実であり、その熱によって上昇気流が発生、結果的に気圧を上げてしまうのである。雨人間はその逆の現象が起きているのである。
 また強い晴れ人間と雨人間が共に行動している場合はどういう訳か雨が多い。それにもきちんとした理由があって、先に述べたとおり晴れ人間からは上昇気流が、雨人間からは下降気流が発生する。それによって2人の間に気圧の谷が発生するのだ。当然そこに湿った空気が流れ込み、雨をもたらすのである。あ、そうだったのか。だから私がSと行動をすると雨が降るのだ。我ながら見事な解説でありんす。ハァレェ〜〜。なんだそれは。

ACT.35←  TOP  → ACT.37