ACT.35 4番目のラーメン (1999.08.25)

 日本で最初のインスタントラーメンはチキンラーメンであった。ちなみに日本で最初のインスタントカレーがチキンカレーで日本で最初のインスタントカメラがチキンカメラであったわけがない。
 というわけで昨日8月25日はラーメン記念日であった。先のチキンラーメンが発売された日である。ラーメンは前回書いたカレーと並ぶ大衆食であり、日本人に強い人気を誇るメニューである。
 ラーメンという言葉は当然中国語から来ている。「ラー」が伸ばす、「メン」が小麦粉をそれぞれ表しており、直訳すると小麦粉を伸ばした物がラーメンであるわけだ。実におおざっぱな括り方が中国っぽくて大変いいではないか。今のような形のラーメンが生まれたのは横浜である。ある店で出していたラーメンを醤油味にしてくれとの要望が強く、それに答えた物が日本で最初のラーメンと言われている。つまり、日本最初のラーメンは醤油味であったということだ。しかし、最近はありとあらゆる味のラーメンが巷を賑わせている。ラーメンの味は大体にして、北の味噌、南の豚骨、そして間に醤油という風に分類できる。しかし、ここで大事な味が抜けていることに皆さんはお気づきであろうか。塩味の存在である。私は塩ラーメンが大好きである。塩バターでも別に構わない。しかし、塩ラーメンを置いてあるラーメン屋の何と少ないことか。仕方なく私は醤油ラーメンなどを食するのである。まあ、それはそれでおいしいから別に構わないのだが、ほぼ黎明期よりある塩ラーメンがこんなにもないがしろにされている現実が非常にやるせない。ここは何とかして塩ラーメンの時代を作り出していかねばと私は勝手な使命感に燃えるのであった。
 一時期豚骨の台頭により醤油の人気が薄れた時代があった。それが今や完全に復活を成し遂げた。それは豚骨のこってりとした味わいに比べてさっぱりとした印象を持っていたというのが大きいと私は考える。今やその喧嘩をしていた豚骨と交じりあって豚骨醤油なるものも生まれている。そうだ、これだ!塩だけではどうも味の印象が薄いのだ。ここは何かとブレンドすることによってまず印象付けをすることが大事に違いない。となれば、何とブレンドすればよいのだろうか?既に塩はバターとのブレンドは成功させている。しかし、バターという存在は北海道を除いて非常にマイナーである。これでは印象度のアップにはつながらないと思われる。というか、つながってはいない、全然。きっと塩にもバター以上に相性のいいパートナーがいるはずなのだ。何せ塩はどんな食材にもあう万能調味料なのだから。私は実験を進めていくことにした。

 実験はものの見事に失敗に終わってしまった。色んなものとのブレンドを試みてみたのだが、結果は全て同じであった。それは、ブレンドした物が多少塩辛くなるだけだったのだ。あまりにも当たり前なオチにガックリと膝を落とす私。私の努力は無駄だったのだろうか。いや、違う!きっと私の意志を継いでくれる人間が現れ、塩ラーメンをラーメン界の頂点へと立たせてくれることだろう。私はそんな世界に想いを馳せつつ、ラーメンをすするのであった。それにしても、やっぱ醤油ラーメンはうまいわ。

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