ACT.29 戦争を知らない子供たちと戦争 (1999.08.15)

 今日は今更言うほどのことでもないのだが終戦記念日である。
 しかし、よくよく考えれば既に今年で戦争が終わって54年も経っているのである。戦争を知らない子供たちを知らない子供たちだらけだ。
 いまだに外国ではたまに戦争をしているが、日本では戦争というものは完全に過去の遺物になったと言ってもいいのではないだろうか。そう言い切れるほど今の日本は平和である。バカみたいに平和である。実際にバカも多いし。
 当然私も戦争の体験はない。だから、そんな偉そうなことを言える立場ではないのも分かっている。しかし、いつまでも平和だというぬるい固定観念に囚われていられる時代ではなくなりつつあると感じるのだ。
 戦争で人類が得ることが出来るものはただ一つ「悲しみ」でしかない。いくら領土を拡大しようともそれはたくさんの屍の上に築き上げられた砂の城でしかないのだ。しかし、人類の歴史にはどういう訳かそう言った悲劇を知ろうとも考えようともしない馬鹿者どもが必ず現れては同じような歴史を繰り返して行くのである。何とも恥ずかしい話ではないか。
 最近若い人間が色々と物騒な事件を起こしている。先日のハイジャック事件や、アメリカでの銃乱射事件など。どれもこれも動機はともかく、人の命というものをあまりにも軽んじている気がする。こういった行為は過去に戦争を引き起こした人間とはっきり言って大差はない。もし、平和という時代が人の命の重さまでも軽くしてしまうというのであれば、そんなものは決して平和ではない。決して。

 段々と単なる儀式化してきた感もある終戦記念日であるが、過去の過ちを繰り返さない気持ちだけではなく、今の見せかけの平和に踊らされない心構えを改めて再確認してみてはいかがであろうか。――黙祷。

ACT.28← TOP →ACT.30