ACT.27 テーブルマナー講座 (1999.08.05)

 毎度のことで申し訳ないが、昨日のことである。
 昨日8月4日は箸の日であるそうだ。
 工夫も何もありゃしないものである。この語呂合せで作る某の日というのはどうなのであろうか。私はこういうのを聞くたびに切なく感じてしまうのだが。

 さて、箸なのである。
 正しい挨拶の仕方、正しい文章の書き方、正しい雑文の書き方といったようにどんなことにもマナーがある。それは箸使いにもついても同様だ。特に箸使いに関しては様々なマナーが存在している。しかし、最近はそれを知らない人間があまりにも多いのではないだろうか。常日頃より衣食住の中でも『食』をひときわ高いランク付けにしている私としては正直この野放しの状態を納得できないのである。そこで、今日は改めて箸使いに関するマナーについて説明したいと思う。この文章を読んでいる方々はぜひ友人親戚近所の犬猫インド人にいたるまでこの内容を説明していただき、改めてマナーの大切さを説いていただきたいと切に願うわけである。

 まず、ついついしてしまうものとしてあげられるのが「わたし箸」である。
 これはご存じであると思うが自分専用の箸を準備することだ。自宅では当然起きないことなのであるが、外に食事に行った時や居酒屋などでこれをやられると実にゲンナリするものである。自宅より一歩外へ出た世界は自分だけの世界ではないのである。色々な人々がみな平等に生きている世界であるということを再確認してもらいたい。ぜひ、外ではみな平等に同じ箸を使おう。

 次によく見受けられるものとして「刺し箸」がある。
 これもついついしたことがあるのではないだろうか。
 まあ今更説明することもないだろうが、一応どういったものかというと、そのものズバリ箸で人を刺すことである。箸はあくまで食事の際に使う物であって間違っても凶器にしてはいけないのだ。意外と知られていないようだが箸の殺傷の力は意外と低い。その辺りも含めて、人を刺すのならば包丁やナイフ、後ろ指などで行うよう注意しよう。

 次は「迷い箸」だ。
 気の弱い人によく見受けられるマナー違反である。
 あまりにもたくさん箸が置いてあってどれを選んだらいいのか分からなくなってしまう様子を指す。また、料亭などで事前に箸が席の前に並べられている場合などにも自分の前の箸でいいのか悩んでしまう姿などもよく見られる。こればかりは性格なのでどうしようもないという意見もあるが、ここは腹をくくってビシッと箸を選択しよう。
 上記と同様のケースで他にもっといい箸はないのかとムキになってしまう「探り箸」、一旦箸を選択しておきながらやはりこっちがいいやなどと箸を変えてしまう「移り箸」、自分の箸よりも他人の箸の方がよく見えてしまい、無理矢理もぎ取ってしまう「もぎ箸」などがあるが、いずれも重大なマナー違反であるので覚えておこう。

 上記以外にも地面に落とした箸をもう一度使ってしまう「拾い箸」、複数で使っている箸を一ヵ所に集める行為「寄せ箸」、二人であの日渡った「涙箸」などもマナー違反である。

 今回上げたものの中でも知らなかったマナー違反が結構あったのではないだろうか。テーブルマナーはその人の姿を映す鏡のようなもの。自分の恥ずかしい姿を見せぬよう常日頃よりマナーには気をつけよう。

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