ACT.24 水害シーズン到来! (1999.07.28)

「嘘も方言」の中での高知弁が正しくないとの指摘を受けた。
 正しくは「待っとき」じゃなく「待っちょき」だそうだ。
 そんなに真剣にココを読まれても困るのだが、指摘は素直に受け止めることとする。
 私は基本的に謙虚な姿勢なのである。普段は横暴だが。

 さて、今シーズン初の台風が九州へと接近した。
 その際に高知へも激しい雨と風をプレゼントしてくれた。
 仕事場に響く雨の音。これほど私に緊張感を与えてくれる物はない。
 私の仕事場があるのは去年の水害においてものの見事に水没した地域である。
 機械の大敵が水であることぐらい、子供はおろかうちの猫のイチゴちゃんですら知っている。はずだ。いや、知っているのだ。そんなところにわざわざこの春引っ越しをした。まあそれだけならばよい。何を考えているのか上司連中はわざわざコンピュータールームを1階へと設置してくれやがった。2階建の建物であるにもかかわらずだ。一応全く機械のことを考えていないわけじゃないよという程度の段差が設けられており、他の同僚が働くところよりは高い位置にあるとはいえ、所詮階段3段分である。去年この辺りでは1階部分がまるまる水没しているので、はっきり言って気安めにもならない。水没すれば今までの仕事が文字どおり水泡と化すのである。ああ、私も人魚姫のようにそのまま……我ながら悪寒が走った。自分のキャラクターにあわないことはするものではないな。そこ!ツッコミを入れない!

 そんなふざけたことを考えながら仕事をしていたわけであるが一向に雨のやむ気配はない。やばい、これは洒落にならないのではないか?仕事なぞしている場合ではないような気がしてきたぞ。水が迫ってきた時の為にバケツを準備して入口にどーんと構えている方がいいのではないだろうか。いやいや、そんなものでは水の流れを抑えることは出来ないに違いない。何かしらで堤防のような物を築くのがいいかもしれない。しかし、ただの堤防では決壊した時に被害が倍増する恐れがある。いわゆる二次災害だな。ちょっと違う気もするが。ともかくそのような事態を招かない為にも堤防にも工夫が必要だ。そうだ、やはり水分を吸収するような物を使えばよいだろう。そうすれば流れてくる水を押さえつつ、その重みで堤防も強力な物になるに違いない。我ながら素晴らしいアイディアだ。となると何を材料にすべきか……
 スポンジはどうだ。だめだ、水分を吸ったスポンジの重みで下のスポンジから水分が流れ出してしまう。これでは堤防ではなく、ただ単に水の入口を極端に狭くしただけではないか。同様の理由でタオルなんかも使えない。
 水を吸えばいいのであるからおむつなどはどうであろうか。最近のやつの吸収率はかなり高いようであるらしいし。いや、いかんいかん。入口におむつがうずたかく積み上げられている職場なんぞで私は働きたくないぞ。働くのに雰囲気は重要なのだ。きれいな職場をよこせぇー!給料上げろー!セクハラ大好きぃー!いや、そうじゃなくて。ともかく、同様の理由で女性の何だ、ホラ、そんなやつもだめだ。
 どうしたものかと頭を抱えている内に雨は小降りになってきた。どうやら警報も解除されたらしい。峠は超えたようだ。しかし、本格的な台風シーズンはこれからである。水害にあう前に何かしら対策を練らなくてはならないのだ。そして、私は今日も何で堤防を作るべきか頭を悩ますのだ。

 いや、その前に仕事しろよ。

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