ACT.21 土用は嘘の日 (1999.07.24)

 今日は土用の丑の日である。
 この日にウナギを食べると実にいい感じだということだ。
 しかしこんなのはデタラメである。

 いや、あながちデタラメと言い切れないのも事実。ウナギには栄養素が一杯含まれている。特にビタミンBやミネラルなどが豊富だ。そういう意味では実にいい感じになるのに間違いはない。ただなぜ今日なのか?別に明日でも昨日でもいいじゃないか。春に食べたって秋に食べたって冬に食べたって変わらないはずである。現にどの季節にも土用は存在するのだ。ちなみに土用とは立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を差す言葉なのだ。勉強になったね。ともかく我々は「土用の丑の日」に踊らされているのだ。

 例えば「6月の花嫁は幸せになれる」という言葉がある。いわゆるジューンブライドというやつだ。しかし、私はお世辞にも幸せと言えない6月の花嫁を知っている。
 例えば「流れ星に3回願い事を言えば叶う」という言葉がある。流れ星などそうそう見られる物ではない。たとえ見ることができたとしても1、2秒のことだ。この間に3回の願い事を言うのは不可能であろう。「女、女、女」でいいではないかって?それは願い事ではなく単なる名詞の羅列でしかない。あくまで願い事は「〜でありますように」といったものでないといけないのだ。私の辞書にはそう書いてある。

 話を戻そう。
 「土用の丑の日」というのは日本で初めてのキャッチコピーだと言われている。そしてこのキャッチコピーを作った人間が日本初のコピーライターというわけだ。その人こそ平賀源内である。我がふるさと香川が生んだ天才である。彼はかの有名なエレキテルの他に石綿の発見、日本初の寒暖計の制作、気球船の構想まであったって言うんだからすごい人物である。つまり、その有名な源内さんが言うんだからきっといいに違いないとみんなが信用した結果が今の「土用の丑の日」なわけである。

 悲しいかな人間はこのネームバリューという物に大変弱い。
 何せネームがバリューなのだ。こりゃ平伏すしかないだろう。バリューなんだから。
 おまけに体にいい、願いが叶う、きれいになるなどといった自分にプラスになるということにも大変弱い。例えそれが迷信やでっち上げだったとしても信じてしまうのだ。
 何せ自分にとってプラスなのである。いいことなのである。もう君の瞳に乾杯である。

 しかし、今回の話で皆様がだまされていたことに気づいたことだろう。この世の中には我々をだまそうと色々な嘘や迷信があふれているのだ。そして今この瞬間にも新たな嘘が作り上げられ、誰かをだまそうと動き始めているのだ。どうぞ皆様、くれぐれも注意していただきたい。
 そんなことを切に願っている私の今日の夕食は当然ウナギである。

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