ACT.18 海 (1999.07.21)

 海の日であった。当然、昨日のことである。
 祝日であったわけだが、私の仕事には祝祭日は全く関係ないので別段普段と変わらない1日であった。ちなみに私の仕事に盆や正月もない。
 それはさておき、今日は海について書いてみよう。
 とはいっても、私はここ数年泳ぎに出かけていない。基本的に出不精であるから。
 最後に海で泳いだのはいつだろうかと逆算していくと3年前に行ったハワイが最後であることに気づいた。これが日本の海となると更に2年ほど遡らなければならない。
 なんということだ。私はこれほどまでに海と接していなかったとは。
 これは改めねばならぬ。何せ海の日なのだから。
 かといって、今から仕事を抜け出すわけにもいかないし、仕事の後に行くほどの元気もない。この調子だから海との仲もうまくいっていないのだ。まあ、別に付き合っているわけではないが。
 まあ正直なところ泳ぐだけなら私はプールの方をよく利用する。どちらかといえば海は嫌いな方であったりする。なぜなら、海には塩というものが溶け込んでいやがるからだ。
 まあ、プールにも塩素というものが溶け込んでいるので、字面を見れば似たようなものかもしれない。いやいや、全然似ていないのである。
 例えば塩はしょっぱいが塩素はしょっぱくない。舐めたことはないけど多分そうだ。
 例えば塩は結晶として肌に残るが塩素は肌に残らない。全くというわけではないが。
 例えば塩は水分を奪うが塩素は色を奪う。我ながらうまいね。
 例えば塩は相撲で土俵にまくが塩素はまかない。目潰しにはいいかも。
 例えば塩は葬式帰りなどに体にかけるが塩素はかけない。霊が漂白されそうで悪くないかも。
 例えば塩はどの家庭にも常備されているが塩素を常備している家庭はなんか嫌だ。
 などなど、数え上げればきりがないほど違う代物である。
 かといって私が塩が嫌いなわけではない。私はよく料理をするので、塩は実に重宝する調味料である。そう、あくまで調味料なのだ。
 なのに、海には塩が溶け込んでいる。
 そこでお泳ぐ人間を食するわけでもないのにだ。
 は!そうか、そうだったのか。そういうわけだったのか。
 私はとてつもなく恐ろしいことに気付いてしまった。
 しょせん塩は塩でしかないのだ。そして塩は調味料なのである。
 なんということだ。早く海で遊んでいる者達に真相を教えてやらなければ。
 このままでは、じ、人類が……(ボスッ)<手刀が叩き込まれたらしい

 あれ?私は何をしていたのだろうか?
 な、何だこの文章は!誰がこんな文章を書いたのだ。
 え?私だろうって?いや、私はこんなものを書いた覚えはないのだが……
 ああ、なぜか分からないが無性に海で泳ぎたい気分だなぁ。
 いやぁ、海はいいよ。みんなも海でガンガン泳いで楽しもう!

ACT.17← TOP →ACT.19