ACT.11 七夕 (1999.07.07)

 七夕である。
 年に一度、アレとアレがアレするというアレである。
 ここで一句。

 七夕の 雨にかなしという人ぞ 天の川には 雨は降りまじ

 よく雨が降ったりすると「ああ、今年は2人が会えなくてかわいそうだな」などと言っている人がいたが、天の川に雨は降らねえだろといつも心でツッコんでいたものだなぁ。という思いを綴った短歌であります。
 しかし、天の川にも雨は降るのです。お話上そういう事になっているのですから。ちなみにその時はカササギの群れがどこからか現れて天の川に橋を架けてくれるのである。よって雨が降っていようがなかろうが、二人は天の川で逢えるのである。めでたし、めでたし。

 さて、星に対して願いをかけるという世界的に見ても珍しいこの七夕という行事だが、起源は意外と古く紀元前にまでさかのぼるというのはご存じだろうか。(決して洒落ではない)ちなみに日本に伝わったのは弥生時代ごろだと言われている。なにせ弥生時代だ。弥生式土器を作って稲作を始めた頃の話だ。当時は一体何をお願いしていたのであろうか。やはり、稲の豊作を願ったのだろうか。獲物がたくさん獲れるように願ったのだろうか。僕ならば七夕が一体いつなのかを知りたいと願ったに違いない。今日が何月何日か分からなければ意味がないから。
 ところで「七夕」と書いて「たなばた」と読ませるのは少々無理があるのではないだろうか。当て字だと言われればそれ以上話が膨らまないのでもう少し話を進める。
 ではそれぞれの文字の読みはどうなるのだろうか?「七」が「たな」で「夕」が「ばた」なのだろうか。それとも「七」が「た」で「夕」が「なばた」なのであろうか。はたまた「七」が「たなば」で「夕」が「た」なのであろうか。そうか!「夕」は漢字に見えるが実はカタカナだったのだな。つまり「七」で「たなば」と読むのだ。そうに違いない。ていうか、そういうことなのだ。
 しかし、一から順に数えていくとやはり、「ご、ろく、たなば、はち、きゅう……」ではあまりにも語感がよくない。まず3文字というのが不自然だ。よくよく他の数字を見れば3文字で発音するものがないではないか。きっと、そこで昔の人は「たなば」を「たな」とか「なば」と呼んでいたに違いない。で、それがごっちゃになって「なな」という読みが生まれたのだ。我ながら見事な推論である。
 だとすれば、今現在の我々の読みは間違っているということになる。  例えば、「七並べ」は「たなばならべ」、「七転び八起き」は「たなばころびやおき」、「七草粥」は「たなばくさがゆ」、「七人の刑事」は「たなばにんのけいじ」、「ラッキー7」は「らっきーたなば」というぐあいだ。
 我々日本人はこういった古くから伝わる正しい漢字の読み方を忘れてはいけない。皆さんも今日を機会に言葉を見つめなおしてみてはいかがだろうか。
 私はさっそく縁起担ぎという訳ではないが、ちょっとパチンコ屋へスリーたなばを揃えに行ってくることにしよう。

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