5 野外露出


 幅30メートルほどの川にかかる橋の上に私は立っています。
 橋の下の川面には近くの高校のカヌー部の生徒たちが、私の足下数メートルのと
ころを緩やかな流れに乗ったり、逆らったりしていました。
 橋の上に私が立ってるのを数人が気づいてるみたいで、欄干にもたれかかるよう
に立ってる私のミニスカートから伸びる脚と、その付け根にチラチラ視線をよこし
てます。
 下のほうから覗く彼らの目には、欄干の隙間から、私の短いスカートの中まで丸
見えに違いありません、互いに小声で教えあって、しばらくすると全員が私に注目
しだしました。
 そこには教師はいなくて、生徒だけのようでした。教師は少し離れた下流のほう
で、生徒たちを待ってるようです。
「じゃあ、そこでパンツを脱いで、下の少年に投げてあげなさい」
 私の携帯から、真弓さんの厳しい命令が聞こえます。
 私は橋の上に誰も通りかからないのを確認した上で、ゆっくりスカートをたくし
上げて両手でパンツをずり下ろしました。
 おおーという歓声が川面から上がります。
 10人くらいのカヌー部の生徒たちが、興奮に鼻の穴を膨らませ、顔面を紅潮さ
せて私の股間に見入っていました。
 羞恥の感情が台風のように私の中を駆け抜けます。
 命令されてしかなくやってることなのに、屈辱感と羞恥心のほかにも、私の中で
興奮と快感が湧きあがっていました。
 恥ずかしい格好を見られることは、屈辱であるのに、快感でもあるということが
私の中で新しい観念として形成され、ゆっくりと定着していくようでした。
 すでにいじめられているという感覚は薄れてしまっていました。
 香取さんのために甘んじて命令を受けているといういい訳も、最初の内は必要だ
ったけど、やがて不必要なものに変わっていました。
 薄いレースの黄色い下着を膝まで下ろし、そこから左足を上げて、次に右足を上
げて脱ぎました。そよ風が股間の陰毛をなでていき、まったくの無防備になった亀
裂に新鮮な空気が刺激的でした。
「おお、丸見えだよ。縦にずいぶん長いんだな」
「本当だ。赤くてめくれてるし、びっくりだ。はじめて見た」
「おい、そこもっとよけろよ、俺も入れてくれよ」
 私の目の下に少年たちが見えやすい場所を争って一塊になってるのが滑稽に写り
ます。

「じゃあ、そこでスカートを両手で持ち上げて、それからパンツを投げてあげなさ
い」
 真弓さんの命令どおり、私は右手に持っていた下着を川面の少年たちのほうに投
げました。プロ野球の選手がスタンドに投げたサインボールを取り合うファンのよ
うに、一塊になった少年たちが身体を寄せ合って、伸びをしてその黄色い布切れを
手にしました。
 その拍子にバランスを崩してひっくり返る子さえいました。私はその様子がおか
しくて、思わず笑ってしまいました。
 そのあと、両手でスカートを持ち上げ、彼らの目の前に下半身をすべてさらしま
した。たったの1分間でしたが、私には時計が止まったのかと思うくらいに長い時
間に感じていました。
 その幸福な時間は、唐突に終わりました。
「君、なにやってるんだ」
 と、詰問する声が聞こえたんです。
 驚いてスカートを下ろして見ると、下流のほうにいた教師が、カヌーを降りてこ
ちらに走り寄ってきていました。
 私は急いでそばに止めていた自転車に乗ると、その場を離れました。
 心臓が止まるかと思うくらいに驚いていたし、息ができないくらいに懸命に自転
車をこいで逃げましたが、その途中おかしくてたまらずに笑い転げてしまいました。
 笑いながらも自転車のサドルにあたる股間がぬるぬるして気持ち悪い感触だったこ
とと、時折サドルの先端が私の一番敏感な豆粒にあたって思わずいきそうになって
困ったのが印象的でした。




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