露出シンドローム


6 快楽のバーガーショップ
 


「御会計は……1020円に、なります」
 レジのボタンを押してレシートを取り出し、客におつりと供に渡す私の声は震え
ていました。
 無精ひげを生やした大学生の客は、私の顔を不思議そうに見て、ちょっと聞き耳
を立てるように首を傾げました。ブーンという低周波の音が微かに聞こえるのです。
 それは私のスカートの中から来る音なのですが、彼はそれに気付くことなくハン
バーガーとポテト、赤いコーラの紙コップの乗ったトレイを持って客席で待ってる
彼女の方に歩いていきました。
 彼が変に思って見つめた私の顔が今どんなかというと、多分、心ここにあらずで
よだれが落ちそうなくらい口が半開きで、額には汗の粒が光ってる状態だったと思
います。
 快感でずっと膝が震えてました。
 真弓さんたちのいじめはどんどんエスカレートしていき、今はあそこに電動バイ
ブを挿入されて、リモコンでスイッチを入れたり切ったりされながらレジ打ちをや
らされてるんです。
 今日のバイトは、真弓さんたち3人と、私と香取君、それに丸山さんという新人
の6人でした。店長も来てますが、さっきから店長室にこもって時給の計算なんか
をやってるようです。
 丸山さんは真弓さん達と違う女子高に通ってる高校生です。柔道をやってるとい
う言葉どおり、がっしりした体型で、少しなよっとした中性的な香取君より男らし
いくらいでした。
 香取君と丸山さんが裏方でバーガーを焼いたりポテト係で、真由美さんと私がカ
ウンター係、川原さんがジュース係で、遠藤さんはその他の補助役でした。
 
 天に上るほどの快楽はふっと消え去りました。真弓さんがバイブレーターのスイ
ッチを切ったのです。
 縄で落ちないように固定されてるその棒が、くねりと振動の動きを止め、ただの
異物感を与えるだけの物に一瞬で変化しました。
 私はほっとすると同時に、切ない気持ちが湧きあがってきて、横に立ってる真弓
さんを潤んだ瞳で見つめました。
 ちょうどお客が途切れた時でした。
「ふふふ、もっと欲しそうだね。でも簡単にいってしまうのも面白くないからしば
らく休憩だよ」
 真弓さんがそう言い終わった時、遠藤さんが来ました。
「真弓さん、カウンター代わろうか」
「じゃあお願い、それとこれもね」
 短いやり取りの後、バイブレーターのリモコンは真弓さんの手から遠藤さんに渡
りました。
 遠藤さんは私の横に立つと、これ見よがしにリモコンをカウンターの上において、
スイッチを入れました。とたんに私の中で命を取り戻した凶悪な棒が唸りを上げ始
め、あそこの襞とクリトリスが振動を受けて、体の芯から快楽の触手が生まれてき
て私の心臓をつかみねじ伏せます。
 自然と腰ががくがく動きました。
「すっかりこいつに魅了されちゃってるね。どれ、お尻を突き出してごらん」
 近くに仲間しか居ないのを確認した遠藤さんが、一旦スイッチを切って言いまし
た。
 私は素直にカウンターに手をついてお尻を後ろに突き出しました。
 すぐに遠藤さんの手でスカートがめくり上げられ、股縄をされた私のお尻がカウ
ンターの中で丸出しになりました。ノーパンに股縄のお尻です。
 香取君はともかく、丸山さんが見たらびっくりするでしょう。
 でも、その時の私は快感で頭が馬鹿になってしまっていたのか、仮に見られても
いい、くらいにしか考えてませんでした。
 調理室はカウンターからは陰になっているから、普通では見えないはずです。
 もちろん彼女がこっちに来れば、すぐにばれてしまうけど、今のところはハンバー
ガー焼きの特訓中でカウンターには何の用も無いから大丈夫のはずです。
「きれいなお尻だね。すべすべしてて、もち肌って言うのかな。白いお尻に真っ赤な縄がお似合いだよ」
 遠藤さんはそう言いながらまた縄の一部を解きました。
 股間にまわってる縄が解け、バイブが滑り落ちようとします。
 彼女はそれを持つと、一旦引き抜いて、カウンターの台の上に乗せました。
 ねっとりとした白い液にまみれたピンク色の棒は、微かに湯気を上げて卑猥なに
おいを周囲に発散しました。
 ほら、ちょっとしゃがんで、彼女に言われて、私はカウンターの台の陰に隠れる
ようにしゃがみます。
「口できれいにしゃぶりな」
 あたかも自分が男になったみたいに、遠藤さんは擬似ペニスを股間に持ってきて、
私の顔に近づけました。
 先端の丸い部分についた白い液が私の唇に付着します。
 私は言われるまま口をあけてその先端を含みました。
 生臭い味と、シリコンのプルプルした感触がしました。
 大きく口を開けるように言われて、私がそうすると、遠藤さんは無理やりその太
いバイブを私の喉の奥まで押し込みました。
 もう少しで根っこまでくわえ込むほどに入れられて、私は苦しくて吐きそうにな
ります。それを必死で堪えて、生暖かいぬるぬるの棒を懸命に咥えました。

「やっぱり淫乱女だねあんた。じゃあ、さっきみたいに尻を突き出しなさい」
 待ち望んでいた言葉が聞けました。
 私はすぐに遠藤さんの言いつけに従います。
 でも、間の悪い事にお客さんが数人自動ドアの後ろから入ってこようとしていま
す。
「ほら、カウンターの中でよつんばいになりな」
 遠藤さんは急遽命令を変更しました。
 客のほうからは死角になる場所で私はお尻を持ち上げるようにしてワイン色の床
に手をつきました。油っぽい汚れが手につくのも全く気になりませんでした。
 早くいれて欲しい。私のいやらしい穴にぶっといのをねじ込んで、思い切り出し
入れされたい。
 遠藤さんがお客さんからオーダーを取ってる間、私の股間から染み出た熱い汁は
両方の太腿を伝って膝の裏で水溜りを作ってました。
 
 5分ほど待つ時間が、1時間にも感じました。
 でも、ようやく客も切れて遠藤さんの持った凶悪なバイブの先端が、濡れひかる
私の亀裂に触れました。
 遠藤さんは無言で、それをまっすぐに私の中に突き入れました。
 待たされる間にずっとじらされていた私は、その最初のひと突きで一気に頂点に
登りつめました。腕の力が抜けて上体が崩れ、私は汚い床に左の頬を付けて膝だけ
立ててお尻を遠藤さんに向けています。
 膣の中でゆるゆると粘液を絡めるように動かされていた棒が、今度は抜けてしま
いそうなくらい引き抜かれました。カリの部分で膣内の襞をかき回され、内蔵がそ
こから飛び出してしまうかと思いました。
 ブーンと音がして振動が始まります。
 そして彼女の手が激しく動いて出し入れし始めます。
 頭の中が真っ白になるくらいの快感がいきなり爆発して私は気が狂うほどの快感
を感じました。激しく動く棒にあわせて、自分もお尻を振り回して、快感が更に高
まるように、それだけを考えていました。膝と腰のバネだけでお尻をゆするように
動かすんです。
「まるで芋虫がのたうってるみたいね。そんなにしてまで気持ちよくして欲しいのね」
 真弓さんの声でした。交代したのかしら。そう言えばバイブを握る手が変わった
ような感じがしたけど……。
 バイブがずんずんと深く突き入れられました。もう駄目です。

 絶頂感と言うよりずーんと深い海に沈んでいくような、すべての感覚が麻痺して
しまって気が遠くなるような感じでした。
 とうとう膝の力も抜けて、私はワイン色の脂ぎった床に突っ伏して、そのまま気
を失いました。
 ピシッとお尻に鞭打たれたような痛みで、深い海の底から浮上した私の目には、
遠藤さんの大根足と真弓さんのスレンダーな膝、そのほかに黒ズボンとごつい足が
見えました。
 誰の足?遠藤さんと真弓さんだけじゃない。
 その意味に気付いた私が視線を上げると、にやけてる見慣れた二つの顔のほかに、
驚きの表情の丸山さんと頬を赤らめた香取君の顔が目に入りました。

 い、いや。見ないで。しどろもどろで立ち上がろうとする私は、遠藤さんに蹴ら
れて、今度は仰向けに転がされました。
 そのまま両足を広げて、遠藤さんと真弓さんに押さえられました。
 香取君と丸山さんの目の前に私の裸の股間がさらけ出されました。
 まだバイブを入れっぱなしの股間でした。ぬるぬるの白い粘液が太腿の内側を垂
れ光ってます。
 香取君の喉仏が大きく上下するのが見えました。
 丸山さんはというと、驚きの表情が消えて、笑みを浮かべていました。
「面白そうな事してるわね。そいつすっごいマゾの淫乱みたい。あたしも入れても
らえるの?」
 丸山さんは真弓さんに笑いかけました。
「もちろんそのつもり」
 真弓さんの右手がすっと丸山さんの前に行き、その手を丸山さんがしっかりと握
りました。
「あんたもやりたいだろ。元々はあんたがいじめられるはずだったんだけど、こう
なったらあんたの事は忘れてあげるよ。こいつをいたぶるのに協力するならね」
 真弓さんの言葉に香取君は一瞬躊躇したみたいです。
 私が彼の代わりに犠牲になってるのを知っていたのだと思います。
 以前の私ならこの場合、香取君に真弓さんたちを止めてくれる事を期待したでし
ょうが、今の私はマゾの快感に溺れてしまってるので、どちらでもいいと思ってま
した。
 香取君は乾いた声で、うん、と返事をしました。




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