〜*〜寄生虫フォトアルバム(その5)〜*〜

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Gyrodactylus sp.
(扁形動物門単生綱単後吸盤目・生鮮個体・ノマルスキー顕微鏡写真)
淡水魚の鰓やひれに寄生します。発生のしかたが特殊で、親虫の体内に子虫、子虫 の体内に孫虫が入れ籠状に形成されるので、和名を「三代虫」と言います。この写真のムシには残念ながら体内の子虫が まだありませんので、三代虫の三代虫たるおもしろさは十分味わっていただけないと思いますが、しかし、体後部の、2 本の大鉤と16本の小鉤の配された吸着器のみごとさは何とも言えません。この鉤で魚の体にしがみつき、また体表を活 発に這い回ることができます。大鉤の形態によって非常に多くの種類に分類されていますが、はっきり言って私にはお手 上げです。О先生ごめんなさい。
ウグイフタゴムシParadiplozoon skrjabini
(扁形動物門単生綱多後吸盤目・鉄ヘマトキシリン染色標本)

ウグイやタカハヤの鰓に寄生します。雌雄同体ですが、二匹がくっつかないと成熟でき ないという因縁の虫です。体の後端には、 Gyrodactylusと同じ吸着器がありますが、こちらは 8つの“クランプ”で構成されています。「多後吸盤目」という分類群名称はそこに由来しています。
この度、近縁のフタゴムシEudiplozoon nipponicumについて当研究室で分類学的再検 討を行い、従来1種と考えられていたEudiplozoon属を2つに分け、コイ寄生のものをコイフタゴ ムシEudiplozoon kamegaii Nishihira & Urabe 2020として新種記載しました。
Gangesia parasiluriのプレロセルコイド
(扁形動物門条虫綱真正条虫亜綱プロテオケファルス目・鉄ヘマトキシリン染色標本・ノマルスキー顕微鏡写真)

親虫はナマズの腸に寄生するサナダムシです。これは幼虫で、ヨシノボリの腸から採取 されました。まだ大きさは1ミリもありません。幼虫のため、頭の吸盤だけはありますが、まだ片節(所謂「さなだひも」の 部分)がありません。しかし、やがては終宿主であるナマズの腸内で、立派な「うおさなだ」に育つことでしょう。