〜*〜寄生虫フォトアルバム(その2)〜 *〜

   


Liolope copulansのセルカリ ア(photo by Y. Makita)
(扁形動物門吸虫綱二生亜綱ディプロストマ目・無染色固定標本・偏光顕微鏡撮影)
Liolope copulansはオオサンショウウ オを終宿主とする特異な吸虫です。二股尻尾のセルカリアをもつ吸虫(ディプロストマ目の種)はそうでないものより原始的と考えられていますが,中でも Liolope科およびその近縁の吸虫は主に南半球のカメ、ワニなどの爬虫類やカモノハシから知られており,中生代に遡る古い起源をもつと考えられていま す。従来,生活環はまったく知られていませんでしたが,この度,当研究室などの研究によって第一中間宿主がカワニナであることが判明し,スポロシストやセ ルカリアの形態が明らかになりました(Baba et al, 2011)。複雑な生活史パターンの進化は吸虫の持っている大きな謎ですが、この種はその解明に重要な貢献をしてくれるかもしれません。
Echinochasmus属のセルカリア
(扁形動物門吸虫綱二生亜綱プラギオルキス目・生体)
宿主のチリメンカワニナからわらわらと出てきたところです。伸縮自在の長い尾を持つセルカリアが数十個、尾の先で結合してロゼット状の群体を作っているの ですが、個々の体がスクリューのように高速回転して水中にわらわらと浮き漂うことができます。写真がボケているのはその運動のためで、ピンボケではありま せん。

Echinochasmus属のセルカリア
(扁形動物門吸虫綱二生亜綱プラギオルキス目・生体)
上と同じものをカバーガラスをかけて撮影しました。群体は強い走光性を示し、光が当たると貝を出て明るい方向へわらわらと泳いでいきます。また、水流を感 じると個々の虫は動きを止め、水底にぺたりと張り付きます。魚はこの群体を餌と間違えて食べ、次の宿主になるのですが、おそらく淀みや淵で採餌する魚種が 中心なんでしょうね。