〜*〜寄生虫フォトアルバム(その1)〜*〜

 


Metagomimus属のセルカリア
(扁形動物門吸虫綱二生亜綱プラギオルキス目・ナイルブルー生体染色)
Metagonimus属は、カワニナから最も多く発見される寄生虫で、まさに日本の淡水生態系を代表する寄生虫といえます。 日本では現在までに少なくとも7種が知られており、その大半はカワニナを第一中間宿主とします。セルカリアはどれもよく似た形をしており、ひれ膜のある長 い尾をくるくると振って活発に泳ぎ、第二中間宿主である魚の体表に侵入します。
Metagonimus otsuruiのメタセルカリア
(扁形動物門吸虫綱二生亜綱プラギオルキス目・無染色生体)
Metagonimus はさまざまな淡水魚類を第二中間宿主としますが、M. otsuruiはおもにハゼ科魚類の真皮組織に寄生します。メタセルカリアは厚い嚢に包まれていますが、それを切り開くと、もう成虫の格好をした 小さな虫体が現れます。このメタセルカリアは、魚ごと終宿主(カワネズミなど)に食べられ、その体内で成虫になります。
Metagonimus takahashiiの成虫
(扁形動物門吸虫綱二生亜綱プラギオルキス目・鉄ヘマトキシリン染色永久標本)
フナなどのコイ科魚類を第二中間宿主とし、河川の中下流域でもっとも普通に見られる寄生虫です。吸盤は小さくて目立たず、全身がざらざらした細かいトゲで 覆われています。終宿主はアオサギなどの鳥と哺乳類です。ヒトにも感染しますが、たいした症状はありません。
この標本はは交通事故死したタヌキの腸から採取されました。おそらくフナを餌としていたのでしょう。