韓国の絵本・民話(1)

小学3年の教科書(光村図書)にのっている「三年とうげ」という朝鮮半島に伝わる民話があります。
三年とうげで、転ぶと3年しか生きられないという言い伝えがあり、おじいさんが、うっかり転んでしまいます。
ショックで寝こんでしまったおじいさんに、水車小屋の男が、「転ぶたびに寿命が3年ずつ延びる」とアドバイスします。
おじいさんは何度も転び、元気になって長生きしたという話です。

韓国の民話はユーモアがいっぱいで、なかなか印象に残るものが多いです。
なかでも、韓国の絵本・民話にかかせないオリジナルキャラクター「トッケビ」が登場する話は、総じて面白く、おすすめです。
「トッケビ」は、日本の妖怪のようでもあるし、西洋の悪魔みたいな感じもします。
善なのか悪なのかわからない、いまひとつつかみ所のない不思議な生き物?です。

先日、図書館に行ったら、韓国の絵本が以前よりたくさん置いてありました。
読んでいない「トッケビ」ものもあり、どれも面白いものばかりでした。(05/03/16)

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チョン スンガク 絵
神谷 丹路 編/訳
だまされたトッケビ 韓国の昔話

15篇の短編が収録されています。
全ての話にトッケビが登場するので「トッケビ」ファンにおすすめです。
(そんな人がいればの話ですが・・・)

日本の民話とは本質的に異なった奇想天外な話ばかりで楽しめます。
トッケビはもちろん、トッケビにかかわった人間のほうも一癖ある人物ばかりで面白いです。
各ページに簡単に書いてあるイラストが効果的で、話の盛り上げに一役買っています。

福音館書店 189ページ 漢 児

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クォン ジョンセン 作
チョン スンガク 絵
仲村 修 訳
黄牛のおくりもの

真夜中、黄牛(きうし)が住む牛小屋に1匹のはつかねずみが忍び込みます。
こっそり、残りのエサをもらいに来たのですが、黄牛に気づかれてしまいます。

最初は画面が真っ暗でよくわからなくて、緊張感が漂いますが、黄牛とネズミがうちとけてくるに従って、だんだん明るくはっきりしてきます。
黄牛はかわいいだけでなく、とても優しいのです。

いのちのことば社フォレストブックス 36ページ 漢

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イ サン 文
ハン ビョンホ 絵
おおたけ きよみ 訳
うしとトッケビ

トルセは大事にしている牛と、たきぎを売って生活をしています。
ある冬の日、市場からの帰り道で、助けを求めるトッケビの子供と出会います。

トッケビのお願いというのがビックリものです。
一番とばっちりを受けたのは牛で、とても可哀想なんですが、おかしくて笑ってしまいました。
妊婦さんは要注意?の絵本です。

アートン 36ページ 漢

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イ ヨンギョン 文/絵
かみや にじ 訳
あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま

赤い手ぬぐいを頭に巻いた裁縫の得意な奥さんがいました。
奥さんが横になって、うたたねしていると、裁縫の7つ道具が自分の自慢をし始めました。

おくさんも交えて、みんなでケンカばかりしている絵本ですが、道具に対する愛情がひしひしと伝わってきます。

見た目がフライパンみたいな「ひのし」というアイロンが、興味深いです。

福音館書店 32ページ かな

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リュウ チェスウ 作/画
田島 伸二 文
パック ウンドク 訳
フンブとノルブ

フンブとノルブという仲のよい兄弟がいました。
しかし彼らの父親が死んだあと、兄は意地悪になり、財産を独り占めにして、弟を追い出してしまいます。

正直者は幸福に、愚か者には天罰が下るというスタンダードな昔話です。
このての話ではめずらしく結末が円満でほっとしました。

汐文社 28ページ 漢

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イ ヨンギョン 文/絵
おおたけ きよみ 訳
ふしぎなかけじく

父親を亡くし悲観にくれるハンジャギョンのもとに、チョンウチ道士と名乗る男が現れ、魔法の掛け軸をわたします。
掛け軸には蔵が描いてあり、蔵番が毎日一両ずつ引き出してくれました。
しかし贅沢な暮らしがしたいハンジャギョンは、だんだん欲が出てきます。

トラを引き連れたチョンウチ道士と蔵番は、なかなか魅力的な登場人物です。
彼らが活躍する物語は他にあるのでしょうか?

アートン 32ページ 漢

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チョン スンガク 文/絵
おおたけ きよみ 訳
くらやみのくにからきたサプサリ

くらやみの国の王さまは、国を治めるには、明かりが必要だと考えていました。
火の犬と名付けられた1匹の犬が、明かりを探す旅に出発します。

中国の四神獣(白虎・朱雀・青龍・玄武)が登場する壮大な物語です。
四神獣は日本の陰陽道などでもおなじみです。
サプサリという犬は韓国にいるそうです。

アートン 32ページ 漢

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イ サンクォン 文
ハン ビョンホ 絵
おおたけ きよみ 訳
パパといっしょに

ソリはパパといっしょに山にハイキングに出かけました。
人は大勢いましたが、山の自然は美しくて清清しいです。
くさり場もなんのその、がんばって頂上を目指します。

ソリとパパのせりふが色分けしてあって読みやすいです。

場所にもよりますが、ハイキングって結構ハードですよ。
くさり場があるような山は、わたしはギブアップです。

アートン 36ページ かな

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チョン チャジュン 文
ハン ビョンホ 絵
ふじもと ともみ 訳
トッケビのこんぼう

たきぎを拾いに山に入った若者は、見つけた小屋で一晩明かすことにしました。
しかし、その小屋はトッケビのすみかだったのです。

正直者の若者と欲張りな若者のお話です。
微妙に内容が異なりますが「だまされたトッケビ 韓国の昔話」にも収録されています。

ひっくり返して後ろからも読めますが、順番どおり前から読みましょう。

平凡社 36ページ かな

【関連リンク】

ALE-Net(エールネット)「三年とうげ」から広がる韓国 (終了)

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