序夜 Das Rheingold 「ラインの黄金」
公開:2010年2月1日〜 更新:2010年1月11日
辺境伯オペラハウス 2009 August © Yu K.
このwebsiteは、私の身内が指環をより理解しやすいように、ライトモチーフ(示導動機)を中心にまとめたものです。
ガイドブックや解説として皆様に提示するような大それたものではなく、あくまで私が勝手にまとめた身内用です。
お役に立てる場合もあるかと思い、一部を公開してみました。
すべて完結するのには何年かかるかわかりませんが、毎日少しずつ更新していきたいと思います。
ライトモチーフの再生ですが、著作権の問題を考え、意図的に音を悪くしています。また、極めて断片的な引用で、
しかも商業利用ではないので、著作権は問題無い
と判断し、uploadしました。
ライトモチーフと解説は、ベーム/バイロイト祝祭管弦楽団(1967年) PHILIPS 412 475-5 CD の日本語解説
(渡辺 譲 著)を基に自分の意見を加え、まとめました。
♪
原始状態の動機
➜
* 1853年9月、ジェノヴァに滞在。病と過度の疲労の中、ジェノヴァ近郊のラ・スペツィアで一種の “夢遊病状態”
に陥り、
強く流れる水の中に身を沈める感覚に襲われる。その水の響きは、変ホ長調で、この三和音は無限の意味を与えていた。
指環の壮大な物語の全ては、コントラバスの変ホの音で始まる。
自然の生成の動機 ➜
波の動機 ➜
*
ミニマル・ミュージックの元型、アイディアはルネサンス時代の音楽から存在し、決して斬新なものではない。
この前奏曲も一種のミニマル・ミュージックである。
ラインの乙女たちの動機 その1 ➜
*
歌は、ヴォークリンデ Woglinde の “Weia! Waga! Woge, du Welle! walle zur Weige! Wagalaweia!
Wallala weiala weia!" で始まり
その後、フェルグンデ Wellgunde の “Woglinde, wachst du allein” と続き、執拗に “W"
が繰り返される(WagnerのW)。
*
フロースヒルデの警告“黄金の眠りをいいかげんに見張っているのね”で、平行短調であるハ短調になる。ハ短調は呪いの調で、
ジークフリートの死を既に暗示している。この後の、ヴォークリンデの愛の断念の動機も同じ。
苦難の動機 ➜
ラインの黄金の動機(ファンファーレ) ➜
*
自然の生成の動機と同じ音型。
ラインの乙女たちの歌(黄金への賛歌) ➜
*
ハ長調の響き。この動機・基本形は、変形され、多用される。
ラインの乙女たちの動機 その2 ➜
ラインの乙女たちの動機 その3 ➜
*
自然の生成の動機の変形。
愛の断念の動機 ➜
*
呪いのハ短調。“愛をあきらめる人だけが黄金で指環を作り不思議な力を得る”
指環の動機 ➜
*
この動機は、様々に変形され、度々登場する。
間奏曲
ワルハラの動機 ➜
*
指環の動機から移行。
契約/ヴォータンの槍の動機 ➜
*
下降音形で遮られ、契約のためにヴォータンが自由にできない様も表す。
フリッカの動機 ➜
*
家:安定した住居で、フリッカの夫への拘束の暗示。
フライアの動機-1(上昇部分) ➜ (わかりにくいので、動機1と2の連続再生とした)
*全編を通じて、男女の官能的な場面に登場する。譜面は、官能的な場合の例。
フライアの動機-2(下降部分)
*従来から、逃亡の動機として分類されているもの。渡辺 譲
氏も、逃亡の動機として分類している。
逃亡の例:この場面のフライアや、「ワルキューレ」での、ジークムントとジークリンデの駆け落ち。どちらもヴォータンの我儘・軽率な行動の結果起きた。
巨人の動機 ➜
金のリンゴの動機(永遠の青春) ➜
ローゲの動機 ➜
魔の炎の動機 ➜
間奏曲
ミーメの鍛冶の動機 ➜
*もともとは、ラインの乙女達の動機(2、3)の変形を
第2場でローゲが歌い、そしてミーメの鍛冶の動機へと変形する。
かくれかぶとの動機 ➜
アルベリヒの支配欲の動機 ➜
*ニーベルハイムの調である、変ロ短調。神々の世界の変ニ長調の平行調になっている。
増えゆく財宝の動機 ➜
大蛇の動機 ➜
間奏曲
ニーベルング破壊工作の動機 ➜
*指環の動機の和声の変形の一つ。指環の持つ不吉な和声:減3和音。
アルベリヒの呪いの動機 ➜
*これから、この “呪い” が、物語を支配する。重要な動機の一つ。
エルダの動機 ➜
*嬰ハ単調。自然の生成の動機の変形(流れるような6/8からゆっくりした4/4で
短調となっている)。
神々の黄昏の動機 ➜
*
上昇音形は下降音形となり、終焉を暗示している。この下降音形は、神々の黄昏で多用される。
ドンナーの動機 ➜
*
自然の生成の動機、ラインの黄金の動機(ファンファーレ)の変形。
虹の動機 ➜
*
自然の生成の動機の変形。ただし、もう現れないので、厳密には
“動機” ではない。
剣のファンファーレ ➜
*
脚本上は、この動機が登場する意味は無い。音楽上の効果としてのモチーフ。
ただし、1876年のバイロイト公演での舞台稽古の時、ワーグナーが 「ヴォータンが、ファフナーが忘れていった剣を拾い上げ、
高く振り上げる」ように指示。
♪