Das Rheingold 「ラインの黄金」 演奏比較メモ
* 現在たまたま所有しているCD、DVDの比較。言うまでも無く、単なる個人の感想です。
公開:2010年2月1日〜 更新:2009年10月18日
祝祭劇場の壁 2009 August © Yu K.
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ショルティ |
ベーム |
カラヤン |
ブーレーズ |
ハイティンク |
サヴァリッシュ |
レヴァイン |
バレンボイム |
ティーレマン |
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前奏曲 | ホルンの音程が今一の所があるが、弦を中心に、素晴らしく盛り上がる。Hi-Fi | いろいろあるが、一世代前のバイロイトのライヴなので納得してしまう。 | カラヤンの世界。統制が取れているのだが、演奏している人の感情的な盛り上がりが感じられない。 | 演奏は良いのだが、そもそも演出の設定が“ダム”なので本来のライト・モチーフとは程遠い。 |
波の感じの描写があっさりした、やや端正な演奏。 |
冒頭は、まるで打ち込みのような、無機的な演奏。コントラバスも音がしっかり途切れる。 | うねり感はあまり無い演奏。ト書き通りの貴重な演出。リアリティが卓越しているのはメトの特徴。 |
冒頭の演出は最高傑作。その後が... バイロイト祝祭管弦楽団が最高である事の証明。 |
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第1場 (登場順) ラインの乙女達 ヴォークリンデ Wo(S) ヴェルグンデ We(Ms) フロースヒルデ Flo(A) アルベリヒ Albe (Bar) |
Wo:オダ・バルスボルグ
We:ヘティ・プリュマッハー Flo:イラ・マラニウク Albe:グスタフ・ナイトリンガー 素晴らしい。 |
Wo:ドロテア・ジーベルト
We:ヘルガ・デルネッシュ Flo:ルート・ヘッセ Albe:グスタフ・ナイトリンガー Good. |
Wo:ヘレン・ドナート
We:エルダ・モーザー Flo:アンナ・レイノルズ Albe:ゾルタン・ケレメン 音像定位が良い。 |
Wo:ノーマ・シャープ
We:イルゼ・グラマツキ Flo:マルガ・シムル Albe:ヘルマン・ベヒト 今となっては設定が違うだけで古典的演出。新演出は、斬新かどうかでは無く、より本質が問われる。 |
Wo:ジュリー・カウフマン
We:シルヴィア・ヘルマン Flo:スーザン・クイットマイヤー Albe:テオ・アダム |
Wo:ジュリー・カウフマン
We:アンジェラ・マリア・ブラジ Flo:ビルギット・カーム Albe:エッケハルト・ウラシハ 良いのだが、あっさりと通り過ぎるところが所々あり。 |
Wo:カーレン・エリクソン
We:ダイアン・ケスリング Flo:メレディス・パーソンズ Albe:エッケハルト・ウラシハ 限界ギリギリの金切りヴィブラート合戦。Metはこれに鈍感で(特にコーラス。神々では一種の拷問)。 |
Wo:ヒルデ・ライトランド
We:アンネッテ・キュッテンバウム Flo:ジェーン・ターナー Albe:ギュンター・フォン・カンネン 音楽が流れていて素晴らしい!演出も傑出(歌手達は青アザを沢山作った?) |
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間奏曲 | 冒頭からここまで、代表的な素晴らしい演奏。 | 素晴らしい。 | 良いのだけれど、同上(やっぱりカラヤンは苦手かな?)。 | 演出は今でも好みが分かれるだろうが、演奏は素晴らしい。 | 素晴らしい。 | ここもあっさり。 | Good. | ここも 素晴らしい。バレンボイムの才能がいかんなく発揮。 | ||
第2場 (登場順) ヴォータン Wo (Bar) フリッカ Fri (Ms) フライア Fre (S) ファーゾルト Fas (Bs) ファフナー Faf (Bs) フロー Fro (T) ドンナー Do (Bar) ローゲ Lo (T) |
Wo:ジョージ・ロンドン
Fri:キルステン・フラグスタード Fre:クレア・ワトソン Fas:ヴァルター・クレッペル Faf:クルト・ベーメ
Fro:ヴァルデマール・クメント Do:エバーハルト・ヴェヒター Lo:セット・スヴァンホルム 相変わらずホルン、管のピッチが悪い。ロンドンのヴォータンは素晴らしいが、フラグスタードのフリッカはパス。 クレッペルの声は素敵でファーゾルトに合っていない。スヴァンホルムのローゲは適任。全体的には素晴らしい。 |
Wo:テオ・アダム
Fri:アンネリース・ブルマイスター Fre:アニア・シリア Fas:マルッティ・タルヴェラ Faf:クルト・ベーメ
Fro:ヘルミン・エッサー Do:ゲルト・ニーンシュテット Lo:ヴォルフガング・ヴィントガッセン 細かいところをどうこう言う演奏ではない。ありがたく拝聴。 素晴らしい! |
Wo:ディースカウ
Fri:ジョセフィン・ヴィージー Fre:シモーネ・マンゲルスドルフ Fas:マルッティ・タルヴェラ Faf:カール・リッダーブッシュ Fro:ドナルド・グローベ Do:ロバート・カーンズ Lo:ゲルハルト・ストルツ 冒頭のディースカウが見事。オケが素晴らしい!ぐいぐい引き込まれてしまう。ヴィージー、マンゲルスドルフ(これぞフライア)も素晴らしい。 タルヴィラどうした?声が裏返っているぞ。ディースカウは知的過ぎて、ヴォータンの我儘な感じが薄い。 巨人のライトモチーフでティンパニーの打点が早い。 |
Wo:ドナルド・マッキンタイア
Fri:ハンナ・シュヴァルツ Fre:カルメン・レッペル Fas:マッティ・サルミネン Faf:フリッツ・ヒューブナー Fro:ジークフリート・エルサザム Do:マルティン・エーゲル Lo:ハインツ・ツェドニク マッキンタイアは見た目はともかく、歌が最高。 豪華な歌手陣、文句のつけようが無い。特にツェドニクが登場すると、もう主役は彼だ。巨人のメイクが秀逸(登場から音楽は少し軽い)、演出も素晴らしい(ただしリンゴの所はちょっとやり過ぎ)。エルザレムがフローを歌っている。 |
Wo:ジェイムス・モリス
Fri:マルヤーナ・リポヴシェク Fre:エヴァ・ヨハンソン Fas:ハンス・チャンマー Faf:クルト・リドル
Fro:ペーター・ザイフェルト Do:アンドレアス・シュミット Lo:ハインツ・ツェドニク スタジオ録音のデメリットが出たか。素晴らしいのだが、スリリングさが無い。 |
Wo:ロバート・ヘイル
Fri:マルヤーナ・リポヴシェク Fre:ナンシー・グスタフソン Fas:ヤン-ヘンドリク・ロータリング Faf:クルト・モル Fro:ヨザフ・ホポファーウィーザー Do:フローリアン・チェルニー Lo:ロバート・ティアー リポヴシェクが、ハイティングの時と別人のように生き生き。素晴らしい歌手陣のやりとり、ブラボー! 巨人の登上から、またあっさり。その後は素晴らしい。 |
Wo:ジェイムス・モリス
Fri:クリスタ・ルートヴィヒ Fre:マリ・アン・ヘッガンダー Fas:ヤン-ヘンドリク・ロータリング Faf:マッティ・サルミネン
Fro:マーク・ベイガー Do:アラン・ヘルド Lo:ジークフリート・エルザレム ピッチ高目(445?) 巨人の登場は遅いテンポなのに何故か音楽が軽い。フリッカが普通の口うるさい主婦のよう。エルザレムがローゲを歌っている。 |
Wo:ジョン・トムリンソン
Fri:リンダ・フィニー Fre:エヴァ・ヨハンソン Fas:マッティアス・ヘレ Faf:フィリップ・カン
Fro:クルト・シュライプマイヤー Do:ボード・ブリンクマン Lo:グレアム・クラーク 場面転換は秀逸。しかし、このあたりから演出に?が頻発してくる。音楽は素晴らしいのだが 、やたらと動き回る演出が顔を出し始める。トムリンソンは、バイロイトであの衣装で走り回され可哀想だなあ。ローゲはいかにも怪しい感じが実に良い。巨人の仕掛けは今一。 |
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間奏曲 | 最初LPで聴いた時は鍛冶の音に驚いた。 | ベームのテンポ | 素晴らしい。鍛冶の音はこの盤がベスト。 | サンダーバードのような場面展開。 | 素晴らしい。 | 素晴らしい。効果音とはリズムが合っていない。 | ゆっくりしたテンポ。打楽器が完璧に鍛冶の音を合わせている。 | クプファー得意の仕掛け。音楽も素晴らしい。 | ||
第3場 (登場順) アルベリヒ ミーメ Mi (T) ローゲ ヴォータン |
Mi: パウル・クーメン 流石に第3場は役者揃い。どの録音も聴かせ所。 素晴らしい。 |
Mi: エルヴィン・ヴォールファールト ヴォールファールトは映像が無くても十分見える程素晴らしい! |
Mi: エルヴィン・ヴォールファールト 映像が無くても舞台が見える程素晴らしい。隠れかぶとを使う時(最初)のアルベリヒの音響処理がうまい。 |
Mi: ヘルムート・パンプラ 実際に小人が登場.パンプラのミーメとツェドニクのローゲと役者揃い、素晴らしい。大蛇への変身は考えたが小さくて迫力が無い。 |
Mi: ペーター・ハーゲ 素晴らしい。 |
Mi: エルヴィン・ヴォールファールト Good. |
Mi: ハインツ・ツェドニク レヴァインの音楽が少々停滞する所があるのが残念。 |
Mi: ヘルムート・パンプフ とにかく流れる音楽が圧倒的に素晴らしい。ここでもクラークのローゲの存在感が抜群。 |
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間奏曲 (ニーベルハイムからの帰還) | 素晴らしい。 | 素晴らしい。 | 素晴らしい。 | 素晴らしい。サンダーバードpart.2 | Good. | Good. | 今一〜今ニ。 | 素晴らしい。 | ||
第4場 (登場順)
ヴォータン |
Er:ジーン・マデイラ アルベリヒの“呪い”は今一。フリッカの声・歌い方に耳が限界に。エルダはヴィブラート過多気味。ファフナーの殴打のティンパニーはリアリティが無い。ドンナーの一撃は、LPで最初聴いた時に驚いたのが懐かしい。 |
Er:ヴィエーラ・ソウクポヴァー 素晴らしい。 |
Er:オラリア・ドミンゲス ドンナーの所は、やたらと遅い。ディースカウのヴォータンが好きになれないし、とにかく第4場からは気持ちが離れてしまう。 理由は多すぎるので、省略。 |
Er:オルトルン・ヴェンケル アルベリヒは指環を使う手が自由で不自然(ヴォータンのいいなりになるのはおかしい)。 黄金はポリ袋のゴミのよう。エルダはお化けじゃあるまいし、あの格好・動きはないだろう。ファフナーの殴打のティンパニーは合っていない。最後の2打は、ファーゾルトが倒れる音なのに、とっくに倒れているし、ブーレーズもわかっていない。エーゲルのドンナーが良くない。ワルハラ入場から音楽が軽い。最後にローゲに幕を閉じさせるのは良い。第4場はダメな箇所が多いのが残念。 |
Er:ヤドヴィカ・ラッペ 良いのだが、所々音楽が私の好みではない。ドンナーの所はカラヤンなみに遅い(雷鳴・効果音は落雷でなく、普通の近い雷鳴)。終盤のまとめ方はちょっとdull。 |
Er:ハンナ・シュヴァルツ 歌手陣は良いのだけれど、サッサと通り過ぎてしまうサヴァリッシュが... |
Er:ビルギッタ・スヴェンデン ここでもアルベリヒは指環を使う手が自由だが “呪い”は素晴らしい。リアリティを追求するメトにしては、ハンマー軽すぎ紙細工。ワルハラから音楽が軽い。細かい所を抜きにすれば、全体的に良くまとまっている。 |
Er:ビルギッタ・スヴェンデン ローゲが、アルベリヒの指環をヴォータンが欲しがるように仕向けるのはおかしい。トムリンソンは、悪役のアラン・リックマンにソックリだ。 神としての品格が無い(演出)。黄金は少ししかなく、立積みでなく横並べ。フライヤもさっさと寝るし、ト書きと違う事をするなら、もっとセンス良くまとめないと。エルダの出方は良いし歌も素晴らしい。ドンナーのところで神々が無意味にくるくる回って、その後は手をつないで右往左往。最後には倒れるし、もうバカな演出はやめてくれ。ワルハラの虹は、クプファー得意のネオン。最後はうまくまとめた。 |
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総括
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冒頭から大変素晴らしいのだが、フラグスタードのフリッカがネック(彼女の最後の録音なので残念)。 | 細かいところをどうこう言う演奏ではない。 | 結局、やはりカラヤンは苦手。 | 演出は斬新でもないし、センスも特に優れている訳でもない。世間では過大評価。歌手陣は素晴らしい。 | 素晴らしいのだが、どことなく平均的。 | サヴァリッシュ次第。 | 入門者には最適。 | 音楽最高 !! CDベスト盤。 | ||
備考 | 史上初の全曲録音なので、それだけでも価値がある。 | 何で日本人はサヴァリッシュがあんなに好きなのだろう。 | ト書きに忠実な演出の録画がこれだけ、とうのも困ったものだ。 | テレビの発振音と思われる、1万数千Hzの音がずっと録音に入っている。ほとんどの人には聞こえないと思うが。 | 演出は最悪なので、DVDは見ないでCDで音楽だけ聴くのが無難。 | |||||
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ショルティ |
ベーム |
カラヤン |
ブーレーズ |
ハイティンク |
サヴァリッシュ |
レヴァイン |
バレンボイム |
ティーレマン バイロイト祝祭管弦 演出:ドルスト (2008年) CD外盤 |
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そういえば、実相寺は、よくクプファー(だけではないが)の舞台装置をソックリ真似をしていた。あれで教授になるのだから、演出家の人材も選ぶ側も相当貧弱なのか知らないのか...