Das Rheingold 「ラインの黄金」 演奏比較メモ

* 現在たまたま所有しているCD、DVDの比較。言うまでも無く、単なる個人の感想です。

 公開:2010年2月1日〜 更新:2009年10月18日

 祝祭劇場の壁  2009 August © Yu K.

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ショルティ
 ウイーンフィル
(1958年)
 CD国内盤、外盤

ベーム
 バイロイト祝祭
       管弦楽団
(1967年)
 CD国内盤

カラヤン
 ベルリンフィル
(1968年)
 CD外盤

ブーレーズ
 バイロイト祝祭管弦
 演出:シェロー
(1980年)
 DVD外盤

ハイティンク
 バイエルン放送
       交響楽団
(1988年)
 CD外盤

サヴァリッシュ
 バイエルン国立
         歌劇場
(1989年)
CD外盤

レヴァイン
 メトロポリタン歌劇場
 演出:シェンク
(1990年)
 DVD国内盤

バレンボイム
 バイロイト祝祭管弦
 演出:クプファー
(1991年)
 CD外盤&DVD国内盤

ティーレマン
 バイロイト祝祭管弦
 演出:ドルスト
(2008年)
 CD外盤

 
前奏曲 ホルンの音程が今一の所があるが、弦を中心に、素晴らしく盛り上がる。Hi-Fi いろいろあるが、一世代前のバイロイトのライヴなので納得してしまう。 カラヤンの世界。統制が取れているのだが、演奏している人の感情的な盛り上がりが感じられない。 演奏は良いのだが、そもそも演出の設定が“ダム”なので本来のライト・モチーフとは程遠い。

波の感じの描写があっさりした、やや端正な演奏。

冒頭は、まるで打ち込みのような、無機的な演奏。コントラバスも音がしっかり途切れる。 うねり感はあまり無い演奏。ト書き通りの貴重な演出。リアリティが卓越しているのはメトの特徴。 冒頭の演出は最高傑作。その後が...
バイロイト祝祭管弦楽団が最高である事の証明
   
第1場  (登場順)
 
 ラインの乙女達
  ヴォークリンデ Wo(S)
  ヴェルグンデ We(Ms)
  フロースヒルデ Flo(A)
  
 アルベリヒ  Albe (Bar)
Wo:オダ・バルスボルグ We:ヘティ・プリュマッハー Flo:イラ・マラニウク Albe:グスタフ・ナイトリンガー
 
 素晴らしい。
Wo:ドロテア・ジーベルト We:ヘルガ・デルネッシュ Flo:ルート・ヘッセ Albe:グスタフ・ナイトリンガー
 
 Good.
Wo:ヘレン・ドナート  We:エルダ・モーザー Flo:アンナ・レイノルズ Albe:ゾルタン・ケレメン
 
 音像定位が良い。
Wo:ノーマ・シャープ  We:イルゼ・グラマツキ Flo:マルガ・シムル Albe:ヘルマン・ベヒト
 
 今となっては設定が違うだけで古典的演出。新演出は、斬新かどうかでは無く、より本質が問われる。

Wo:ジュリー・カウフマン We:シルヴィア・ヘルマン Flo:スーザン・クイットマイヤー Albe:テオ・アダム
 
 Good.

Wo:ジュリー・カウフマン We:アンジェラ・マリア・ブラジ Flo:ビルギット・カーム Albe:エッケハルト・ウラシハ
 
 
良いのだが、あっさりと通り過ぎるところが所々あり。
Wo:カーレン・エリクソン We:ダイアン・ケスリング Flo:メレディス・パーソンズ Albe:エッケハルト・ウラシハ
 
 限界ギリギリの金切りヴィブラート合戦。Metはこれに鈍感で(特にコーラス。神々では一種の拷問)。
Wo:ヒルデ・ライトランド We:アンネッテ・キュッテンバウム Flo:ジェーン・ターナー Albe:ギュンター・フォン・カンネン
  音楽が流れていて素晴らしい!演出も傑出(歌手達は青アザを沢山作った?)
   
間奏曲 冒頭からここまで、代表的な素晴らしい演奏。 素晴らしい。 良いのだけれど、同上(やっぱりカラヤンは苦手かな?)。 演出は今でも好みが分かれるだろうが、演奏は素晴らしい。 素晴らしい。 ここもあっさり。 Good. ここも 素晴らしい。バレンボイムの才能がいかんなく発揮。    
第2場  (登場順)

 ヴォータン  Wo (Bar)
 フリッカ  Fri  (Ms)
 フライア  Fre (S)
 
 ファーゾルト Fas (Bs)
 ファフナー  Faf (Bs)
 
 フロー  Fro (T)
 ドンナー  Do (Bar)
 
 ローゲ  Lo (T)
 
 
Wo:ジョージ・ロンドン Fri:キルステン・フラグスタード Fre:クレア・ワトソン Fas:ヴァルター・クレッペル Faf:クルト・ベーメ Fro:ヴァルデマール・クメント Do:エバーハルト・ヴェヒター Lo:セット・スヴァンホルム

 相変わらずホルン、管のピッチが悪い。ロンドンのヴォータンは素晴らしいが、フラグスタードのフリッカはパス。 クレッペルの声は素敵でファーゾルトに合っていない。スヴァンホルムのローゲは適任。全体的には素晴らしい。
Wo:テオ・アダム Fri:アンネリース・ブルマイスター Fre:アニア・シリア Fas:マルッティ・タルヴェラ  Faf:クルト・ベーメ Fro:ヘルミン・エッサー Do:ゲルト・ニーンシュテット Lo:ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 
 細かいところをどうこう言う演奏ではない。ありがたく拝聴。
 素晴らしい!
Wo:ディースカウ Fri:ジョセフィン・ヴィージー Fre:シモーネ・マンゲルスドルフ Fas:マルッティ・タルヴェラ
Faf:カール・リッダーブッシュ Fro:ドナルド・グローベ Do:ロバート・カーンズ Lo:ゲルハルト・ストルツ

 冒頭のディースカウが見事。オケが素晴らしい!ぐいぐい引き込まれてしまう。ヴィージー、マンゲルスドルフ(これぞフライア)も素晴らしい。 タルヴィラどうした?声が裏返っているぞ。ディースカウは知的過ぎて、ヴォータンの我儘な感じが薄い。 巨人のライトモチーフでティンパニーの打点が早い。
Wo:ドナルド・マッキンタイア Fri:ハンナ・シュヴァルツ Fre:カルメン・レッペル Fas:マッティ・サルミネン Faf:フリッツ・ヒューブナー
Fro:ジークフリート・エルサザム Do:マルティン・エーゲル Lo:ハインツ・ツェドニク

 マッキンタイアは見た目はともかく、歌が最高。 豪華な歌手陣、文句のつけようが無い。特にツェドニクが登場すると、もう主役は彼だ。巨人のメイクが秀逸(登場から音楽は少し軽い)、演出も素晴らしい(ただしリンゴの所はちょっとやり過ぎ)。エルザレムがフローを歌っている。
Wo:ジェイムス・モリス Fri:マルヤーナ・リポヴシェク Fre:エヴァ・ヨハンソン Fas:ハンス・チャンマー Faf:クルト・リドル Fro:ペーター・ザイフェルト
Do:アンドレアス・シュミット Lo:ハインツ・ツェドニク

 スタジオ録音のデメリットが出たか。素晴らしいのだが、スリリングさが無い。
Wo:ロバート・ヘイル Fri:マルヤーナ・リポヴシェク Fre:ナンシー・グスタフソン Fas:ヤン-ヘンドリク・ロータリング Faf:クルト・モル
Fro:ヨザフ・ホポファーウィーザー Do:フローリアン・チェルニー Lo:ロバート・ティアー
 
 リポヴシェクが、ハイティングの時と別人のように生き生き。素晴らしい歌手陣のやりとり、ブラボー! 巨人の登上から、またあっさり。その後は素晴らしい。
 
Wo:ジェイムス・モリス Fri:クリスタ・ルートヴィヒ Fre:マリ・アン・ヘッガンダー Fas:ヤン-ヘンドリク・ロータリング Faf:マッティ・サルミネン Fro:マーク・ベイガー Do:アラン・ヘルド Lo:ジークフリート・エルザレム
 
 ピッチ高目(445?)  巨人の登場は遅いテンポなのに何故か音楽が軽い。フリッカが普通の口うるさい主婦のよう。エルザレムがローゲを歌っている。
Wo:ジョン・トムリンソン Fri:リンダ・フィニー Fre:エヴァ・ヨハンソン Fas:マッティアス・ヘレ Faf:フィリップ・カン Fro:クルト・シュライプマイヤー Do:ボード・ブリンクマン Lo:グレアム・クラーク
 
 場面転換は秀逸。しかし、このあたりから演出に?が頻発してくる。音楽は素晴らしいのだが 、やたらと動き回る演出が顔を出し始める。トムリンソンは、バイロイトであの衣装で走り回され可哀想だなあ。ローゲはいかにも怪しい感じが実に良い。巨人の仕掛けは今一。
   
間奏曲 最初LPで聴いた時は鍛冶の音に驚いた。 ベームのテンポ 素晴らしい。鍛冶の音はこの盤がベスト。 サンダーバードのような場面展開。 素晴らしい。 素晴らしい。効果音とはリズムが合っていない。 ゆっくりしたテンポ。打楽器が完璧に鍛冶の音を合わせている。 クプファー得意の仕掛け。音楽も素晴らしい。    
第3場  (登場順)

 アルベリヒ
 ミーメ Mi (T)
 
 ローゲ
 ヴォータン
Mi: パウル・クーメン
 
 流石に第3場は役者揃い。どの録音も聴かせ所。
 素晴らしい。
Mi: エルヴィン・ヴォールファールト
 
 ヴォールファールトは映像が無くても十分見える程素晴らしい!
Mi: エルヴィン・ヴォールファールト
 
 映像が無くても舞台が見える程素晴らしい。隠れかぶとを使う時(最初)のアルベリヒの音響処理がうまい。
Mi: ヘルムート・パンプラ
 
 実際に小人が登場.パンプラのミーメとツェドニクのローゲと役者揃い、素晴らしい。大蛇への変身は考えたが小さくて迫力が無い。
Mi: ペーター・ハーゲ
 
 素晴らしい。
Mi: エルヴィン・ヴォールファールト
 
 Good.
Mi: ハインツ・ツェドニク
 
 レヴァインの音楽が少々停滞する所があるのが残念。
Mi: ヘルムート・パンプフ
 
 とにかく流れる音楽が圧倒的に素晴らしい。ここでもクラークのローゲの存在感が抜群。
   
間奏曲 (ニーベルハイムからの帰還) 素晴らしい。 素晴らしい。 素晴らしい。 素晴らしい。サンダーバードpart.2 Good. Good. 今一〜今ニ。 素晴らしい。    
第4場  (登場順)

 ヴォータン
 ローゲ
 アルベリヒ
 
 ドンナー
 フロー
  フリッカ
 フライア
 ファーゾルト
 ファフナー
 
 エルダ Er (Ms)
 
 ラインの乙女達
  ヴォークリンデ
  ヴェルグンデ
  フロースヒルデ

Er:ジーン・マデイラ

 アルベリヒの“呪い”は今一。フリッカの声・歌い方に耳が限界に。エルダはヴィブラート過多気味。ファフナーの殴打のティンパニーはリアリティが無い。ドンナーの一撃は、LPで最初聴いた時に驚いたのが懐かしい。
Er:ヴィエーラ・ソウクポヴァー

 素晴らしい。
Er:オラリア・ドミンゲス
 
 ドンナーの所は、やたらと遅い。ディースカウのヴォータンが好きになれないし、とにかく第4場からは気持ちが離れてしまう。 理由は多すぎるので、省略。
Er:オルトルン・ヴェンケル
 
 アルベリヒは指環を使う手が自由で不自然(ヴォータンのいいなりになるのはおかしい)。 黄金はポリ袋のゴミのよう。エルダはお化けじゃあるまいし、あの格好・動きはないだろう。ファフナーの殴打のティンパニーは合っていない。最後の2打は、ファーゾルトが倒れる音なのに、とっくに倒れているし、ブーレーズもわかっていない。エーゲルのドンナーが良くない。ワルハラ入場から音楽が軽い。最後にローゲに幕を閉じさせるのは良い。第4場はダメな箇所が多いのが残念。
Er:ヤドヴィカ・ラッペ
 
 良いのだが、所々音楽が私の好みではない。ドンナーの所はカラヤンなみに遅い(雷鳴・効果音は落雷でなく、普通の近い雷鳴)。終盤のまとめ方はちょっとdull。
Er:ハンナ・シュヴァルツ
 
 歌手陣は良いのだけれど、サッサと通り過ぎてしまうサヴァリッシュが...
Er:ビルギッタ・スヴェンデン
 
 ここでもアルベリヒは指環を使う手が自由だが “呪い”は素晴らしい。リアリティを追求するメトにしては、ハンマー軽すぎ紙細工。ワルハラから音楽が軽い。細かい所を抜きにすれば、全体的に良くまとまっている。
Er:ビルギッタ・スヴェンデン
 
 ローゲが、アルベリヒの指環をヴォータンが欲しがるように仕向けるのはおかしい。トムリンソンは、悪役のアラン・リックマンにソックリだ。 神としての品格が無い(演出)。黄金は少ししかなく、立積みでなく横並べ。フライヤもさっさと寝るし、ト書きと違う事をするなら、もっとセンス良くまとめないと。エルダの出方は良いし歌も素晴らしい。ドンナーのところで神々が無意味にくるくる回って、その後は手をつないで右往左往。最後には倒れるし、もうバカな演出はやめてくれ。ワルハラの虹は、クプファー得意のネオン。最後はうまくまとめた。
   
総括

 

冒頭から大変素晴らしいのだが、フラグスタードのフリッカがネック(彼女の最後の録音なので残念)。 細かいところをどうこう言う演奏ではない。 結局、やはりカラヤンは苦手。 演出は斬新でもないし、センスも特に優れている訳でもない。世間では過大評価。歌手陣は素晴らしい。 素晴らしいのだが、どことなく平均的。 サヴァリッシュ次第。 入門者には最適。 音楽最高 !! CDベスト盤。    
備考 史上初の全曲録音なので、それだけでも価値がある。         何で日本人はサヴァリッシュがあんなに好きなのだろう。 ト書きに忠実な演出の録画がこれだけ、とうのも困ったものだ。 テレビの発振音と思われる、1万数千Hzの音がずっと録音に入っている。ほとんどの人には聞こえないと思うが。 演出は最悪なので、DVDは見ないでCDで音楽だけ聴くのが無難。  

 

ショルティ
 ウイーンフィル
(1958年) CD

ベーム
 バイロイト祝祭管
(1967年) CD

カラヤン
 ベルリンフィル
(1968年) CD

ブーレーズ
 バイロイト祝祭管
 演出:シェロー
(1980年) DVD

ハイティンク
 バイエルン放送響
(1988年) CD

サヴァリッシュ
 バイエルン国立歌劇
(1989年) CD

レヴァイン
 メトロポリタン歌劇場
 演出:シェンク
(1990年) DVD

バレンボイム
 バイロイト祝祭管
 演出:クプファー
(1991年) CD&DVD

ティーレマン
 バイロイト祝祭管弦
 演出:ドルスト
(2008年) CD外盤
 

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  そういえば、実相寺は、よくクプファー(だけではないが)の舞台装置をソックリ真似をしていた。あれで教授になるのだから、演出家の人材も選ぶ側も相当貧弱なのか知らないのか...