コンパクト・デジタル・カメラ
 いつも傍らにお供

 公開:2015年7月16日〜
更新:2016年4月22日 *
愛機による手持ちコンポジット撮影 を追加

  今でこそ、若者達がスマートフォンで日々写真を撮りまくり、ネットに掲載したりしているが、写真をやっている人達にとっては、コンパクト・カメラは必需品だった。私は、フィルム時代には、オリンパスXA をいつも鞄に忍ばせていたし、 そして、それはCONTAX T2 に替わった。CONTAX T2 は、シャッターを押してからピント合わせをするので、シャッターがワンテンポ遅れる、という致命的欠点があったが、レンズの発色が良かったので長らく愛用した。同時にLeica CL も愛用。

 私が写真を始めた頃、カルチェ・ブレッソンの写真展を見に行って、すっかり彼の作品の虜になった。雑誌や写真集で写真を「見た」と思ったら大間違いである。いくらCDを聴いたって、生を聴かなきゃ演奏家の真価は判らないのと同じ。実際にプリントされた血の通った写真は、全くの別物。また、当時、Leica M5 で撮った写真にすっかり魅了されたが、頭底買える代物ではない。M5 の廉価版のLeitz Minolta CL だって、手が届かない。社会人になって、復讐とばかり、Leitz Minolta CLではなく、Leica CL の中古を購入。ある日、この頃撮った写真を並べていたら、家内が、「ねえ、この写真、どのカメラで撮ったの!?」と驚愕する位、別物だった。レンズはM-ROKKOR 40mm ではなく、SUMMICRON 40mm。ただし、望遠の90mmMINOLTA の方がヘリコイドは優秀だったので、これを採用。また、CLE 用の28mm も素晴らしいレンズだった。

 そういえば、CONTAX T VS というカメラもあったけど、レンズが暗くてズーム・レンズとしては使用出来ない代物だった。残念ながら、暗いズームレンズは今も健在で、レンズ交換式小型カメラはほとんど、これ。かつては、暗いレンズはストロボで何とか撮らせ、今ではISOで感度を稼ぐ。これじゃあ全部一本調子でつまらない写真になってしまう。

   

フジフィルム FinePix 700


雨の西麻布 (2000年4月)

 初めて購入したデジカメ。フィルム・カメラには全く敵わなかったが、デジカメに様々な可能性を見出した。150万画素。

  

SONY DSC-S70


                   カッパドキアの陶器職人 (2001年9月)

 スナップ写真だけでなく、仕事でも大活躍した。その後、 一時期SONY DSC-V1 も使用したが、液晶画面が 小さすぎて、老眼が始まった私の眼には使えず、子供へ。また、CONTAX T VS デジタルを試用する機会があったが、デジタル処理と画質が、もう時代から取り残されていて実用に耐えず、CONTAX は潰れるなあ、と実感した。この頃のデジカメは、 写真・カメラを知らない電気屋が作っていたので、カメラでは当たり前にできる事ができず、操作、という点では、フラストレーションが溜まるものばかりだった。 露出補正が2アクションだなんてカメラではない(いまだにこの手のカメラが多いのには、辟易)。

 また、いつものSONY vs 松下の規格闘争は、もういい加減に止めてくれ。メモリースティックは予想通り風前の灯。この会社達は過去から学ばないのだろうか。LDが出た時、松下陣営から、針を使ったVHDなるものが出された。CDの時代、非接触式が当然の時代に、時代錯誤のようなものを出し、しかもVHDでしか見れない貴重なライヴ録画があり、メーカーのエゴに芸術が犠牲になる、といった本末転倒な事態が生じた。VHDが世の中から消えようとしていた頃、小泉文夫氏の世界遺産というべき貴重な民族音楽の収録全集をVHDプレーヤーをオマケに付けて販売、などという愚挙まで行われ、ここに破廉恥極まる醜態まで曝していた。

 そういえば、この頃、SONY からQUALIA なるものが出た。ヴィデオ・プロジェクターだけは良かったが、オーディオ製品は、からっきし音がダメなのに価格だけは何倍も高価だった。また、デジカメは性能も画質も貧弱なのに、ありえない程高価で、いったい何を血迷って、こんなものを出したのだろうか。安くても超高級品をも凌駕するのが誰しもがSONY に求めるものだったのに、こんな自分の会社の利点もわからないでバブル満開のようなものを出すようでは、SONY は凋落する、と確信し、予想通りになってしまった。今はSONY には、本当に良い音、美しい映像を知らない人が多すぎる。

   

CASIO EX-P600 & 700


                               イヴリ・ギトリス (2007年10月)

 CASIO から、操作性抜群、というか、ようやくカメラ、と呼べるデジタル・カメラが出た。カメラ音痴の電気屋が作ったデジカメから、ようやく開放されたので、本当に嬉しかった。レンズはCANON 製で、EX-P600 は大活躍。その後、海外ではEX-P700 が発売になったが、日本ではなかなか発売にならず、仕方なしに、出張先のドイツで購入した。EX-P700 は持ち歩き、EX-P600 は職場で長年大活躍した。EX-P700 は、ヨーロッパ・カメラ・オヴ・ジ・イヤーを受賞。本当に良いデジタル・カメラだったが、液晶画面が小さくて、 遂に2013年にリタイア。

 このカメラが出た頃から、画素数競争が激しくなった。画素数なんていいから、画素を大きくしてダイナミック・レンジを上げて欲しいのに、昔の大衆車の「何でもターボ」みたいな幼稚な数字の競争が延々と続き、これまた辟易。

  

Leica D-LUX 4


                    金星の太陽面通過 (ハイランダーで、手持ちコリメート撮影。2012年6月6日)

 家内は、Panasonic LX-3 を愛用。この時代を代表するコンパクト・デジタル・カメラだった。上記EX-P600/700 の液晶画面は老眼の私には小さ過ぎて、何か、他のものを探さなくてはならない。しかし、当時はLX-3 以外に選択肢は無かったし、家内と同じではつまらないので、随分と割高なLeica D-LUX 4 を購入。中身はLX-3 だが、現像エンジンがちょっと違うのと 、現像ソフトCapture One が使えるのが利点。これも何かと大活躍。このsiteにもいくつか写真が使われている。その後、手持ちのデジタル・カメラは替わったが、こ のカメラは今でも職場で活躍している。

 

Leica X2


                     福島・玉子湯にて (2013年9月)

 音楽家を撮っていると、どうしてもモノクロが多くなってくるが、モノクロ専用カメラが欲しくなり、日頃のスナップ兼用として購入。Panasonic が、ライセンス生産のなんちゃってライカを連発してほとほと呆れたけれど、これは純正Leica。一般に出回っているコンパクト・デジタル・カメラは、素人受けするように派手目に発色するが、これは大人の色。ボディは小型でレンズは35mm単レンズだけれど、画角はいいし、センサーはAPSサイズで大型。センサーが小さいデジタル・カメラのズーム・レンズなら、このカメラで撮ってトリミングすれば同じだ、と、思ったが、そうでもなかった。

 条件が合えば、本当にいい写真が撮れるが、普段のスナップ、記録用となると、途端に気難しさが出てくる。徐々に、このカメラで撮る、というよりは、いい風景をこのカメラで撮らせてあげる、みたいな感じになってきて、立場が逆転。新しく出たCANON のレンズ購入資金となってしまった。

  

SONY RX-100II


2013年12月31日撮影

 これは家内のだけれど、掲載しない訳にはいかない。家内は、LX-3 とモニター販売で当たったGF-1 を使っていたけど、RX-100II が出てから、強制的に買い換えさせた。最初は渋っていたけれど、使い出したら納得。小型で高性能。久々のSONY らしい製品だ。驚いたのは、テカポに行った時の写真。家内が手持ち(膝上)で撮った南天の写真を拡大してみたら、ωがちゃんと球状星団に写っていた! しかも、JPEG 5Mで撮影、無修正、トリミングのみで、これ。恐るべし、RX-100II

 

SONY RX-100III

 次女が大学を卒業し、卒業旅行でウユニへ行く、という。所有デジカメは古いやつなので、お祝いにRX-100III を買ってあげた。これを書いている2015年4月現在で、最強のコンパクト・デジタル・カメラの一つ。何と、タイムラプス撮影までできる。親より先に、 ウユニへ行ってしまった。




 写真、2枚目はタイヤ。5枚目の写真は、イスを置いて撮影した、との事。なかなかやるじゃないの。RX-100III の欠点は、いかにも素人受けするような派手な彩度。もう少し抑えた方がいい。IIII を出す時には、是非見直して欲しい。

   

iPhone 6


2014年11月撮影。 右側の富士山は、2014年12月、飛行機の窓から撮影 (新五合目への道が、はっきり見える!)

 どうせいつもデジカメを持ち歩いているし、画質の悪い携帯のオマケのカメラなんていらない、と思っていたが、徐々に性能が向上し、これはこれでかなり便利に使えるようになった。iPhone6 になり、コンパクト・デジタル・カメラは、相当いいものでないと、存在が危ぶまれるようになってきた。

   

CANON G1 X Mark II

 次女は、望遠の機能を優先し、RX-100II を持って家を出て行く、という(就職先は、ちょっと遠方)。すると、家内のカメラはRX-100III となる。私はX2 を手放してしまったので、EOS-5D IIIiPhone 6 の間を埋める、コンパクト・デジタル・カメラが必要だ。広角24mmは必要なので、そうなると家内と同じRX-100III じゃあ、面白くない。

 レンズ交換式の小型カメラはレンズが暗くて全て却下。EF レンズが使えるEOS M シリーズは、信じられない程フォーカスが遅くて、こんなものはカメラとは言えない(使い物にならない)。また、私は28mmという広角単レンズの画角が嫌いなので、いくらボディが優秀でも、この手は却下。昔、ミノルタの28mm相当のデジカメも試用したけど、撮っていて、イライラした。広角は、まず28mmなんて、誰がこんな事を言い出したんだ! シグマは、せっかくいいものを出しているのに、焦点距離が28mm、45mm、75mm、と全部私の好みを外してきた。どういうこっちゃ。

 以前、ちらっとチェックして、こんな大きくて重い物不用。操作性も悪いし、と見向きもしなかったが、急に思い立って、G1 X Mark II を購入して、これを使い出した。実際に撮ってみたら、驚愕。画質は、EOS-5D III の小型、といってもいい位見事(ただし、操作性は改善すべき所多数)。現時点での最強のコンパクト・デジタル・カメラは、文句無しに、本機とRX-100III だ。秋にちょっとした計画があって、これのタイムラプス撮影を使って撮影しよう、というのも購入の決め手になった。しかし、正面のCANON のロゴ の位置と大きさが良くない。だいたい、ストラップに大きくCANON だのNikon だの書いてあるのは、生理的に受け付けない。という訳で、黒のつや消しビニールテープでマスクしてLeica のシールを貼った。 花形レンズ・フードは逆向に装着できるので、普段の持ち歩きにはOK。

 何で、Leica? 実は、一番優秀なストラップはPanasonic Leica のものなのだ。 軽くて柔らかくて滑らなくて丁度いい幅で、家内のRX-100II にも装着。X2 のもこれだった。という訳で、銘柄を統一したのであった。そして限定1000のグリップを装着してかっこ良くした。これ、首から下げて歩いていれば、デジカメを知る人には、ん? ん〜〜??

 

 G1 X Mark IIのワイド・コンヴァージョン・レンズ

 G1 X Mark II の広角レンズ端は24mm。天体タイムラプスを撮るなら、さらに広角も欲しいところだ。フィルター・アダプターを装着すれば、58mmのワイド・コンヴァージョン・レンズが使えそう。候補に挙がったのは、レイノックス HD-7000Pro (0.7×)Nikon NH-WM75 (0.75×)CANON WD-H58W (0.8×)。センチュリーのはカメラ本体より高価なので、これは却下。これがうまく行けば、20mm位の広角になる。星は点で写るだろうか?

 丁度、有楽町方面に用時があったのでビック・カメラに寄ってみたけれど、話が全くかみ合わない(何も知識が無い)。たまに行くこともあるけれど、いつも店員は何一つ質問には答えられず、今回も同様だった。後日、ヨドバシ・カメラの新宿西口へ行ったら、即、3つ出してきてくれ、実際に見る事ができた。 ずいぶん違うものだ。ところが、3つ全部ケラれて使用不可だった。残念!

  

 と、ここまでG1 X Mark II を使い出したのに、次女は、やっぱりRX-100II ではなく、III がいい、と言ってIII を持って行ってしまった。家内のカメラは結局IIのまま。最初からこうなるなら、私はRX-100III を購入していたかもしれなかったが、G1 X Mark II が優秀なので、結果的にこれに出会えたから良かった、という顛末に。
 で、もう既にこのsiteには、これで撮った写真が掲載されている。
Hα-Lavendura 20mm のテストの写真。被写界深度がいい感じだ。今までは、この手の写真は5D III を使っていたけど、これからは本機も活躍しそうだ。
 

 CANONのコンパクト・デジタル・カメラの問題点 (2015年7月16日 記)

  G1 X Mark II を実際に使ってみると、やはり使い勝手に問題も多く、また、室内での撮影では、オート・カラーバランスは外れが多くて、rawで現像しないと使い物にならない。しかも、現時点ではDigital Photo Professional 4 で現像が出来ないのである。5D III のサブカメラ的な位置づけかと思ったが、これではダメだ。先日、EOS M3 を店頭で見たけれど、何と、撮影後の液晶表示は、シャッター半押ししても消えない。つまり表示2秒に設定したら、2秒間は撮影できないのだ! どの安物のカメラだってできる基本中の基本、当たり前の事もできないので唖然。元来、フォーカスもシャッター・レスポンスも遅すぎて使いものにならない代物だったが、やっぱり未だ使い物にならない。

 結局、同じCANON といっても、コンパクト・カメラ部門の開発陣が全く違う事、EOS 5D シリーズと技術の共有がなされていない事、こんなものを商品としてgoサインを出してしまう管理部門の人達が、全くカメラ、写真を知らない事、商品をテストをする人達のレヴェルが低すぎる事等々で、これじゃあCANON から離れる。

  *操作性、設計思想がストレスで、結局2015年秋に手放した。現在は、操作性でピカイチ(ただし、玄人向け)のカメラを持ち歩き、過ごしている。

  

愛機による手持ちコンポジット撮影 (2016年4月)

 いつも肌身離さず持ち歩いている愛器(革新的とも言える程、操作性に秀逸。もう旅はこれ1台でいい、と思う位凄くいいカメラに出会ってしまった)には、デジスコーピング・モードが付いている。しかも、 操作ダイヤルを押すと画面が拡大し、マニュアル・フォーカス(望遠鏡でピント調節するので、極めてやりやすい。オマケにフォーカス・エイド付)がバッチリ。 操作性の素晴らしさは随所にちりばめられていて、私は、このカメラを設計した人に会って、直接お礼を言いたい位だ。
 最近、APM-Binoで、少し撮ってみたのを紹介。

 まずは、曇り空の550m先の鉄塔。写真上真ん中少し右側の鉄塔を見たところ。


 

 左の鉄塔は、NAV-HW 12.5mm+Eic(10mm相当) 78倍、右の鉄塔は、Ethos SX 3.7mm 211倍のもの。いずれも手持ちコンポジット撮影、トリミング。今までの苦労は何だったのだろう、と呆れる位 、簡単にきれいに撮れる。

 Ethos SX 3.7mm 211倍のもの。いずれも手持ちコンポジット撮影。さすがに木星は実際に見た程には写らない。太陽は、Lunt 10cm ダブル・スタック+双眼装置+Pentax XW 20mm。太陽も見ている程には写らず、ちょっと残念だ。しかし、手持ちでこれだけ写るのは、やぱり驚異的。専用接続アダプターを作ろうか、と思う位だ。
 

  続く...

  

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