●『新ゲッターロボ』Vol.2

DVD Vol.2

『真<チェンジ>ゲッターロボ 世界最後の日』で名前を知って以降、何かと……というか、それ以降のダイナミック系OVAの監督で名前を見掛ける川越淳監督ですが、この人、良い作品と悪い作品の当たり外れが(もう少し言うと良い作品の中でも回によって当たり外れが)かなり激しかったりするんですよ。
良い例が同監督の監督作品の平成のテレビアニメシリーズの『サイボーグ009』。(ダイナミック原作ではありませんが)
コレ、本当に出来の浮き沈みがあまりにも激し過ぎる作品でした。
そんなコトもあり、申し訳ないが川越監督は正直オレの中で「あまり信頼のおけない監督」扱いになってます。

そんなこんなで『新ゲッターロボ』がまたも川越監督で製作されると聞いた時、あまり期待出来なかったんですが、現在4話まで観て言えるコトは嬉しいコトに良い時の川越監督です。
心の底から言わせてもらいます。
「ありがとう。」と。
ただ、まだまだ予断は許せませんが。
何だか今後、舞台が平安時代に飛ぶとか飛ばないとか。
おいおい『手天童子』かよ。

昨今のロボットアニメでどうにも許せないのはオマージュとかリスペクトとかいう言葉でカモフラージュしてロボットアニメのストーリー(世界観?)というモノをバカにしている作品が多いコト。
古くは『超時空要塞マクロス』に始まり、最近では『超重神グラヴィオン』とか『神魂合体ゴーダンナー』とか。
当然それぞれに人気作品であり、オレも全てを否定するわけではないが(バルキリーのデザインとか好きだし)その作品の成り立ちに「パロディ」が存在しているトコがどうにも好きになれないんですよ。
もっとその作品単体で成り立つ「本気」の作品を作れよ、と思ってしまう。

で、ゲッターに話を戻すと、パロディまでとは行かないが『真<チェンジ>』も『真ゲッター対ネオゲッター』も、どうも原作に振りまわされ過ぎで中途半端なトコが気に食わなかった。
原作から離れた違うコトをするならする。
でも違うコトを敢えてやるからには原作以上の面白いコトしてくれないと意味がないのだよ。
出来ないなら何で原作まんまをやらんのだ。
そういう不満。
竜馬の狂気は記号化されたモノなんかじゃなく、ちゃんとその作品の中で狂気を孕んで生きている存在でなきゃダメなのだ。
「うるせーじじい!!」と叫べばいいってもんじゃないだろ。
そういうコト。
そこで『新ゲッター』。
『新ゲッター』にはソレがある。
いろんなコトを割り切って、作る姿勢に「本気」が見える。
さすが良い時の川越監督だ。
願わくば、最後までこうあって欲しいな〜。
てか、絶対最後までこの調子で行ってください。

●第3話『武蔵坊弁慶』

新キャラの3号機パイロット、武蔵坊弁慶登場。
オリジナルキャラになんかして、大丈夫なのかよ。と不安と不満の入り混じった目でファンには見られたであろうこのキャラ。
はたしてどうだったかと言うと、いや、良かったです。
ちゃんとオリジナルなキャラとしても立ってたし、それでいて『新ゲッター』の世界感にも合ってたし、何と言っても『ゲッター』のキャラらしかった。
あれ? 竜馬と一緒にイーグル号には乗らないの? と、思っていたらちゃんと尻のアップは見せてくれるし(笑)。
世界唯一ではないだろうか、あんなにきたない尻のアップが描かれたアニメは(笑)。
敵である鬼の定義が未だ不明ではあるが、この武蔵坊、鬼の血が流れているんじゃないだろうか?(鬼の因子を持っているとか)
そうした方がオリジナルキャラにした意味もあるような気がするし。
はたして?
といったようにオリジナルな展開を用意するコトで原作ファンにも先が読めない楽しさがあるのが嬉しい。
納得のいく出来に仕上がっているからこそ、こう褒めるコトが出来ます(笑)。
基本的に、ちゃんと面白い作品になっててさえくれれば何でもイイのよ。

「あの光る目を狙え!」の隼人のセリフも普通なら単なるご都合主義的弱点の発見になるところが、前後にその説明をまったく入れないコトで隼人の天才的洞察力の鋭さを表現する演出に取って変わってしまってるトコがさすがです。

●第4話『三匹が行く』

切ると爆発する触手を持つ樹木型の鬼を、爆発に巻き込まれながらもなおもトマホークで切りまくる竜馬に、「ちっとは考えろ! 離れて戦うんだよ!!」と怒る隼人。
その時の竜馬の受け答えが一瞬、「うるせー! ビームは嫌いなんだよ!!」と聞こえて、さすが竜馬言うコトがかっこいー! と思ったんですが、聞きなおしたら「逃げんのは嫌いなんだよ!!」でした。
ちぇ。普通じゃん。

3話で正式にゲッターチームに入るコトを決めた隼人が未だ研究所内の端末からハッキングをしかけてゲッターを調べてるその執拗さがステキ。
こういうシーンがあるからこそ、『新ゲッター』という作品が信じられるのです。
はたして裏切られる日が来てしまうのだろうか?
未だに疑心暗鬼(笑)。

それにしてもこんなに人死にを出す研究所に、頼まれても勤めるのはイヤですね(笑)。

以上2004年9月21日

3-6-2.新ゲッターロボ(PPV)