●『新ゲッターロボ』Vol.1

DVD Vol.1
●原作のシナリオをベースにロボも新デザイン、敵も百鬼ではない単なる鬼にシフトさせ、3号機パイロットをムサシでもベンケイでもなく新たに武蔵坊弁慶というキャラを登場させるという、一見「絶対失敗しそう」な感溢れる匂いを振り撒いていたにも関わらず、ここまでちゃんと作ってくれたとは。
その製作姿勢にかなり好感が持てます。
「鬼」というテーマからか、各話タイトルに筆文字を使ったり、音楽にも和太鼓風な音をアレンジしてみたりと、在る意味今では使い古された感のある演出もギリギリ踏み止まってくれいるのでかなり許せる。
ゲッター(原作版『ロボ』〜『號』まで)に和風音楽は似合わない気がするが、石川賢的なモノ(『虚無戦記』とか)と解釈した場合ソレもまたアリかと思えるし。
逆にどうせヤルなら西洋音楽との融合な方向の現状よりももっと特化させてもよかったかも。中途半端さが多少気になります。
とにかく、ロボット物として確立されてしまったフォーマットに乗っかった、「オマージュ」で作られてしまう作品が多い昨今(リアルな話をやろうとすると『ガンダム』っぽい感じ。とか、子供向けにしようとすれば『勇者シリーズ』みたいにするとか。やたら女キャラ出しまくって売れ線狙う、とか。)そうでは無く、ヘビーにハードに『ゲッター』でしか描けないワンアンドオンリーなモノを真摯に描こうとしている所にとても好感が持てます。

●第1話『竜馬が行く』

竜馬の年齢設定が(原作に対して)20歳に上がったコトで、これはもう女子供は観るな! と言わんばかりの匂いがステキ。
「ゲタ」に符合させたお遊びも、わかっちゃいるがやっぱり好きです。
ウチでも「ゲタ板」って言ってるワケだしね。
そうだ、実は「ゲッターの真理の先にはゲタがある」ってのはどーよ?(笑)
原作のエピソードをイイトコ取りして尚且つ早乙女達人(たつひと)の見せ場をステキに膨らませているトコがイイ。
ある意味今回の主役は達人。
それにしても新宿を舞台に殺陣(たて)を描くと、何でみんな舞台に花園神社を選ぶんでしょうか?
『仮面ライダーSPRITS』でも舞台になってしなー。
巨大怪獣はみんな東京タワーを壊しますが、人間サイズだと花園神社を壊します。
そう。花園神社は怪人のメッカ(笑)。
竜馬の相手は人間ですケドね。
原作での竜馬の「どうしてパンツなんかとったんだよ。ワナワナ」のシーンが無かったのが残念でなりません。まぁストーリー的に入れるの無理ですが。

●第2話『隼人が来る』

竜馬の年齢設定が上がったコトにより隼人も当然学生では無くなりました。
武装派テロリストのリーダー。
とにかくこの隼人、狂人です。
すげぇ。単なるキチガイ。
原作で慣れ親しんだあのハヤトの上を行ってます。
オレですら観ててちょっと引いた(笑)。
はっきし言って、竜馬が常識人に見える。
竜馬がツッコミかよ。
ゲッターでの戦闘後のハヤトのイカレっぷりが最高で、こういう風に原作に対してちゃんと良い意味でオーバードライブをかけてくれるトコがこの作品の評価に値いする所。
今後も失敗しないでくれるといいなー。
そーゆー追加エピソードって外すコト多いんで。
隼人がゲロ吐かなかったトコはちと残念。
クールな性格に変更されたミチルさんの吐き捨てる言葉に対し、「あの人((達人)の死にケチ付けるんじゃねぇ」と言い放つ竜馬が最高でした。

●Vol.1総括

2話分観たトコで総論ですが、
原作まんま……では無いですが、かなりそれに近い感じで、尚且つ良く出来た作品となっててとても嬉しいです。
嬉しいんですが、コレ、無条件に人に薦めるコトを考えてしまいますね。
だってあまりにもヤバイんですもん。隼人ったら。

以上2004年7月26日

3-6-1.新ゲッターロボ(PPV)