秘境の旅 写真館
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旅ノート 青蔵鉄道とチベットの旅(2006年7月13日〜7月25日)

◎旅の日程◎
1.成田 〜 上海 〜 西寧
2.西寧滞在(ダライラマ生家 〜 タール寺 〜 シャチュン・ゴンパ)
3.西寧 〜 日月峠 〜 青海湖 〜 チャカ
4.チャカ 〜 ゴルムド
5.ゴルムド 〜 (青蔵鉄道) 〜 ラサ
6.ラサ (セラ寺 〜 ノルブリンカ 〜 ジョカン寺 〜 バルコル)
7.ラサ (ポタラ宮 〜 デプン寺 〜 西蔵博物館)
8.ラサ 〜 シガツェ(タシルンポ寺 〜 バザール)
9.シガツェ 〜 ギャンツェ(白居寺) 〜 シャル寺 〜 シガツェ
10.シガツェ 〜 ヤムドゥク湖 〜 ツェタン
11.ツェタン (ユムブ・ラガン 〜 タントク寺 〜 蔵王墓)
12.ツェタン 〜 ラサ 〜 成都 〜 北京
13.北京 〜 上海 〜 成田


1日目 (成田 〜 上海 〜 西寧)

16年ぶりの上海
成田から青海省の西寧へは、現在直行便はないので上海経由で向かいました。上海では乗り継ぎ時間が5時間以上もあったので、外灘まで行くことができましたが16年前に来た時とはすっかり様子が変わっていてびっくり。でも上海は梅雨明けしたばかりでうだるような暑さだったので観光する気にもなれず、冷房の効いたOLD JAZZ BARでお茶をして暑さをしのぎました。

2日目 (西寧滞在 ダライ・ラマ14世の生家  〜 タール寺 〜 シャチュン・ゴンパ)

ダライ・ラマ14世の生家
現在はインドに亡命しているダライ・ラマ14世の生家を訪れました。ダライ・ラマ14世は1935年にこの家で生まれましたが、文化大革命のときには壊されてしまったそうです。1986年からは学校として使われていましたが、現在は甥にあたる方が管理されていて観光地として公開されています。

タール寺
チベット仏教ゲルク派の6大寺院のひとつで、14世紀に8つの仏塔を建てたのが始まりと言われています。ゲルク派の始祖、ツォンカパ大師の母が彼を産んだ後に胎盤を埋めた所から白檀の木が生えて、その木の葉には10万の仏が浮き出たという伝説の十万仏樹などを見学。寺院には多くの観光客が訪れていましたが、五体投地をしながら道を進む熱心な信者の姿も見られました。

タール寺のストゥーパ 五体投地をする巡礼者(写真館C)


シャチュン・ゴンパ
午後からはガタガタ道をひた走りシャチュン・ゴンパに向かいました。ここもゲルク派のお寺で、14世紀にツォンカパ大師の師であるラマ・トンドゥブ・リンチェンによって創建されました。お寺は丘の上の崖に張りつくように造られていて、バスを降りてからしばらく上り坂を歩きます。この時季、青海省はどこに行っても綺麗な菜の花畑が見られます。本堂に到着後は、さらに急な階段を登って涅槃堂などを見学。踏み外したら涅槃行きとなるところでした。

シャチュン・ゴンパへ登る道で 崖に張りつくように建てられた寺院


3日目 (西寧 〜 日月峠 〜 青海湖 〜 チャカ)

日月峠
本日は朝、青海省博物館を見学してからチャカへ向かう予定でしたが、博物館に政府の要人が来ているという事で入場できたのは10時。予定より約1時間遅れで西寧の町を後にしました。標高3,520mの日月峠は丘の上に日亭、月亭という2つの祠が建っています。ここは唐の時代にチベットに嫁いだ文成公主が、唐への思いを忘れようと嫁入り道具にあった太陽と月の飾りにちなんで日亭、月亭を建てたといわれています。

日亭のタルチョ 月亭と観光用のヤク



小北湖と青海湖
午後3時、青海湖にしては小さな湖だと思ったら小北湖という淡水の湖で、高山植物がお花畑のように咲いていました。その後、一面の菜の花畑とともに青海湖が見えてきました。青海湖は海抜3,199m、面積は琵琶湖の6倍、中国最大の塩湖です。この日は国際自転車レースが開催されており、交通規制がしかれバスで湖に近づけなかったので、炎天下を船着場まで延々と歩きました。そんなに苦労して乗ったのに、遊覧船からは水爆実験場ぐらいしか見られませんでした。青海湖は菜の花畑ごしに見るのが一番です。


小北湖の高山植物 青海湖(写真館@)



チャカで高度障害
チャカのホテルは思ったほど悪くはなかったので、いつもどおりシャワーを浴び洗濯してから就寝しました。すると間もなく地震?と思うような身体の揺れ。地震ではなく心臓がバクバクしていたためでした。つづいて全身の痺れに襲われ、急いで大量の水を飲み、高山病の薬ダイアモックスを服用しました。昼間の暑さで疲れていたせいか予想よりも低い所での高度障害に不安は倍増。チベットの地を踏むことが出来るのだろうか...
飲料水はすぐ底をついたので、薬が効いてきた明け方まで水道の水を沸かして飲みながら、断続的に来る痺れの発作をしのぎました。

4日目 (チャカ 〜 ゴルムド)

チャカ塩湖
塩湖に着くと採掘工場の巨大なプラントや山と積まれた塩が目に入ります。観光客も塩の採掘用のトロッコに乗って塩湖の中ほどまで行くことが出来ました。トロッコが走り出して間もなく、後ろの2両の連結が外れ置き去りにされるかと思いましたが、後2両を手で押してくっ付けました。行きは塩湖の景色ばかり見ていましたが、帰りにふと線路を見るとガタガタ波打ったりしていたので、脱線転覆しなくてほんとうによかったと思いました。


塩を運ぶトロッコ トロッコに乗り塩湖を進む



5日目 (ゴルムド 〜 青蔵鉄道 〜 ラサ)

開業したばかりの青蔵鉄道
2006年7月1日より青蔵鉄道のゴルムド〜ラサ間で客車の運行が開始されました。全長1,142kmのうち、標高4,000m以上の区間が960km、最高地点は唐古拉山口の5,072m、世界で最も高い所を走るまさに天空の列車です。車内の気圧は航空機メーカーの技術を導入して調整されていて、その他に座席毎に酸素が吸えるようチューブが配られます。
開業したばかりの青蔵鉄道は大人気!だけどそのためチケットを取るのが大変困難になっているようで、手数料が10倍に跳ね上がっているという話を聞きました。

ゴルムド〜崑崙山脈
ゴルムドでは列車がホームに停車してから乗客をホームに入れるので、7号車から先頭車両まで走っていく時間もなく、列車の顔である機関車の写真は撮れませんでした。約40分遅れでゴルムド駅を出発。荒涼とした岩山の景色の後、その先に崑崙山脈の白い峰々が姿を現します。6,178mの玉珠峰は列車の左手に間近に見ることが出来ます。

ゴルムド駅にて 崑崙山脈(写真館A)


ココシリ自然保護区
ココシリ山脈の雪山を遠方に見ながら、ココシリ自然保護区へ。緑の草原の中、シカやヤク、野鳥の姿を見ることができました。しかし列車は時速100キロ前後のスピードで走っているので、注意深く見ていないと見逃してしまいます。

涸れ川沿いに進む ココシリ自然保護区


トト河沿
食堂車で売っているお弁当の昼食を食べた後、12時43分トト河駅に停車。トト河は中国一の大河、長江の源流でタングラ山脈の氷河を源としています。青蔵鉄道は乗降する乗客がいる車両のみドアが開くようで、この駅ではホームに下りることができませんでした。

トト河駅(4,533m) 長江源流のトト河


タングラ山脈〜アムド
タングラ山脈が近づき再び雪山が姿を現しました。ヤクの放牧や水面に映る青い空と白い雲、可憐な高山植物など高地ならではの風景もこの辺りでは見られました。14時46分、5,072mの世界で最も高い駅、唐古拉山口を通過しました。車内の電光掲示板の海抜高度は、5,075mでした。現地で買った雑誌には、5,068mと書いてあります。ま、とにかく世界一ということで...
16時50分、予定より20分近く早くアムド(4,708m)に到着しました。ここから先はもうチベット自治区です。

タングラ山脈(写真館B) アムド駅(4,708m)


アムド〜ラサ
18時36分、ナクチュ(4,513m)に停車。はじめてホームに下りることができましたが、写真を撮る暇もなくすぐに車内に戻されてしまいました。発車後まもなく黒い雲がたちこめ雨が降り出した様子。でもこれが幸いし綺麗な虹を見ることが出来ました。20時33分、ダムションを過ぎるとニンチェンタングラ山脈の山々に夕陽が当たって赤く染まっていました。
22時30分、列車は定刻通りラサに到着し約14時間半にわたる青蔵鉄道の旅が終了しました。

雨上がりの虹 ニンチェンタングラ山脈



6日目 (ラサ滞在 セラ寺 〜 ノルブリンカ 〜 ジョカン寺 〜 バルコル)

セラ寺
ラサの北にあるゲルク派の僧院で、1419年にツォンカパ大師の弟子ジャムチェン・チュジェ・サキャ・イェシェにより創建されました。ここは日本人の僧侶、河口慧海や多田等観がチベット仏教を学んでいた寺院としても知られています。裏山には鳥葬台があって、その上空に不気味に旋回する鳥の群れを見ました。

セラ寺 マニ車を回す人々



ノルブリンカ
1755年、ダライ・ラマ7世のときに夏の宮殿として建てられ、1959年、ダライ・ラマ14世がインドに亡命するまでダライ・ラマの夏の離宮として使われていたところで、世界遺産にも登録されています。ダライ・ラマ14世が住んでいた宮殿、タクテン・ポタンにはラジオやレコードプレーヤーなどがありモダンな生活ぶりがうかがえました。

ノルブリンカ タクテン・ポタン


ジョカン寺とバルコル

ジョカン寺は7世紀中頃に建てられた聖地ラサの中でも最も聖なる寺院で、寺の前では大勢の巡礼者が五体投地をする姿が見られました。ご本尊は文成公主が長安から持ってきた釈迦牟尼仏像で、この他にも唐代の珍しいお宝が沢山あります。屋上からのポタラ宮の眺めもなかなかのものでした。
ジョカン寺を囲んでバルコル(八角街バザール)があり、土産物屋が軒を連ねています。マニ車や仏像、トルコ石やヤクの骨で作ったアクセサリーなどが売られていました。チベット仏教のしきたりに従い、時計まわりに周り買い物をしました。

ジョカン寺から見たポタラ宮(写真館D) ジョカン寺の上から(写真館E)


7日目 (ラサ滞在 ポタラ宮 〜 デプン寺 〜 西蔵博物館)

ポタラ宮
いよいよラサの象徴であるポタラ宮へ。高さ117m、東西360mの大宮殿は、ラサの青空に聳え立ち威容を誇っています。宮殿は7世紀にソンツァン・ガンポが唐より文成公守を迎えたときに彼女のために築き始めたといわれています。その後歴代のダライラマにより増築が行なわれ、50年以上かけて17世紀に壮大な宮殿が形成されました。
現在、ポタラ宮内部の観光は入場制限が行なわれています。荷物のX線検査もあり酸素缶は没収されてしまいます。炎天下、息を切らしながらポタラ宮の階段を登り中庭へ。ここから宮殿内部に入り夥しい数の仏像やストゥーパを見学しました。それでも一般公開されている部屋は全体の30分の1なのだそうです。

ポタラ宮を登る ポタラ宮前の広場から


デプン寺
ラサの北西部の山の中腹にあるデプン寺へ。ここもゲルク派の6大寺院の一つで、1416年にツォンカパの高弟ジャムヤン・チェジェにより創建されました。寺院内には白壁の建物と細い路地などがあり、南欧的な雰囲気の所もあります。8月のショトン祭ではタンカの開帳が行なわれ、大勢の人で賑わうそうです。

デプン寺 デプン寺のお坊さん



8日目 (ラサ 〜 シガツェ タシルンポ寺 バザール)

ラサからシガツェへ
当初はカンパラ峠、カロラ峠を通りシガツェに向かう日程でしたが、道路工事が行なわれている為、ヤルツァンポ川沿いの道でシガツェに向かいました。ヤルツァンポ川は川幅が広くなったり急流になったり様々な表情があり、川以外のごつごつした岩山や一面の菜の花畑の景色も見ていて飽きませんでした。シガツェはチベット第2の都市で、ダライラマと並び生き仏、阿弥陀如来の転生とされているパンチェンラマの本拠地として栄えた都市です。

ヤルツァンポ川沿いにシガツェへ ヤルツァンポ川沿いにシガツェへ


タシルンポ寺
ゲルク派6大僧院の一つで1447年に創建され、歴代のパンチェンラマによる政治と宗教の中心となった寺院です。ここには世界最大の弥勒菩薩があり、その高さは26m、300kgの黄金と150トンの銅のほかダイヤモンド、真珠などの宝石もちりばめられています。

タシルンポ寺 タシルンポ寺の裏山のマニ車



9日目 (シガツェ 〜 ギャンツェ・白居寺 〜 シャル寺 〜 シガツェ)

白居寺(パンコル・チョーデ)
シガツェから約91キロ南東にあるチベット第3の都市ギャンツェへ向かい、町の中心となる寺院、白居寺へ。1418年にラプテン・クンサン・パクバによって創建された寺院で、サキャ派とゲルク派で共同管理されています。高さ37mの仏塔、パンコル・チョルテンの上部にはネパールの仏塔のように目が描かれています。ギャンツェの標高は3,950m、息を切らして上まで登ると素晴らしいパノラマが待っていました。


白居寺にて(写真館F) パンコル・チョルテン



シャル寺
ギャンツェからシガツェに向かう幹線道路を離れ未舗装の道を4kmほど入ったところにある静かな佇まいの寺院です。11世紀に建立されたサキャ派の寺院で、建物はチベット風ですが屋根だけは中国式です。700年の歴史を誇る、精巧で美しい壁画の数々を見学しました。

シャル寺への分岐点にて シャル寺 チベット犬がお昼寝


10日目 (シガツェ 〜 ヤムドゥク湖 〜 ツェタン)

ヤムドゥク湖
ヤムドゥク湖は標高4,440m、「トルコ石の湖」という意味で、チベットの魂が宿っているといわれるチベット4大聖湖の1つです。標高4,770mのカンパ・ラ峠からはヤムドゥク湖の雄大で神秘的な景色を見ることが出来ます。湖畔には菜の花畑があり黄色い絨毯のように見えます。

ヤムドゥク湖(写真館G)


カンパ・ラ峠の高山植物
一見緑の草原のようなカンパ・ラ峠ですが注意深く下を見て歩いていると、いろいろな色の可憐な高山植物が咲いていました。植物には詳しくないので花の名前はさっぱりわかりませんが、地面に張り付いたように健気に咲いている姿をいとおしく感じました。

カンパ・ラ峠(4,770m)周辺の高山植物



11日目 (ツェタン滞在 ユムブ・ラガン 〜 タントク寺 〜 蔵王墓)

ユムブ・ラガン
伝説によれば紀元前127年初代吐蕃国王ニェティ・ツァンボが原型を築いたとされるチベット最古の宮殿の跡で、現在は寺院となっていて多くの参拝者が訪れていました。チベットに来てからずっと強烈な陽射しの毎日でしたが、今日は雨が降っていたので涼しく丘の上に登るのが楽でした。

ユムブ・ラガン タントク寺の屋根の上を歩き回る犬


タントク寺
7世紀にソンツァンガンポがラサのジョカン寺の縮小版として建立したといわれるチベットで最も古い寺の一つです。このお寺の見ものは7世紀の刺繍のタンカと細かい真珠で作られたタンカです。チベットのお寺の境内ではよく犬を見かけましたが、ここでは屋根の上を歩いていたのでびっくりしました。

12日目 (ツェタン 〜 ラサ空港 〜 成都 〜 北京)

チベット民家
チベットを旅行して町並みを見てきたのですが、ラサもシガツェもツェタンも市街地は漢民族の店ばかりで、道行く人も現代的な服装でチベットらしさを感じませんでした。ツェタンでは出発までに時間があったので、町外れの民家が建ち並ぶ路地に入ったところ、どのお宅の玄関もそれぞれ凝った装飾が施されていることに気づきました。最後にお寺以外でチベットらしさを発見してちょっと嬉しくなりました。

チベットの民家 チベットの民家(写真館H)


国内線で北京へ
いよいよチベットともお別れです。ラサ空港より成都経由で北京に行く予定でしたが、北京が天候不良ということで飛行機が飛ばず、5時間近く成都で待たされましたが、後は帰るだけなので気になりませんでした。チベットでは皆お酒を我慢していましたが標高700mの成都では解禁となって、宴会をして楽しんでました。

13日目 (北京 〜 上海 〜 成田)

帰国
ここ数年体調があまりよくなかったので、出発前は高山病のことが気がかりで、ネットで情報を集めているうち酷い症状を見てますます恐怖に陥りました。実際、チャカで高度傷害になったときはラサで強制送還されるかも...と考えたりしましたが、青蔵鉄道でチベット高原の雄大な景色を見ていると気分が良くなってきて、高山病のことは考えないようにしました。結果的には全ての観光をこなせてチベットの文化、自然を堪能することができ、添乗員さん、ガイドさん、同行の方々に感謝しております。


●参考にさせていただいたもの●
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
旅の日記(ユーラシア旅行社 添乗員さん)


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