1998年5月14日
インド首相
アタル・ビハリ・バジパイ殿
日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
代表委員 伊藤 サカエ
代表委員 山口 仙二
事務局長 藤平 典
度重なる核兵器実験に抗議する
貴国が5月11日につづき13日にも、爆発をともなう核兵器実験を強行したことに、われわれ原爆被害者は、満身の怒りを込めて抗議する。
貴国はかねがね、「核兵器は実験はしたが、保有はしない」といっていた。しかしこの2日間で5回も、性格の違う地下核爆発実験を行なった。それは貴国が、 核兵器をかねてから保有していたからにほかならない。核兵器廃絶を推進する非同盟諸国の一員として、貴国が尽力していたかのように見えたのは何だったのか。 われわれと世界をだましていたのか。
5回の実験を通じて、貴国は臨界前核実験の技術をえたとも声明した。これは、貫国が非難してきたアメリカ、ロシアと同じ臨界前核実験を、貴国も今後重ねる ということなのだろうか。
CTBT(包括的核実験禁止条約)の抜け道を、貴国もくぐろうというのであろうか。 核兵器は、人類と共存できない絶対悪の兵器であること、人類の未来に何の希望も生み出さない非人道きわまる兵器であることは、われわれがかねてから指摘してきたとおりである。核兵器によっては、自国民の平和と安全も守れないことを、貴国も知るべきである。
われわれ原爆被害者は要求する。
核兵器による被害がどんなに残酷なものであるかを直視すべきである。
核兵器軍拡競争につながる、どのような核兵器実験にも反対する。
インド政府は、いかなる種類の核兵器も保有するな。
インド政府は、核抑止力政策をすみやかに変更せよ。
核保有国は、ただちに、すべての核兵器の廃絶条約を締結せよ。