5月19日、被団協はインド大使館、パキスタン大使館を訪れ、次のように要請しました。
インド大使館は参事官、パキスタン大使館は書記官が対応しました。
1998年5月18日
パキスタン国
首相 ミアン・ナワズ・シャリフ閣下
日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
伊藤 サカエ
山口 仙二
事務局長 藤平 典
要 請
私たち日本の原爆被害者は、インドのこの度の核実験は、核軍縮から核廃絶へと転換を始めた世界の世論に逆行する暴挙であり、満身の怒りをもって抗議するニころです。
53年前広島と長崎に投下された米軍の原子爆弾によって、40数万人の同胞の命 を奪われ、自らも放射線の後遺症に苦しめられてきた私たちは、苦しい体験にもとづき、核兵器は絶滅だけを目的とした、人類と共存できない悪魔の兵器である として、地球上からの廃絶のため運動を続けてきました。
インドの核実験に対して、隣国である貴国が同様の核実験をもって対抗すると の意志を表明したとの報道に接し、憂慮に堪えません。核兵器で平和が維持でき るという幻想に屈することなく、米ロをはじめとする核大国のNPT、CTBTの押し付けの理不尽に抗議するとともに、平和を求める諸国民の顧いに依拠して、貴国が 核兵器廃絶の国際政治の先頭に立たれること要請します。
1998年5月19日
インド首相
アタル・ビハリ・バジパイ殿
日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 伊東 壮
代表委員 伊藤 サカエ
代表委貫 山口 仙二
事務局長 藤平 典
核兵器実験にたいして抗議し核兵器廃絶を求める要請
貴国が5月11日と13日の2回、爆発をともなう核兵器実験を強行したことに、われわれ原爆被害者は、満身の怒りを込めて抗議します。
われわれ被爆者は、53年前に広島、長崎に投下された原爆で家族、親類、友人、知人を奪われただけでなく、大量の放射線を浴びたことでいまだに放射線の後障害に苦しめられています。
核兵器は、無差別大量虐殺の兵器であり、半世紀以上も人間に苦痛を与える非人道、国際法違反の兵器です。この事実については、貴国もこれまで理解を示していたことであり、これをもとに核兵器の全廃を主張してさえおられたところです。 にもかかわらず、今回、核実験を強行され、さらに核兵器の保有さえ宣言なされました。
われわれは、これまで貴国を信じていただけに、裏切られた悲しみと怒りでいっぱいです。
このときにあたり、われわれは、貴国の核実験に抗議するとともに、次のことを強く要請します。