「被団協」新聞−1999.7月


1面 日本被団協が第44回定期総会
2面  被爆者中央相談所が第22回総会   中央行動で訴え
3面  ハーグ会議後、交流の旅  保育園児にも被爆体験語る(鳥取) 遺影胸に平和行進(静岡) 
4面  相談の窓


 核兵器なくす展望今世紀中に−日本被団協第44回定期総会

 日本被団協第44回定期総会が、6月9、10の両日、東京・水道橋の東京グリーンホテルで行なわれました。

 会議には42都道府県から110人が参加。県役員の交代で新しい人の参加が目立ちました。

 代表委員あいさつで、伊東壯代表委員は「国民と手をつないで核兵器廃絶と健康を守る運動をすすめよう」とのべ、山口仙二代表委員は「健康が少し良くなって5年ぶりに総会に出席できてうれしい」と、明るくあいさつしました。

 日本生協連など14団体、民主、公明、共産の3政党、田村憲久衆院議員など6国会議員からの祝電・メッセージが紹介され、中央相談所総会の報告が肥田舜太郎理事長からなされて議事にはいりました。

 第一日は、活動報告と決算報告と監査報告で、討論の末いずれも承認されました。

 第二日冒頭に、原爆松谷裁判での弁護団側反論書を学習して、つづいて運動方針と国民運動要綱、予算の提案。午後2時40分まで熱心な討論がつづいて採択されました。

 新役員を選出して、決議文と特別アピールを採択し、「原爆許すまじ」の合唱で閉会しました。

実相普及さらに力込め−99年度運動方針

 藤平典事務局長が提案し、採択された活動方針の要点は次のとおり。

 核兵器廃絶を求める声が大きく広がっている状況でも、核保有国は核抑止論を捨てず、平和憲法は形骸化されようとしている。それは、(1)20世紀最大の犯罪である原爆投下が裁かれていないこと、(2)この犯罪を招いた日本の戦争責任があいまいにされていることによる。21世紀への展望を開くために、原爆投下の犯罪性を告発し、謝罪を求め、アメリカと日本政府の責任を問い直す。

 このため、広範な草の根からの運動と連帯、共同し、新たな運動にとりくむ。被爆の実相普及、原爆被害への国家補償要求を強め、原爆松谷裁判勝利と現行制度の改善をめざし、被爆者の不安に応える相談活動を強化する、「基本要求」の改定の検討をはじめる、新聞「被団協」の10パーセント増紙を図る―などです。

「松谷」勝利へネットワーク−98年度活動報告

 山本英典事務局次長が提案し、承認された活動報告の要旨は次の通り。

 被爆の実相普及は「原爆と人間展」パネルの活用を軸に国内外で前進した。国内開催は600カ所で80万人が観賞。外国には22カ国に贈られた。アメリカ、ハーグへの被爆者代表派遣は大きな成果を収めた。

 原爆被害への国家補償を求める運動は、国の冷たい被爆者行政とのたたかいとしてすすんだ。原爆症認定を拒む厚生省にたいして原爆松谷裁判ではネットワークを98年5月に結成し、1年間で39万の要請書を最高裁に提出した。京都原爆裁判でも勝利した。在外被爆者問題では韓国、アメリカ、ブラジル、日本の四カ国共同行動とシンポジウムが行なわれた。

 網の目世話活動は、健康管理手当の簡素化をめぐって活発に行なわれ、被爆者でない相談員の協力がふえた―などです。


被爆者中央相談所が第22回総会

 6月9日、中央相談所の第22回定期総会が開かれました。

 総会は、木戸大理事の平成10年度事業報告、田中煕巳理事の決算報告、楠本熊一、杉山秀夫両監査の監査報告を全員一致で採択。ついで、肥田舜太郎理事長が平成11年度事業計画、田中理事が予算案を提案し、質疑・討論ののち全員一致で採択されました。

 理事・監事は全員留任となりました。

 被爆者の高齢化がすすむなか、相談活動のすすめと介護保険法への不安の大きいことが明らかになった総会でした。

 全国で定着している相談事業講習会は、日本自転車振興会の補助事業から今年度は2地区が削減されましたが、従来通り次の8地区で開催することになりました。 ▼北海道、宮城県、山梨県、石川県、京都府、島根県、香川県、大分県


「冷たい被爆者行政改めよ」−日本被団協中央行動

 日本被団協総会後の6月11日、中央行動が、25都道府県の被爆者代表110人が参加して行なわれました。

 要請項目は、核兵器廃絶、原爆被害への国家補償、現行制度の改善、原爆松谷裁判の上告取り下げ、介護保険制度での保険料減免制度制定と国庫負担の増額の五項目。

 厚生省、民主、公明、共産、社民の四党と、地元選出国会議員合計220人へ要請しました。

 厚生省には12人が要請。省側は要望をうけて「分かりずらいと思いますが」「現行法が国家補償でないから」などといいわけに終始しました。

 民主党では金田誠一衆院厚生委理事が対応。

 公明党には、藤平事務局長、松谷英子さんらが要請。党側は、福島豊衆院厚生委理事ら5人が対応。「機会を見て現行法の改正を考えたい」などとのべました。

 共産党は、児玉建次衆院厚生委員、笠井亮参院議員が対応。

 社民党は、中川智子衆院厚生委員が対応。「こんな当たり前のことがいまだに実現していないことが悲しくつらい」「他党の理解ある議員と協力して厚生省に働きかけたい」とのべました。

 最高裁へは、12人が55通の上申書を持って要請しました。 このページのトップへ ハーグ会議後に交流の旅


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