「被団協」新聞-1999.1月号

1面  九州ブロック相談所講習会
2面  国連総会で5つの決議   米、ロの臨界前核実験に抗議   ハーグで5月に平和行動  四国ブロック、兵庫で講習会
3面  京都原爆症訴訟勝利  
7面  広島で「世界の歌」のタペストリーの展示始まる  第五福竜丸展示館新装開館


"白寿まで生きる”意欲もりもり−九州ブロック講習会

 恒例となっている九州ブロックの相談事業講習会が、今年も12月6、7の両日、宮崎県のシーガイヤで開かれ、427人が参加しました。

 「毎年、肥田先生の話を何より楽しみにしている」(77歳・女)、「昨年は手術のため参加できなかった。これからも健康である限り参加したい」(71歳・女)、「生きる意欲、目的意識を強く持てた」(69歳・女)との感想にもあるように、参加者は、講師の話とともに、仲間との交流、大勢の被爆者の熱気に触れることで元気が出る、またがんばれるといいます。

 講演では、肥田舜太郎理事長が、白寿までの長旅をボケたり、寝たきりにならない知恵をユーモアたっぷりに話し、小西悟日本被団協事務局次長は、「新ガイドライン」の危険と被爆者の役割、原爆松谷裁判に勝利する意義を熱っぽく語り、伊藤直子相談員は、健康管理手当更新時診断書、介護保険などについて話しました。また、松谷英子さんも最高裁勝利に向けての支援を訴えました。

 夜は、歌あり踊りありの一大交流会で楽しいひとときを過ごし、2日目は、3つの分科会に分かれて熱心に討議。充実した2日間となりました。

 なお、参加者が出し合って242,462円の相談事業募金が寄せられました。



国連総会での5つの決議−世界の大勢は核廃絶

 昨年末の国連総会で、核兵器の廃絶をめぐって五つの決議がなされました。

 1つは、アイルランドなど33カ国共同提案の「核兵器のない世界に向けて 新しい課題の必要」の決議で賛成が114、反対18、棄権38でした。

 この決議は、「核兵器廃絶への交渉をすぐはじめて終結させる約束をせよ」と、核保有国の責任を明確に迫っています。これにはアメリカの核軍事同盟であるNATO16カ国中反対は4カ国だけ、12カ国が棄権に回ったのが特徴でした。

 2つは、マレーシアなど非同盟諸国47カ国の共同提案の「国際司法裁判所の勧告的意見の徹底」決議で賛成123、反対25、棄権25でした。

 これは、国際司法裁判所の勧告的意見に従い、「核兵器廃絶条約の早期締結につながる多国間交渉を99年中に開始する」ことを義務づけています。

 3つは、ミャンマーなど非同盟諸国46カ国共同提案の「核兵器軍縮」で、核兵器の先制不使用、核軍縮特別委員会の設置を求めています。賛成110、反対41、棄権18でした。

 4つは、インドなど非同盟23カ国が共同提案した「核兵器使用禁止条約」決議で、核兵器の使用と威嚇禁止の条約交渉を賛成111、反対39、棄権22で決めたものです。

 日本は、これらの決議にすべて棄権し、「究極的廃絶」を求める決議案を提出して賛成しただけでした。

 世界の大勢が、核兵器の期限を切っての廃絶に向かっていることが、これらの決議状況でも明かです。



アメリカ、ロシアの臨界前核実験に抗議

 国連総会が「核兵器の期限を決めての廃絶」を採択した直後の12月8日にロシアが、12日にはアメリカが、相次いで臨界前核兵器実験を強行しました。

 日本被団協は、これに抗議し、東京、神奈川、埼玉の被団協とともに12月11日、JR渋谷駅で街頭宣伝。ロシア大使館には抗議、アメリカ大使館には実験中止を要求する両国大統領あての文書を手渡し、シュプレヒコールをぶつけました。

 行動には被爆者40人が参加。500枚のビラが35分で配りきれてしまうほどの反響のなかで、「核実験はすべてやめよ」「アメリカ、ロシアは国連決議に従え」「21世紀に核兵器を持ちこさせるな」などと都民に呼びかけました。行動を見ていた青年が、飛び入りでビラ配りに協力する光景もありました。

 アメリカ大使館では、抗議行動を道路を隔てた彼方でやれと規制をはかりましたが、「被害者が加害者に抗議するのを妨害するな」とはねのけ、「アメリカ大統領は広島、長崎を訪ねて被爆者に謝罪せよ」などと、実験中止を要求しました。

 ロシア、アメリカの臨界前核実験には、広島、長崎、千葉、愛知、熊本などから抗議行動の報告が寄せられています。



ハーグで平和行動

 来る5月11日から15日まで、オランダのハーグで、第1回国際平和会議100周年を記念す る大規模な国際平和行動「ハーグアピール’99」が行なわれます。

 この期間、ハーグには世界中の平和愛好者、運動団体が結集し、核兵器のない21世紀をめざすさまざまな集会、行動を行なう計画です。

  「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」の呼びかけ事務局団体は、この集会で被爆の実相を世界に訴えようと、30〜50人の共同代表団を送り出す方向で検討をすすめています。被爆者には、10〜15人の参加が要請されています。 トップへ


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