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button ストッキングのディティール

デニール

デニールとは化学繊維などの太さの単位で略して「D」と表記します。数字が少なければ少ないほど細くなります。現在、ストッキングに用いられている糸では7〜8Dくらいが最も細いと思います。30Dくらいですとストッキングと言うよりはタイツです。ただ、デニール数でストッキングとタイツを分けているわけではないようです。イビチのClassicは40デニールですがストッキングの感覚です。

糸が細ければストッキングの透明度も上がりますが、透明度は単純にデニール数だけで決まるわけではありません。次の編み方と関係します。プレーン編みの15Dと、サポート・タイプの10Dをくらべると前者の方が透明度が高くなっています。

夏用のストッキングとして売られているものは、10D以下の細い糸で編まれたサポート・タイプです。サポート・タイプの中で比較すれば涼しいと思いますが、肌触りなどによって実際の快適さは異なってきます。自分に合ったストッキングを。

ストッキングの編み方

ノン・ストレッチのシームレスやフル・ファッションの美しさはなんと言っても、そのガラスのような透明感にあります。これは編み方に秘密があります。顕微鏡の画像でそれを確かめてみます。

プレーン
プレーン

プレーン編み

ストッキングの基本です。横糸のみのメリヤス編みです。

画像は初期のシームレスです。現行品では、Schiaparelli、Tentation、Havana、Gerbe Carnationなどのフル・ファッション、Capriなど透明度の高いノン・ストレッチのシームレスはこの編み方です。Aristoc Harmony Pointはマイクロ・メッシュもあるようですが、私が持っているのはすべてプレーン編みです。光のはじき方も美しく、ストッキングといえばやはりこれです。

 

パララン
パララン

プレーン編み(二本)

上と同じですが、ナイロン糸二本で編まれています。画像は、グンゼのパラランです。DoreDoreのDouble Dixもこの編み方をしていることで有名ですが、国産のシャルル・ジョルダンもこのような編み方でした。

透明度が高く比較的丈夫です。

 

ノンラン
ノンラン

ノンラン編み

名称についてはまだ正確なことがよく分からないのですが、ヴィンテージで「ノンラン」「ノーラン」と表記されている物はこのような複雑な編み方です。

プレーン編みだと、一カ所切れると縦にすーっと伝線しますが、それを防止する効果があったようです。近目にはやはり網目が見えますが、遠目には透明度が高くきれいです。

コラン
コラン

サポート・タイプ

今日一般的なサポート・タイプのパンティ・ストッキングの編み方です。プレーン編みですが、ポリウレタンにナイロンを巻き付けたサポート糸とナイロン糸とを交互に編んでいる、いわゆる交編です。

プレーンとくらべ透明度に差があることは一目瞭然です。

 

シーム 

シーム(縫い目)は三種類あります。
 ・バック・シーム
 ・センター・シーム
 ・つま先のシーム
バック・シームはフル・ファッションのところで説明してあります。センター・シームは、パンティ・ストッキングのパンティ部にある、左右をつなぎ合わせた箇所にあるものです。
つま先のシームは、シームレス・ストッキング(パンティ・ストッキングを含む)のような脚部を筒状に編んだ際、つま先を閉じるときにできるものです。かつては画像のように縦に作られていましたが、今はつま先に沿って横になっています。私は、それぞれ「縦シーム」「横シーム」と呼んでいます。
シームは二枚のニットを繋ぐときにできるかがり縫いの盛り上がりなので、感触としては「無くもがな」です。特につま先はシームの当たりが気になります。初めて縦シームを経験したときは何かを踏んでいるような気がしましたが、慣れるとむしろ横シームより気にならなくなります。ただ、先端に少し余りが生じます。これはフル・ファッションも同じです。シームはリンキングによって無くすことができますが、コスト、技術、生地の伸縮の関係で今は見かけません。
センター・シームはフラットにすることであまり気にならなくなります。




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つま先の「黄金分割」

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つま先やかかとの補強は、破れやすい所の強度を増すためにものですが、日本の生活では素足を出す機会が比較的多いので、だらしなく見えないように気を配りたいものです。
むしろ清潔さや女性らしい華奢なつま先を演出するのにも役立つと思います。サンダルから見える時は特に気を付けたいと思います。
昔のストッキングは、右の画像のように、直線になっています。これもきれいだと思います。

ペディキュアとストッキング

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サンダルやオープン・トゥなどでつま先が見える際、ペディキュアを施した足に映えるのはどういうストッキングでしょうか。

つま先に補強のない「つま先スルー」もいいでしょう。あまり分厚くなければ補強があるのも女性らしさを強調するのではないかと思います。

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かかと

つま先とかかとに補強のあるものを、コンベンショナル・タイプ(コンベンショナル・ヒール)と言います。かかとがあるのが本来の姿なんですね。ノン・ストレッチのストッキングはたいていかかとがあります。もちろん破れやすいところだということもありますが、かかとの丸みに合わせた縫製にする必要がありますからだと思います。

かかとが立体的になっている方が編み目も均質になりますしはきごこちもいいと思います。それはストレッチ・タイプでも同じです。

かかとを出すときなど、かかとがない方が「足」の印象をすっきりみせます。用途次第ですね。

LANVIN
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髪の先も足の先もあなた 

 

ストッキングのつま先やかかとなどは普段あまり意識しないかもしれません。でも、そこもあなたそのもの、私そのものです。

ストッキングは欧米で生まれたものですが、日本では欧米よりも足(くるぶしから下)を出す機会が多く、ストッキングの足を人目にさらすことも多いと思います。気を抜かないできれいに見せる効果を考えましょう。

注目度は相対的には低いのかもしれませんが、そこも私たちの体の一部。肌や爪のケアはもちろん、縫い目がずれてだらしなく見えないように神経を行き届かせたいものですね。

 

 

 

 

 

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