オーディオ日記 第59章 ただ音楽のために(その4)2025年4月1日


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ストリーミングプロセッサーの研究(その4)

Auralic Aries S1のベストパフォーマンスを探していろいろな接続スタイルを試してみたが、結論としてはAries S1からUSB接続にてMUTEC MC-3+USBへ、そこからデジチャンという構成が一番のお気に入りとなった。従って、当初目的の断捨離はやはりできかねる状況となってしまったが、音が気に入ってしまえばそれが正義。しかしながら、ジッター低減とリクロックという屋上屋を重ねるような処理が何故このような音をもたらしてくれるのかほぼ理解できていないので更なる情報収集が不可欠と認識している。

ライブラリ音源の操作ではm3u8プレイリストのキューへの投入制限(100トラック)には不満が残るのだが、ストリーミング(Amazon Music)音源に対するプレイリストの作成、編集等はかなりよく出来ていて、ライブラリ音源とのミックスのプレイリスト作成においても納得の領域であり、Bluesound Nodeの操作性と比して同等以上と思う。m3u8以外の既存プレイリストはいずれにしてもNodeからインポート出来る訳ではないので、Aries S1上で新たに作成することになるのだが、これが思った以上にやり易くどんどんプレイリストを作っている。注意点としては、Aries S1のプレイキューが最大999トラックなのでひとつのプレイリストではそれ以下の曲数としておけば良いと思う。

さて、肝心なのはAuralic Aries S1(とMUTEC MC-3+USBのコンビネーション)の音であるが、現有機器の音を超えてきたと率直に思えるレベル。音楽全体の好感度や自然さがはっきりと高まる印象があり、特筆すべきは低音が量感を失うことなく引き締まっていて、実像として「見える」ようなイメージになるところ。この点の評価が自分としてもかなり高い。

Aries S1とMutec Mc3+USBのコンビ:
Auralic Aries S1 & MUTEC MC-3+USB>

このような低域はNodeの電源系の対応をいろいろと行ってきてもなお納得には至らない領域であり、Symphonic-MPD II(PCオーディオとラズパイの構成)をも超えてきている。従って、これらの機器を含めてあれこれ比較試聴はしていても、結局Aries S1に戻すと納得すると同時にほっとしてしまう。この観点から総合的に考えれば、我が家に於いては(まだ云い切ってしまうには時期尚早かもしれないが)Bluesound Node、Symphonic-MPD II、Eversolo DMP-A6のいずれもがデジタルトランスポートの主役の座をAries S1に譲ることになるだろう、と予感している。

なお、せっかくデジタルtoデジタルの機能もあるのだが、敢えてこれらの機器からAries S1にデジタル出力を送り出す必要性は実のところ余り感じない。使うとすればBlu-ray(やTV)からのデジタル出力となるくらいであまりその頻度も無いのでちょっともったいなくもある。

このAries S1の音がどのような仕組みによって創り出されているものか前述のように明確に判っていないし、Auralicから詳細なアナウンスがある訳ではないので推測の範囲を出ないのだが、デジタル信号についてTesla G3 PlatformとDMA(Direct Memory Access)というアーキテクチャをベースとして「ジッター除去」を実現していることがアドバンテージの核心なのであろう。ハードウエアの構成と併せ演算処理も同社のノウハウと思われるが、具体的にどのような処理がなされているのか非常に興味がある。

一方、かなり音の評価ができるStreaming Processorだと当方は思うのだが、おそらく国内のユーザーはいない、あるいは極めて限られていると推測され、この機器に関して情報を得られる場が 公式フォーラム 以外には無いことは少々もどかしくもある。

音の評価の基本部分は変わらないと思うが、今後は更に環境も含めて試行あるいはブラッシュアップもしていきたい。その中の一つとして、まずはLAN経路を変更(終端ハブとしてLHY Audio SW-6 SFPを使用)し、Isolated Port(RJ-45用)を使用するように変更した。また、このハブにはマスタークロックの入力が可能であるので、その対応も考えてみたい(現有のクロックは単一出力のみのためこのハブにはクロック供給できていない)。

LHY Audio SW-6 SFP:(背面の端子類、借用画像なので220V仕様となっているが我が家では115Vで運用)
LHY Audio SW-6 SFP

いずれはAuralicの上級機を検討したくなるかもしれないが金額的なこともあってネット調達は難しいので、Auralicの国内販売代理店が無いことはとても残念であり、誰か名乗りを上げてくれぬものかと期待してしまう。

なお、これをもって「究極のデジタルトランスポート」にめぐり会えた、とまでは云えないが、少なくとも我が家のライブラリ音源とストリーミング音源(Amazon Music Unlimited中心)を使用する環境において、しばらくは メイン機器 の位置を占めることになるだろう。